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第5回 社会経済史研究
学生と一緒に、いろいろなことを体験したい
成蹊大学文学部教授 竹内 敬子(たけうち・けいこ) 
プロフィール
東京大学経済学部卒業。東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得満期退学、1985年より1988 年まで全国電気通信労働組合中央本部政策調査室。1988年より現職。マンチェスター大学大学院人文学研究科(School of Arts)でMPhil、2007年マンチェスター大学大学院人文・歴史・文化研究科(School of Arts, Histories and Cultures)でPh.D(博士号)を取得。現在イギリス女性史研究会副代表を務めている。
学生たちの若い感性に囲まれて
 早いもので、成蹊大学文学部に勤務して二十年目になろうとしています。成蹊大学は私が初めて勤務した大学で、私は研究者としても教育者としても、ここで育てていただいたと思っています。
 現在は、「イギリスの歴史と文化」「女性・男性・ジェンダー」などの講義科目のほか、一・三・四年の演習、大学院の演習を担当しています。文学部は卒論指導をとても重視しています。卒論指導は大変に骨の折れる仕事ですが、やりがいがあります。学生たちは毎年さまざまなテーマに取り組んでいます。旧東ドイツの女性団体を取り上げ、その団体に手紙を書いて送ってもらったダンボール箱一箱分のドイツ語の資料を使って卒論を書き上げた学生もいました。「男の世界」であるロックミュージックに入っていった若い「女の子」たちの「ライオットガールズ」と呼ばれるムーブメントを取り上げた学生は、卒業してから卒業論文を本として出版しました。学生たちの若い感性とそれ故に鋭い嗅覚から学ぶことも多いです。
世界に影響を与えたイギリス工場法

マンチェスター大学でPh.Dを取得

 私自身の研究テーマはイギリス工場法の歴史をジェンダーの視点から分析するというものです。工場法は女性や子どもの労働条件を改善するための法律ですので、女性に恩恵も与えましたが、「女性には自ら適性な労働時間がどの程度か判断する能力がない」という前提に基づいていたので、労働市場における女性の地位を低める役割も果たしました。同時に、法律に頼らなくても自らの労働条件を
使用者との交渉によって決定できるとされ「保護」の対象外となった男性労働者は、時に危険産業で健康を害すなど、健康を犠牲にしなければならないこともありました。植民地における工場法の問題やイギリス工場法が日本の工場法に与えた影響など、最近は少しずつテーマを広げています。
 実は、十年近く社会人学生をやっており、昨年十一月にマンチェスター大学でPh.D(博士号)を取得し、十二月に卒業式に出席してきたばかりです。
イギリスの大学には「パートタイム」という制度があり、「フルタイム」の学生が一年かかる課程を2年かけて勉強します。授業料も半分になります。今は単著の出版に向けて準備中です。

スマトラ沖地震をきっかけに
学生、留学生たちとの国際交流実践授業
 
 近年は、学生たちと一緒にさまざまな社会貢献活動に参加する機会が増えてきました。契機となったのは、ゼミの卒業生の倉典暁さんが日本語教師としてスリランカに赴任中にスマトラ沖地震と津波災害が起こり、救済活動に関わりながら現地を歩き、自らの目で見、感じたことを私たちに伝えてくれ「自分たちにできること」を一緒に考えようと訴えてくれたことです。卒業生や在校生とプロジェクトを立ち上げ、教職員の方々からの協力も得、現在約五十万円の義捐金が集まっています。成蹊大学の学生たちは、とても純真で真面目でしかも独創性・企画力・実行力があります。国際文化学科では、学生と教員が協働するという形でいくつもの講演会やワークショップを開催しました。学生たちによる「成蹊大学にフェアトレード商品を導入しよう」という試みも一部実を結びつつあります。今年の二月には大学生が成蹊小学校でフェアトレードについての授業をさせていただくなど、学園内での繋がりも強まっています。「社会貢献メーリングリスト」には、現在六十名以上の教職員・学生が加盟しています。武蔵野市の大学生たちの「むさしの∞(エイト)」というネットワークの立ち上げなど、学生たちは、どんどん世界を広げていっています。学生たちと「一緒に」いろいろなことを体験する中で、私自身も変わりつつあるのを感じます。人間は、いくつになっても変われるんだなぁと自分自身、驚いています。

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