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成蹊教育のいま
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第7回 管理会計論・原価計算論
ゼミによる学びあい
〜成蹊教育の知的伝統の継承と発展を目指して〜

成蹊大学経済学部教授 伊藤 克容(いとう・かつひろ) 
プロフィール
一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得。2001年成蹊大学助教授を経て、2007年より現職。著書『組織を活かす管理会計ー組織モデルと業績管理会計との関係性ー』生産性出版(2007年)により日本原価計算研究学会平成20年度学会賞受賞。成蹊大学体育会篭球部顧問。趣味はバスケットボール観戦。尊敬する選手はアキーム・オラジュワンとチャールズ・オークリー。現時点で目標にしている選手は喜田俊太郎。
世代を越えて受け継がれてゆくスキル
 演習形式(ゼミ)のクラスについて、私がどのような考え方のもとに実施しているかをご紹介させていただきます。学問研究や教育という活動自体に、世代間のスキル(技)の継承という面があります。私が講義のさまざまな場面でやろうとしていることの多くが、学生の時分にお世話になった、岡本清先生(一橋大学名誉教授、成蹊大学理工学部岡本秀輔准教授のご尊父)、廣本敏郎先生(一橋大学教授)をはじめとする、ゼミの指導教官の先生方からしていただいたものです。自分の成長過程ですごく効果のあったことに多少のアレンジを加え、受け持っている学生達に繰り返そうとしているということを今回、再確認しました。
受け身ではなく「積極的な知性」を

ゼミの様子

 私が考える演習形式の最大の長所は、「アウトプット志向」。勉強のインプット側(知識の蓄積)だけではなく、自分たちでいろいろな作品(研究報告)を準備してもらい、アウトプット側(知識の活用方法)を集中的に訓練します。教科書に書いてある理論を理解して、記憶することはなによりも重要ですが、そのような訓練はほかの機会でやってもらいます。ゼミでは教科書に書いてある理論を憶えるだけではありません。それを駆使して現実の問題を自分の頭で考える、話を聞くだけではなく自分の意見を相手に分かりやすく発表する、議論に効果的に参加する。そのためのトレーニングを「これでもか」というくらいしつこく要求し、実践します。理論構築・応用能力、ディスカッション能力、プレゼンテーション能力は受け身の勉強だけでは得るのが難しいもの。「積極的な知性」を身につけるためのクラスがゼミだと私は位置づけています。

自発的な取り組みで得られる達成感
 ゼミの二つ目のよさは「自発性」です。「自分の関心ある社会科学上の問題は何か」「その問題を解明するには、どのような情報・知識を集めなければならないか」。そのように自ら問いかける学生に、勉強の必要性と楽しさを感じてもらうように環境を整備するのが私に与えられた「アカデミックな遊園地の管理人」
としての役割です。したがって、日ごろ注意しているのは、「教え過ぎないこと」「学生の勉強モチベーショ
ンが高まるまで気長に待つこと」。自分の興味ある領域について一生懸命勉強すれば、今まで知らなかっ
たことが分かるようになります。その達成感は同時に快感でもあり、一度はまったら生涯抜け出せません。継続的に勉強しているかいないかでは実力的にも雲泥の差がつきます。研究発表の場で自分のプレゼンが周囲から賞賛されたりしたら、脳内快楽物質であるドーパミンがでまくりです。ただし、強制されて
嫌々取り組む勉強は、拷問以外の何ものでもありません。非効率で単なる時間の無駄です。このような意
味で「勉強することの大切さ、莫大な経済効果をそれとなく示唆すること」「私の関心領域に誘導しすぎな
いこと」「私自身が勉強や研究活動を一生懸命楽しんでいる姿を学生に見てもらい、面白そうだなあと感
じてもらうこと」などを意識しています。
他人を通して自己を知る

ゼミ合宿にて
他大学のゼミとの交流
 
 そして最後にあげなければならないのは、参加者同士での「学びあい」ができること。私のクラスでは、「経営学および会計学」に関するさまざま
な問題をとりあげ、四〜五名のグループ・ワークを実施し、パソコンを使ったプレゼンテーションを行います。一ヶ月ごとに研究テーマを設定し、それにしたがって特色のある興味深い会社の動向や企業経営に役立つさまざまなツールについて調査・分析し、発表します。他のゼミ生との共同作業を課すので、ときには密接な人間関係が形成され、意見交換することでいろいろな刺激を受けることもしばしばです。場合によっては相手と自分の問題意識のギャップや自分の能力の不足などを感じるかもしれませんが、それらを通して自身をより深く知ることができると思います。お互いを刺激し合い、勉強する意欲がふつふつと沸き起こってくれたらよいなと思いながら、作業する学生達の様子をいつも眺めています。

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