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第10回 民事訴訟法、民事執行・保全法、倒産処理法
法科大学院における民事訴訟法教育について
成蹊大学法科大学院教授 萩澤 達彦(はぎざわ・たつひこ) 
プロフィール
北海道大学法学部卒業。名古屋大学法学研究科中退。関東学院大学経済学部講師、中央大学総合政策学部講師、同助教授、成蹊大学法学部教授を経て、成蹊法科大学院創設以降現職(2009年度より研究科長)。中央法科大学院兼任講師、慶應法科大学院非常勤講師。中央大学在職中にチュレーンロースクール(アメリカ合衆国)客員教授を経験。日本民事訴訟法学会、日本私法学会、日米法学会会員。
民事訴訟法とは
 「大学の講義で社会に出てから役に立ったのは、『民法』の講義だけだ」。これは私の知り合いの方(商学部出身)の言葉です。法律というものは知っていれば知っているなりに役に立つものなのです。そして社会人であれば、「憲法」「民法」「刑法」などの法律の内容についても少しは知っているものなのです。
 ところが「民事訴訟法」という法律の名前を聞いたことがある人はあまりいないようです。
 それでは「民事訴訟法」という法律は、大して重要な法律ではないのでしょうか。
 もしかしたら重要な法律をあらわす言葉として「六法」という言葉を聞いたことがある人はいるかもしれません。実は「民事訴訟法」は、この「六法」のうちの一つに数えられている重要な基本法なのです。
 なぜ、このように重要な法律である「民事訴訟法」が、一般になじみが薄いのでしょうか。それは「民事訴訟法」が裁判所での手続きについて規律する法律であり、実際に訴訟に関わらなければ、知らなくても社会生活上まったく問題がないからなのです。
 ところが、法科大学院の学生にとっては新司法試験の必須科目なので、いやでも「民事訴訟法」を勉強しなければなりません。
民事訴訟法学習上の苦労
 「努力は裏切らない」という言葉があります。法律学の勉強においてもこの言葉はあてはまります。ところが「民事訴訟法」の勉強については、「努力が裏切」ということが結構あるのです。同じように努力しても「民事訴訟法」がわかるようになる学生と、なかなかわかるようにならない学生とがいるのです。「民事訴訟法」は裁判所での手続きについて色々定めている法律ですから、裁判所の法廷で実地に習うのが一番効率的なはずです。ところがそれができないため、教室で座学をすることを余儀なくされるわけです。そのために、直感的に法廷での様子を想像しながら勉強することができない普通の学生に対して、「民事訴訟法」を教えることは難しいのです。また法科大学院においては、学生の入学までの民事訴訟法の学習経験がさまざまであり、レベルの違う者を同じクラスで教えるという難しさもあります。
民事訴訟法教育の工夫
 私の講義では、なるべく具体的な民事訴訟手続きをイメージできるように工夫をしています。そのために、法科大学院での最初の講義である「民事訴訟法T」では、三つの段階に分けて教えています。第一段階では、ビデオ教材で民事訴訟手続きの全体を目と耳で確認します。
【2007年度民事訴訟法TA・B期末試験得点のグループ別得点分布グラフ】
第二段階では、手続き全体を一覧表にしたオリジナル教材で、文字情報によりもう一度手続きの全体を確認させます。   第三段階で、教科書とオリジナルプリント教材を使用して、やや詳しい内容の講義をします。またこの段階では、ある程度学習経験のある学生を退屈させないために問題演習を必ずするようにしています。この問題演習は学習経験のまったくない学生にも、習った知識がどのように問題として出題されるかということを理解することに役立っているようです。

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