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成蹊教育のいま
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第11回 統計的データ解析
統計リテラシーの普及と高度化を目指して
成蹊大学理工学部教授 岩崎 学(いわさき・まなぶ)
プロフィール
東京理科大学大学院理学研究科数学専攻修了。理学博士。茨城大学工学部、防衛大学校を経て1993年成蹊大学着任、1997年より教授。日本統計学会小川賞(1992年)、日本行動計量学会優秀賞(1994年)受賞。統計関連諸学会の理事・評議員を歴任し2010年1月現在日本統計学会理事長、内閣府、消費者庁などの審議会委員も務める。
「統計的データ解析のための数値計算法入門」(朝倉書店)など統計関連の著書多数。
統計学とは
 PCとネットワークの飛躍的な発展により各種データがより身近なものとなってきた。統計学はデータの収集から分析、そして結果の解釈に至るまでの一連の流れに寄与する学問体系である。統計リテラシーとは各種統計データからその意味するところを読み取り、それを意思決定などの実際の判断に役立てるための能力であり、この能力を学生に身につけさせるよう教育を行っている。実際の教育現場を紹介しよう。
教室では(少人数でなくても)

授業「確率論」の欠席回数

 情報科学科では統計関連として二年次の前期に「確率論」、後期に「データ解析法」の授業を展開している。どちらも一学年全体を二クラスに分け(朝の一時限目と二時限目)、一クラスあたり七十名程度として授業を実施している。私は欠席をマイナス一、遅刻をマイナス〇・五としているのだが、二〇〇九年前期の「確率論」では、表に示すように四割の学生は無遅刻無欠席。二割の学生が一欠席ないしは無欠席一遅刻である。授業への出席率はかなり高いと言えるであろう。
 朝早起きし過ぎて授業中眠くなる学生もいるようであるが、すべて名前を呼んで起こす。つまらない話でも聞いている振りをする技術は社会に出て役に立つから、とか言いながら(つまらない話では決してないのだが)、私語もさせない。これも名前を呼ぶ。とにかく名前を呼ぶことが肝要である。
ゼミでは(少人数であればこそ)
 
 情報科学科では三年の後期から実質的に各研究室への配属が決まる。私の統計学研究室にも二〇〇九年九月に十三名の学生が配属となった。ちなみにこの年度は学生数の多い年で、それまでの二年間は共に十名ずつの配属であった。ゼミではここ二年ほどAP (Advanced Placement) という米国での高大連携プログラムの一つであるAPStatisticsのコースで米国の高校生が実際に使っている参考書の講読ならびにその解説本の作成に取り組んでいる。まだ「英語は訳すもの」との感覚から抜け出せない学生もいて、私の「中身を理解するのが目的で、英語の文法の解説をするつもりはないからね」という冷たい言葉を浴びながらも学生たちは必死で英語の文献と取り組んでいる。これにより彼らの英語の能力は飛躍的に向上する。無理はさせなければならない。
 卒論では、形になるものを残すことを目指している。二〇〇八年度は各学生をグループに分け、ブックレット(小冊子)作りを行った。それぞれたった五〇〜六〇ページの小冊子であるとはいうものの、最初から最後まで論理的整合性を保った上で、誤字脱字を極力なくして外部の目に耐え得るようなものを作ることがいかに大変かを学生たちは身をもって感じてくれたに違いない。

また、私は統計ソフトウェアのSPSS社の主催する学生研究奨励賞の審査委員を何年も務めているのだが、二〇〇八年の四年生の学生のうちの三名のグループが携帯電話に関する調査データの統計解析の論文を応募したところ、見事「SPSS賞」を受賞することができた(日本全国からの応募論文四十数編の中から何らかの賞を受賞したのは五論文のみ)。この達成感は何物にも代え難い。
受賞論文を背に学生たちと私
 勉強でも何でもとにかく楽しくなくてはいけない。「勉強は楽しい」と私は固く信じているし、学生もそう思ってくれる日が(いつか)来ることを疑ってはいない。何はともあれ研究室の楽しそうな雰囲気は合宿写真(成蹊の箱根寮にて二〇〇九年九月撮影)からも伝わってくる。成蹊の一番の魅力はやはり「人間」であることは疑いないようだ。
箱根寮にて二〇〇九年九月撮影

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