学部の学び
教員・学生・卒業生を通じて学部の学び(モデルケース)を紹介
— 学生たちは、どのような学びに触れ、成長し、社会に羽ばたくのか —
 成蹊大学は、少人数教育による教員と学生の距離の近さを大切にし、学問と人格のバランスのとれた人間形成を図りながら、学生一人ひとりの個性を伸ばす教育に取り組んでいます。自ら仮説を立て、科学的に立証し、他者に伝えていくということを学修する大学教育においては、研究の動機となる「好奇心」はもとより、他者と考えや意見を交換しつつ、自分の考えを形成していく力が必要不可欠です。学生が、どのような教員と出会い、何を学び、学んだことを実社会でどのように活かしているのか、ここではひとつのゼミ(演習)・研究室の、教員・在学生・卒業生のコメントを通して、学部の学びについて紹介します。
理工学部 Faculty of Humanities
教員/在学生/卒業生
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  • 教 員
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  • 在学生
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  • 卒業生
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甲斐 宗徳 教授
成蹊大学 理工学部 情報科学科とは
情報を伝え、処理するという分野において
今ここにない未来をゼロからつくり出す
 成蹊大学の理工学部は、ゼロから物事を生み出す学部です。まったく何もないところから、価値の広がりを生み出すことができる場所だと思っています。情報科学科は、3年次後期からそれぞれが希望する研究室に配属になります。

 私の研究室はソフトウエアを専門とし、並列処理と分散処理についての研究を行っています。多くのコンピュータがネットワークに接続された状態で、単独で与えられた命令に対する処理を行ってきました。しかし処理内容が複雑化、巨大化した昨今においては、単独のままではもはや処理能力の限界に達しています。この問題を解消するソフトウエアの研究とその集合体であるシステムの確立が研究室の主たる課題です。このシステムは、複数のコンピュータを同時に動作連携させることで処理能力を大幅に高めることができるため、作業時間を大幅に短縮し、現在のスーパーコンピュータを超える力を発揮するしくみとして可能性が期待される分野です。研究室としては、1年次から2年次で学習してきたプログラミングの力に加えて、並列・分散処理するソフトウエアの研究を通し、ものづくりに対する姿勢を修得することを狙いとしています。
物質生命理工学科・システムデザイン学科・情報科学科
学びの内容
コンピュータ自身が仕事を進めていくしくみを考える
 ソフトウエア研究室では、3年次後期で理論を学び、4年次前期でテーマを学生自身が決定し、卒業研究を進めていきます。研究室で行っているテーマのひとつである並列処理とは、複数のコンピュータでチームを組むという考え方です。例えば、人間が非常にタイトなスケジュールで仕事を行わなければならないときは、仲間を募って役割を分担して進めていくのが一般的です。これをコンピュータに置き換えると、ネットワーク上に存在する無数のコンピュータを募り、一斉に取りかかることで、従来にはない処理速度の実現が可能になるのです。そのしくみを構築することが、並列化です。この並列化をさらに自動で行おうという取り組みが、自動並列化です。通常、複数のコンピュータに同時に作業をさせる場合、分担する作業分野ごとに人がプログラムを書き換え、それぞれの作業内容をコンピュータに指示するという膨大なプロセスを踏まなければなりません。自動並列化は、その分担から具体的内容の指示まで、すべてのプロセスをコンピュータに行わせようという研究です。この技術は将来、インターネットを通じてデータやソフトウエアを利用するクラウドコンピューティングや、あらゆる場所でコピュータ機能を利用できるユビキタスコンピューティングの核となる先端技術で、このしくみづくりが私の研究室のテーマでもあります。

 研究室では、ソフトウエアづくりが好きな学生が多いですが、未知の先端技術を研究する場合、壁にぶつかることは少なくありません。壁にぶつかったとき、遠回りしても構わないので、教員と意見を交わし、積極的に仲間と協力しながら壁を乗り越えてほしいと思っています。壁にぶつかってもあきらめずに獲得した成功体験は、社会へ出たときに真価を発揮するはずです。

