3年次前期のゼミで精読した文献の中では、特にアメリカに移民したアイルランド人の歴史に関心を持ちました。アイルランドの音楽への興味から、3年次後期からはアイルランドに留学しました。卒業論文では、ゼミや留学で得た知識や経験を全て盛り込みたくなりましたが、対象が広すぎると内容が散漫になると先生や仲間からも指摘され、結局、アイルランドの音楽と文学に絞り込み、その社会的役割を考察することに。アメリカ音楽を研究する仲間との情報共有や、海外の研究論文も参考にしながら最後まで仕上げることができました。様々な視点で物事を考え一つの結論へ導くというゼミでの体験を、社会に出てからも大切にしたいと思います。
3年次の前期はアメリカの文化や歴史、社会問題などを網羅したテキストを輪読し、そこで得た基礎知識から、卒業論文につながる個人研究のテーマを絞ります。学生の興味は多方面にわたり、アメリカで何度も映画の題材とされたリンカーンへの興味を発端とした南北戦争研究、ポピュラー音楽や野球文化の歴史、コミックで描かれるヒーロー像の変遷史など様々なテーマが出そろいます。アメリカを入口にして、別の国に興味を広げる学生もいます。自分とは異なるテーマを持つ仲間と緊密に学び合えることが、少人数で行うゼミ(演習)の醍醐味だといえるでしょう。
後期には各自のテーマについて、グループワークを通して研究の精度を高めます。論理の飛躍や欠落を指摘し合うことで、自らの理解を深めていきます。これと並行して論理的な文章を書くための基本的なルールを学び、4年次の卒業論文の執筆に生かします。社会では、自分のアイデアを正しく人に伝え周囲を巻き込んでいく力が求められます。ゼミにおける研究は、自分のアンテナで収集したテーマを多様な価値観や考えにぶつけて磨き上げていくことでもあります。そうした学問の経験の中から自らの特性を理解し、自己を発信する力を身に付けてほしいと思います。