成蹊学園インフォメーション

日本経済新聞シリーズ企画 教育鼎談 第3回 教育のグローバル化と成蹊学園の国際教育

佐藤 禎一:国際医療福祉大学大学院教授 成蹊学園アドバイザリーボード 高井 昌史:紀伊國屋書店代表取締役社長 成蹊学園アドバイザリーボード 井上 智夫:成蹊学園常務理事(国際化担当) 成蹊大学経済学部教授

Part1   教育のグローバル化で求められる能力

日本の大学にはリベラルアーツ教育の徹底と、そのための新たな教育モデルの創出が必要

  • 教育のグローバル化・人材の流動化は加速する

    グローバル化の進展に伴い、今後はますます人材の世界的な流動化、国境を越えた教育サービスの提供などが活発化していきます。一方、アジア各国の大学に比べ、日本は留学経験のある学生が圧倒的に少ない状況です。在学中に海外インターンシップなどに参加し、世界で活躍するために必要な力を知ることは学生にとって非常に大切な経験になります。

  • リベラルアーツに基づく総合的な人間力が必要

    国際ビジネスの現場では、英語力だけでなく、教養や良識、協調性、行動力、異文化適応力などの総合的な人間力が求められます。これらを養うにはリベラルアーツ教育の徹底が重要であり、日本の大学も学士課程で基礎教育を徹底し、大学院で本格的な専門教育を行うといった教育課程の再構築が必要になっています。

  • 国際標準としての3つ能力観と東洋的「調和力」

    グローバル人材に必要な能力として、1.問題解決能力 2.批判的思考力 3.コミュニケーション能力の3点が世界の共通認識となっています。これらの欧米的な能力観に、東洋的な価値観である「調和力」を取り入れ、日本の国情を踏まえた国際標準を世界に発信していける人材の育成が求められます。

教育のグローバル化は必然《日本経済新聞  鼎談広告から》

佐藤
教育は国家100年の大計といわれます。ある推計では2110年における日本の総人口は約4000万人。そうなれば多くの外国人を日本に迎え入れるとともに、日本人も当然のように海外で活躍できなければ立ち行きません。最近は国境を越えて教育サービスを提供する動きも活発化しています。教育のグローバル化は必然的な潮流なのです。
井上
ビジネスの世界ではグローバル化が先行しています。
企業の立場から特に日本の大学のグローバル化をどう考えますか。
高井
日本の大学のグローバル化は遅れていると思います。中国や韓国、アジア各国の大学に比べ、留学経験のある学生が圧倒的に少ない印象があります。当社紀伊國屋書店は1969年に米サンフランシスコに出店し、現在は世界に26店舗を展開しています。海外の出版社のほか、ハーバード大学やケンブリッジ大学など世界各国の名門校と取引関係があります。
 そうした国際ビジネスの現場では、英会話ができるだけでは通用しません。大学にはリベラルアーツなど基礎教育の徹底を求めたいと思います。
 当社は学生に海外で就業体験してもらう海外インターンシップの受け入れを始めました。世界で活躍するために必要な力を知り、帰国後に周囲の学生にも良い刺激を与えてくれることを期待しています。

佐藤 禎一

佐藤
重要な指摘です。中世ヨーロッパに起源を持つ大学教育には、専門的な職業人は同時に教養人であるべきだという基本的な精神があります。日本の大学も学士課程ではリベラルアーツを徹底し、大学院で本格的な専門教育を実施するなど教育課程の再構築が必要です。成蹊学園には、こうした改革を実現するポテンシャルがあります。日本の大学をリードする教育モデルの創出に期待しています。

求められる多彩な能力《日本経済新聞  鼎談広告から》

井上
ビジネス界で求められるグローバル人材像についてお尋ねします。
高井
教養や良識、協調性、行動力、異文化適応力、プレゼンテーション能力、交渉力など幅広い人間力が求められます。当社の場合、海外勤務が長くなるほど赴任先の文化を深く知ることができ、人脈も広がり、堂々とビジネスを展開できる人材に成長します。
井上
英語の堪能さは海外派遣の必要条件でしょうか。
高井
必ずしも英語が得意な人ばかりではありません。事前に英会話学校へ通う社員もいますが、現地でのOJTで学ぶのが基本です。言葉は自然と身に付くものです。
語学力よりも人間力が問われます。
井上
グローバル人材に必要とされる能力について、国際的にはどのような認識がありますか。

高井 昌史

佐藤
経済協力開発機構(OECD)における共通理解として、①問題解決能力②批判的思考力③コミュニケーション能力が挙げられます。ただし、これらは欧米的な能力観だと思います。
 こうしたある種の国際標準ができると、国内の教育にも影響を及ぼします。例えば、OECD加盟国を中心に実施される15歳児の学習到達度調査「PISA」では、「学力」の定義を、端的に「問題解決能力」としました。日本では「生きる力」と表現して、問題解決能力を養う方向へ学習指導要領を見直しました。
 しかし、欧米的な能力観は、必ずしも日本を含め東洋の世界観になじむものではありません。人と人との関係を和やかに、ウイン・ウインの関係を築いていく「調和力」など東洋的な価値観も取り入れるべきです。日本の国情を踏まえた国際標準を世界に発信していける人材の育成が求められます。
井上
国際標準への対応を考えると、既存の教育システムでは対応しきれないところもあります。国内だけの短期的な視野ではなく、長期的・国際的なトレンドを見据えた上で、大学は知恵を絞る必要がありそうです。

ことばの解説

[ リベラルアーツ ]

ヨーロッパの大学制度において中世以降、人が持つ必要がある技芸の基本と見なされた7科(文法学・修辞学・論理学・算術・幾何・天文学・音楽)のことです。最近は、そうした伝統的な科目群に現代的な学問の成果を加え、大学で誰もが身に着けるべき基礎教養的群に与えられた名称で、学士課程における基礎分野のことを意味します。日本では、第二次世界大戦前までの高等教育におけるリベラルアーツ教育は主に旧制高等学校で行われていました。旧制7年制高校を前身とする成蹊大学では現在、全学部共通のリベラルアーツ教育として「成蹊教養カリキュラム」を展開しています。

成蹊教養カリキュラム

[ PISA ]

OECDが進めているPISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査。PISA調査は15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について、3年ごとに調査を実施し、その結果が広く公開されます。

国立教育政策研究所 OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

[ 学習指導要領 ]

新しい学習指導要領が全面実施されています。小学校は2011年から、中学校は2012年から、高等学校は2013年から、「生きる力」を育むという理念をもとに、知識や技能の習得とともに思考力・判断力・表現力などの育成を重視しています。

文部科学省 新学習指導要領

成蹊学園における国際教育の取り組み

成蹊学園は、外国語によるコミュニケーション能力を持ち、国際社会で個性とリーダーシップを発揮できる人材の育成を使命とし、学園縦断型の国際理解教育を体系的に進めています。
異なった文化・歴史・環境に育った人々と自然に交流を深められる児童・生徒、学生を育てることが大切だと考え、小学校、中学・高等学校、大学が1つのキャンパスにあるメリットを活かし、真の国際感覚を備えた人材を学園全体で育成しています。

Part2 伝統と一貫教育利点を活かした人材育成(成蹊学園の国際教育)

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