 情報科学科に限らず、私たち教員は学生の主体性を重視しており、研究室でも、学生のやりたいことを尊重しています。過去に学生から出たテーマの中には、HipHop音楽の自動振付システムを開発するというユニークなものもありました。成蹊大学は、学生がやりたいことの種をもっていれば、それを芽吹かせる環境とチャンスのある大学です。また我々も、その芽を大きく育てたいと考えています。
どのように成長してもらいたいか
修得した技術が活用できる場所はどこか
常に嗅覚を働かせてほしい
 情報科学科の学生が、IT業界だけに就職するというのは大きな誤解です。あらゆる分野で、コンピュータによる業務の効率化を図るために、ソフトウエア設計、システム構築の能力を備えた人材が必要とされています。学生には、IT業界以外の分野にも積極的に飛び込み、ここで得た知識と経験を元に、人に役立つシステムを構築し続けてほしいと考えています。そのためには、あらゆる社会の出来事にアンテナを張り、課題を抱える分野を見つけ、その課題を解決するシステムとは何かを常に想像することが必要です。どのような分野に進むにせよ、効率化を図るシステムを開発することで、新しい価値を創出する人材に自ら育つことを目標としています。
教員から受験生へのメッセージ
抱えきれないほどの「やってみたいこと」をもって
入学して来てください
 自分だけが楽しむためにコンピュータを用いるのではなく、人を支え助ける道具として使えるようにしたいと考えている学生を求めています。具体的なビジョンをもっていなくても、コンピュータを利用した分野で「なにかやってみたい」という夢をたくさんもって来てください。そして、積極的に学びに接してください。私たちは、学生一人ひとりの興味と技術を伸ばし「社会に貢献する人材」へと成長するお手伝いをします。
尾崎 直人 さん
成蹊大学 理工学部 情報科学科を選んだ理由
ソフトを手づくりすることで得た
人を笑顔にする喜びを、将来につなげたい
 私は小学生の頃、両親からもらったコンピュータでよく遊んでいました。もちろんゲームをすることも好きでしたが、私が夢中になったのは、ゲームをつくるソフトウエアでした。そのソフトウエアを使って制作したゲームを友人たちに貸したところ、みんなとても楽しんでくれて、思わず嬉しくなった経験があります。その感動が忘れられず、将来はコンピュータ関係の仕事に進みたいと考え、ソフトウエア制作を学べる情報科学科のある成蹊大学理工学部に入学しました。

 入学後は、ソフトウエアだけでなくハードウェア技術についても興味をもちましたが、どちらも予想を超える高度な学びだと実感する毎日でした。ある日、プログラミング技術の説明でわからない箇所があり、授業を終えた後に先生を呼び止め質問したことがありました。先生はわざわざ教室に戻り、私がわかるまで詳細に技術内容を説明してくださったのです。その先生が、甲斐先生でした。この出会いがきっかけで、先生とはソフトウエア開発について意見を交換させていただく関係を築くことができ、その後も先生のもとで研究したいと思い、甲斐先生のソフトウエア研究室へと進むことを決めました。
学びの内容
並列処理のしくみの研究から
コンピュータの可能性の大きさを実感しています
 私の研究テーマは、1台のコンピュータでは時間がかかっていた作業を、ネットワーク上の複数のコンピュータに共同作業をさせて高速化を図る、並列処理という技術の開発です。例えていうと、1台の自動車が100kmの距離を100分間で走るのが従来のコンピュータであるとすれば、並列処理という技術は、100kmの距離を10に分割し、それぞれ10kmの距離を10台の自動車で一斉に走ることができるシステムです。この技術で処理を行えば作業の処理速度を10分の1に短縮させることが可能になります。

 研究室では、実際に複数のコンピュータをつなぎ、処理速度を計測して、時間が短縮できたかどうか検証しています。つないだコンピュータが協力し合い、無駄なく能力を発揮するために、どのような手順で作業を進めさせるかという、アルゴリズムの最適化について考えることが研究の主な課題です。

 将来、この並列処理技術を使えば、多くのコンピュータをネットワーク化し、より速く、完成度の高い演算処理を行うことが可能になります。このような将来の基幹となる技術開発に自分がかかわっているという実感をもてることは、研究室の大きな魅力であると思います。また、学生一人ひとりにこまめに助言してくださる甲斐先生のサポートも、研究意欲を高める原動力になっています。甲斐先生は学生が理解するまで、何度も基本に立ち返って、根気よく説明してくださいます。質問をする際も、ひとつの質問からその関連性のあることまで掘り下げ、理解への補助線を引いてくれるので、安心して研究に打ち込むことができます。
将来の夢
「並列処理」という未来が広がる新たなしくみを
世の中へ送り出したい
 小学生の頃、自作のゲームで友人を喜ばせたように、将来はコンピュータを使って誰かの役に立つものづくりをしたいと考えています。研究室で出会った並列処理の研究は、大きな可能性のある分野です。世界中のコンピュータをネットワークでつなぐことができれば、世界に類を見ない処理能力を備えたコンピュータが誕生します。目標は、このシステム研究の一端を担い、いち早く世に送り出すこと。そして、ソフトウエア開発の分野で社会貢献できる人材になることが理想です。
在学生から受験生へのメッセージ
一度大学へ来てください
そして、大学ののびやかな雰囲気を感じとってください
 理系の学部はキャンパスが独立しているという大学もありますが、成蹊大学はワンキャンパスなので、他学部の学生とも日常的に交流し、意見を交わすことができます。理工学部の学生同士では得られない研究開発のヒントやアイディアを、例えば文学部の友人の意見によって得るなど、研究の可能性が広がります。こうしたあらゆる分野の学生が、多くの緑に囲まれたのびやかな雰囲気の中で、語り合えることが成蹊大学の魅力のひとつです。そしてこの空気を知るためには、実際にキャンパスを見学するのが一番だと思います。正門から続くけやき並木の美しさや、情報図書館を始めとした施設の美しさも感じとることができます。ぜひ一度、キャンパスを見に来てください。
吉村 礎 さん
成蹊大学 理工学部 情報科学科を選んだ理由
負けず嫌いな性格が、コンピュータへの好奇心を刺激しました
 中学時代にインターネットでキーワード検索をしていた際、私は適切な検索結果を出せなかったのですが、父が別のワードで検索するとすぐに情報が表示されたことがありました。同じコンピュータなのになぜだろう、という疑問、もっと使いこなせるようになりたい、という思いが、コンピュータとそのしくみに興味をもち、理工学部情報科学という分野を目指すきっかけとなりました。成蹊大学は4学部がワンキャンパスにあり、他学部の学生とも交流ができるので、理系的思考だけでなく、コンピュータをめぐる多様な考えや意見に触れられるかもしれないという思いもありました。

