ゼミ・研究室紹介
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研究テーマ 古代和歌を読む

『万葉集』から平安期までの和歌で歌われた季節と恋愛観を検証する

文学部 日本文学科 吉田幹生 教授

一首の歌に集約された伝統性と革新性を評価する

ゼミ(演習)は、『万葉集』から『新古今和歌集』あたりまでの和歌を対象とし、前期は四季の歌を、後期は恋愛の歌を鑑賞し分析します。学生は各テーマに沿って興味をもった一首を取り上げ、歌われた内容を読み解き、注釈を加えます。そこで着目してほしいのは一首の歌に受け継がれている和歌の伝統と、試みられている革新性について。これを多くの用例に基づいた客観的な視点で検証します。例えば桜の歌の場合、同時代の作者の多くが散るさまを歌っているのに対し、咲き誇る様子を表現した歌があれば、それを新しい試みであると判断した上で、革新性を評価します。

日本文学科 写真01
日本文学科 写真02

千年以上前の感性を理解する異文化コミュニケーション

古典文学とは長い年月、多くの人を感動させ伝えられてきた言語表現です。とはいえ、歌集に収められたすべての歌が高い完成度をもつとは限りません。斬新さをねらうあまり勇み足と思える表現もあれば、伝統を踏襲しただけの平凡な歌もあります。数多くの歌に触れることで、本質的価値を見抜く鑑賞眼を養ってほしい。当時の和歌は同じ国土に住む日本人による作品ですが、千年以上前の季節感や恋愛観を理解することは、ひとつの異文化コミュニケーションといえるでしょう。古典研究を通して養う、自分の興味を客観化し論理性をもって人に伝える力は、社会のさまざまな場面で求められると考えます。

私とゼミ
五十嵐 美樹

短い表現への感想と共感を
論理的な言葉で考察に変える

文学部 日本文学科4年
(2016年度公開時)

五十嵐 美樹さん

文学作品の解釈は本来自由だと思いますが、ゼミ(演習)では抽象論は許されません。四季の歌を解釈する際、私は五月雨を歌った歌を検証しました。『万葉集』までさかのぼり「五月雨」という単語を用いた歌を徹底的に集め、歌の中で雨から晴れに変わる一首に着目。その歌が宮中で詠まれた際に喝采を浴びた記録や、それと前後して五月雨に重きを置いた歌が増えたことにも触れ、歌の革新性について発表しました。しかし、その一首は文字表現としては平凡。五月雨の使われ方の転機とする確かな根拠も見出せず、腑に落ちない点が残りました。そこで卒業論文では、感想や共感といった主観に、客観的な実証を加えることで論理性を高めた文学解釈を仕上げようと思います。

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