成蹊学園インフォメーション

日本経済新聞シリーズ企画 教育鼎談 第4回 成蹊教育の「真価」と「進化」 100年の伝統を礎に、第二世紀への新たな挑戦

橋本 竹夫 学校法人成蹊学園 学園長

上原 明 大正製薬ホールディングス株式会社代表取締役社長 成蹊学園理事

Part1

教師の情熱こそ、変わってはならない成蹊の原点  《日本経済新聞  鼎談広告から》

橋本
大正製薬も、私ども成蹊学園も、同じように100周年を迎えています。今日は卒業生である上原さんに、成蹊教育の価値や、これからの教育のあり方、求める人材などについてお話を伺いたいと思っています。
上原
今の自分の考え方や判断基準というのは、成蹊学園で学んだ影響が非常に大きいですね。小学校、中学校、高校で授かったものが、意識してもしなくても身に染み込んでいる感じがしますから、成蹊に対する感謝の気持ちが大きいです。
橋本
思い出に残っている先生はいらっしゃいますか。
上原
小学校の時にお世話になった清水晴男先生は、土道に生える雑草のように踏まれても踏まれても何度でも立ちあがること、人に寛容であること、人間や仕事に貴賎はないことを、常々教えてくださいました。それから、物事を観察する目ですね。君、よく樹を見なさい、枝が一つ一つ違うだろう。空を見なさい、雲も毎日毎日違うだろう。細かく見れば、いろいろなことが発見できるよと。本館屋上から富士山を望みながら、どっしりした人間になろうと仰っていたことも憶えています。大きな心で、大きな視野で、自分でものを見て考えろということを教えていただき、非常にプラスになっています。

上原 明

橋本
自然と触れ合う学習を大切にしている様子が伺えますね。それは今でも変わりません。
上原
それから高校の松田満夫先生も忘れられません。「大学受験でも、社会へ出てからのポスト争いでも、他人を蹴落とす生き方は納得できない」という悩みをぶつけたことがあったんです。成蹊の精神に反するのではないかと。先生はしばらく考えられて、こう話されました。「君にとって大学に入るとか、出世することが最大の目的なのか。それはあくまでも手段であって、大事なのはどんな志を持っているかじゃないか。社会に貢献するための志があるなら、君は敢然と立ち向かうべきだ」。それを聞いてすっきりしましたね。我欲ではない自分の志。私はそれから、世の中や次の世代のために行動しよう、そうすることで私を後押ししてくれた方々に恩返ししよう、そんな気持ちを忘れないようにしています。
橋本
私も情熱ある先生に恵まれましたが、特に大学院で指導していただいた先生が非常に熱血漢で。私が分からないことがあるとすごく親身に指導してくださり、それでも分からない時は持ち帰られて、次の日お目にかかると、君、昨日僕は寝ないで考えちゃったよ、と言うような方でした。逆に私自身が怠けていると烈火のごとく叱る。
そういう中で自分の悪いところが意識でき、心から叱っていただけるありがたさを痛感いたしました。後に私自身が工学部(現在の理工学部)の教師になりましたけれども、学生を指導するときのあり方など、恩師の影響を強く受けましたね。やはり学生に本当に真剣に向き合おうとすると、そういい顔ばかりできないんです。