 入学後、私が所属した甲斐先生のソフトウエア研究室は、コンピュータ単体の情報処理能力を超えるシステム開発を手がけるという革新的な研究を行っていました。最初にその内容について説明を受けたとき、私は甲斐先生の研究室から世界を大きく変える技術が誕生するかもしれないという驚きと期待でいっぱいになり、ぜひその誕生に立ち合いたいという思いから、甲斐先生のもとでシステム開発に挑戦することに決めました。
学びから現在の職業へ
研究室で発見した
「未知の技術開発に挑戦する」魅力
 私が取り組んだのは、研究室の主なテーマである分散大容量メモリシステムの技術開発でした。これは作業を行う複数のコンピュータのメモリをネットワーク上で接続することにより大容量化し、処理速度を向上させるしくみです。

 この研究はひとつの開発プロジェクトのようなもので、先生を始め複数名で取り組んでいました。互いに各研究で得た知識を補完、共有し合い研究を進めていくうちに、今ここにない「未知の技術開発に挑戦する」魅力に惹かれていきました。未知の領域はまだまだ広がっている。その未知の分だけ、人に役立つ技術を生み出す可能性がある。研究を進める過程でこのことに気づいた私は、卒業後も、大勢の研究者と知識を補完、共有し合いながら「未知の技術開発」を進める仕事に携わりたいと考え、企業研究を進め、東芝を志望するにいたりました。現在は研究部門で、将来に向けた新しい技術を世に送り出すための研究・開発業務に携わっています。
学びの内容はどのように活かされているか
技術の理解と、伝わるプレゼンテーションが
製品化につながるカギとなります
 新たな製品を生み出す研究の中で、これまでの学びが役立っている点は「自分の考えを人に表現できなければ、何も生まれない」という教えから得た姿勢です。

 甲斐先生の研究室では月に一度、各自の研究発表がありました。当初私は、研究内容だけでなく、その結果をしっかりと、わかりやすく人に伝えることを自らの課題としていました。発表の際に先生は、私がいいたいことを即座に理解してくださり、説明の足りない部分を、わかりやすく説明するために「あなたの伝えたいことは、こういう表現で伝えればいい」と、いつも私に例示を与え、より高いレベルの説明を行うためのアドバイスをしてくださいました。また、わかりやすく伝えるためには、扱う技術に対する自分の理解度を高めなくてはいけません。そのためにも、小さな疑問でも放置せず、先生に積極的に質問をして、少しずつ疑問を解消し、検証実験してみることで、理解を深めていきました。徹底的に理解すること、それを自分の言葉で噛み砕いてわかりやすく伝えること、この2つのことを心がけることで、成長できたと実感しています。

 東芝の研究部門に就職できたのは、この経験が活かされたからだと思います。就職試験にあたり論文を提出し、面接で研究成果を発表しました。そこで相手によりよく伝えるプレゼンテーションができたという手ごたえを感じました。

 日常の業務の中で、研究を進めた技術を製品化するため、さまざまな部署にプレゼンテーションを行う機会があります。研究内容がいかに優れた技術だとしても、相手に理解されなければ製品化の軌道に乗ることはありません。そのためにも、伝えるべき技術を徹底して理解した上で、相手に伝わり、相手を動かすことのできるプレゼンテーション技術を磨き続けています。
卒業生から受験生へのメッセージ
挑戦し続けることで、次の扉がひらくはずです
 成蹊大学で研究を進める過程で、私は繰り返し挑戦し続けることの大切さを学び、課題を解決してきました。受験でも同様のことがいえるのではないでしょうか。受験においては乗り越えるべき課題が多々あるとは思いますが、挑戦を積み重ねていくことで大きな力となり、努力が報われるときが必ずやってきます。あきらめずに一歩一歩着実に前進してください。
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