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第17回 ユビキタス工学
デジタルデバイド解消に向けて― 成蹊大学学生の活躍 ―
成蹊大学理工学部教授 村上 仁己(むらかみ・ひとみ)
プロフィール
昭和49年国際電信電話株式会社入社、取締役研究所長、KDDコミュニケーションズ代表取締役社長、執行役員ネットワーク技術本部長、技術開発本部長を経て、平成19年から成蹊大学 理工学部 情報科学科教授。ITU-T SG9副議長、電信電話技術委員会(TTC)標準化会議議長、(社)映像情報メディア学会 副会長を歴任。科学技術庁注目発明表彰、文部科学大臣賞、情報通信功績賞、総務大臣表彰等を受賞。
 情報通信は日本最大の産業であり、学生の就職先としても最大の受け入れ先である。この情報通信産業は、インターネット、携帯電話(ケータイ)を中心に、極めて早い速度で拡大している。この成長過程で、音楽業界、カラオケ業界を吸収し、最近では、新聞・雑誌・テレビ業界へ影響を及ぼしている。福島原発問題を機に大きな話題となっているスマートグリッド(情報通信を活用した新しい電力網)も、情報通信技術がその背景にある。
 新技術には光だけでなく影もあり、情報通信の影として、携帯電話を使ったオレオレ詐欺、インターネットでの誹謗中傷、麻薬の販売など数多くあげられる。その一つが、デジタルデバイドである。インターネットやケータイを有効に使いきれない多くの人、組織のことである。
私自身も、インターネットコンテンツの進展についていけず、最近のスマートフォン購入に躊躇し、アンドロイドなんてとてもとても、が現実である。このデジタルデバイドをビジネス化 するのは難しいため、産業界は興味を示さない。
そこで大学の出番、と日本のためにこのデジタルデバイド解消に若干でも貢献したいと考えた。大学が最近のインターネット、ケータイに出遅れた人・組織の応援団となり、サポート環境の醸成を主導することを考えたのである。
 現在の大学生は、理科系、文科系問わず情報通信の申し子で、日常的にパソコン、ケータイ、スマートフォンを自由に使いこなしている。彼らのスキルは、十分現在の情報通信の影の一つであるデジタルデバイドの解消に貢献でき、さらに、現在の恵まれた環境で育った学生に、一人ひとりのお客さんと膝を突き合わせて、一円の売り上げ増に毎日汗している現場を知ってもらいたい、という思惑もある。一つの例として、インターネットを使いきれていない中小企業のホームページ(HP)を作成し、商売に貢献することを目的とした。勿論、ただ作るのではなく、多機能・簡易HP作成技術の開発がその背景にある。この可能性に、東京商工会議所と共同してチャレンジした。

 最初の試みとして、足立区にある西新井大師の参道に、江戸時代からある割烹料理屋として有名な清水屋さんにお願いした。この清水屋さんのHPの作成を、ユビキタス工学研究室の伏屋君(情報科学科四年)、因君(大学院情報科学コース修士一年)、佐藤君(文学部日本文学科)という、情報通信技術に秀でた三人と取り組んだ。

目標は、
@料理がおいしく見えるだけでなく、メンテナンスの簡単なHP
A歴史のある割烹屋であることから海外のお客さんにも分かり易い多言語(英語、中国語、韓国語)のHP
Bケータイ、スマートフォンでも簡単に検索できるHP
である。

清水屋さんとの度重なる意見交換を通じて完成したHPが、http://shimizuya-odango.info/である。(図1)

 成蹊大学、東京商工会議所、ユビキタス工学研究室がサポートしていることも表記した。その後、今回の活動を聞き、近所の割烹屋さん(武蔵屋さん)とトンカツ屋さん(平野屋さん)からHPの作成を依頼された。また、私たちの活動が、中小企業における今後のIT化の課題に対する、一つの解決法として、七月四日の日本情報産業新聞に紹介された。今後定期的なメンテナンスを行いつつ、これらのHPがお店の商売にどのように貢献したか、毎日ネット監視し、状況を報告していく。写真1、2は、たのもしい三人が打ち合わせを行っている様子である。

今回の現業の方々との熱い共同作業は、三人の前途ある学生にとって情報通信という巨大産業のしっぽに触れた、という経験になったであろうか。

(写真1)左から、佐藤君、伏屋君、因君

(写真2)3人による検討作業のひとコマ

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