橋本 竹夫

上原
こっちが真剣に出なければ、向こうは絶対に真剣に受けとめない。会社のトップに立って、また、親になって感じることは、社員も子供も上司や親の言う事を聞くんじゃなくて、後ろ姿を見て真似ているんです。生徒も同じでしょう。だから、後ろ姿を意識すればするほど手が抜けないですよ。逆に言えば、それが自分をより高め、前進させることになる。創立者の中村春二先生が「教えるということは、教壇の上から知識を詰め込むことではない。自ら向上しようとする教師の魂が、生徒の伸びようとする魂と響き合い目覚めさせることだ」ということを言っておられますけれども、まさにそう思いますね。
橋本
教師と生徒の心が共鳴することで、生徒の心が開かれていく。こういう師弟関係が成蹊教育の原点にあるかと思います。
企業のトップとしての立場から、現代社会ではどんな人材が求められているとお考えですか。
上原
今、生活者の意識やマーケットの様相が、世界規模で急速に変わっていますよね。日本だと少子高齢化も考えなくてはならない。そんな変化の時代に最も重要なのは、問題意識、危機意識を持つ人。そして、問題解決のためにいろんな可能性を探して行動できる人。さらに言えば、危機も好機と考える前向き発想の人ですね。
橋本
成蹊では中期重点目標というものを立てていますが、一番重要な教育の取り組みが、まさに課題発見と課題解決の能力なんです。
上原
生徒が自発的に関心を持つように刺激を与えるには、まず先生方自身が問題意識を持っていなければならない。何の問題意識もなくて教科書の知識の切り売りだけでは、それこそ問題です。
橋本
同感です。そもそも教師というのは、損得勘定とは相当距離がある職業だと私は思っています。そういう中で教育に情熱を持ち続け、世の中にどう自分が役に立てるのかを追求する。そんな心構えが、中村先生が仰っていた「真我」と関係するような気がします。
上原
「真我」とは、人の心の奥底にある尊い心、自分を捨てて世の中のお役に立ちたいという精神だと理解しています。私が私がというような、自分中心で真理を見る目を曇らす「自我」とはまったく異なる。
教える者は今の世の中が求めていることをよく理解し、自分が担当している教科を通して生徒の心を揺り動かし、「真我」を目覚めさせる存在であってほしい。先ほどの「志を持て」ではないですけれど、心の奥底にある尊い心に目覚めれば、その生徒は自発的に努力するようになると思いますね。
橋本
そうなってくると、やはり教師と生徒の距離が重要。多くの生徒がいると、それぞれの心、それぞれの個性を見据えた教え方は到底できない。画一的な教育からもっと自由な教育のあり方を追求し、創立当初から少人数教育を重視して実践されたのが中村先生でした。
上原
自発的精神を養うこと、個性を発見し伸長させること。中村先生のこうした創立の精神こそが、成蹊教育の真価だと私は思います。

ことばの解説

[ 真我の開発 ] と [ 師弟の心の共鳴 ]

創立者の中村春二は、教育の徹底のための根本は「真我の開発」であるとしました。
「真我」とは人が元来備えている、“心の奥底にある尊い心のこと”であり、中村は「この心の力が発揮できれば、いかなる困難にも打ち勝つことができ、社会に多大な貢献をすることができる」としました。

生徒の「真我の開発」のためには、教壇の上から知識を授けるだけではなく、教師自らが「向上する心」「真我を求める心」を持ち、生徒と心を共鳴させることが必要であると考えていたのです。

中村春二が自身の教育哲学を12枚の図付き文書で解説した「教育図解」

[ 少人数教育を重視 ]

中村春二は、生徒と教師の心と心を共鳴させるために、創立当初から「少人数による個性尊重の教育」の必要性を唱えており、「真我」の開発による、生徒一人ひとりの自発的精神の涵養、個性の伸長する真の人間教育を実践しました。

理想によって生まれ、共鳴によって育まれた「成蹊」

教育理念個性を育む一貫教育

[ 成蹊学園創立100周年 ]

成蹊学園は2012年に創立100周年を迎え、これを機に情報図書館の開館や国際教育センターの設置などに代表されるハード・ソフトの両面にわたる改革事業「学園創立100周年記念事業『新・成蹊創造プラン』」を進めてきました。

創立100周年記念について

[ 成蹊学園の中期重点目標 ]

成蹊学園は2013年度より6年間を達成期間とする中期重点目標(中期ビジョン)を掲げて、取り組みを強化しています。「自ら課題を発見し、解決できる人材の育成」に重点をおき、そのための施策を4つの柱として、まとめています。

中期重点目標(中期ビジョン)

日本経済新聞シリーズ企画 教育鼎談 21世紀社会が求める人材と成蹊教育のこれから

佃和夫成蹊学園理事長、橋本竹夫成蹊学園学園長、黒川清政策研究大学院大学アカデミックフェローの三人による鼎談。中期重点目標として掲げられた「自ら課題を発見し、解決できる人材の育成」の達成のための4つの重点施策、ワンキャンパスに小学校から大学まである成蹊学園ならではの教育の質の向上によって、時代の変化に即応できるグローバルな人材を社会に送り出す取り組みについて、語り合いました。

教育鼎談 第1回 Part 1 成蹊教育ならではの価値

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