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ポジティブ・アクション 竹内敬子【国際文化学科】

みなさんは、「ポジティブ・アクション」という言葉を聞いたことがありますか? 英語の「ポジティブpositive」には、「明白な」「確信して」「積極的な」「陽性の」などの意味がありますね。その他、法律用語で「人為的な」という意味もあります。「ポジティブ・アクション」とは、人種や性別や階級・階層などに基づく「実質的な差別」が存在する場合に、それを解消し「実質的な平等」を確保するための「積極的格差是正」「積極的格差改善」を「人為的」に行うことです。
たとえば、イギリスのケンブリッジ大学やオクスフォード大学の入試では、貧しい家庭の出身者の受験生を入試で多少有利に扱う、ということをしています。貧しい家庭の子どもは裕福な家庭の子どもに比べて、親が子どもの教育のためにお金をかけることが出来ません。また、一般的に中流以上の家庭の両親の方が教育熱心な傾向にあります。貧しい家庭に産まれたことにより、「不利」な条件で育った子どもを、「今の学力」だけで判断して単純に上位の者から入学させるのは、子どもたちの「資質」という点で不平等がある、という考え方に基づいた措置です。これもひとつのポジティブ・アクションです。
ただ、ポジティブ・アクションには、難しい問題も伴います。差別の程度の判断や、格差是正策が適正範囲内か?などの問題です。ケンブリッジ大学やオクスフォード大学の入試で、「今の学力」で貧しい家庭出身の受験生よりも勝っている者が、不合格にされた場合、不満を感じることもあるでしょう。複雑ですね。

誰だって「差別」のない社会が良い、と思いますよね。でも、「差別」はなかなかなくなりませんよね。ここで少し「差別」ということについて考えてみましょう。『人種差別と偏見』(岩波新書)という本では、「偏見」はそれが間違っていると分かれば解消するが、「差別」はそれが間違っていると分かっても消えない感情、と書かれています。「やなヤツ」と思っていた同級生が、実は「いいヤツ」だった、と分かれば、自分の偏見はきれいさっぱり解消されますよね。でも、「人はみな平等」と頭で分かっていても、アメリカで黒人への差別の感情がなかなか消えない。だから、差別はやっかいです。そして、その感情が、就職や昇進での「実質的な差別」につながることも多いのです。
実は、日本の政策でポジティブ・アクションが提唱されているのをご存知ですか? 2010年に閣議決定された「第三次男女共同参画基本計画」では、日本の男女格差の是正のためにポジティブ・アクションの適切な実施が「緊急の課題」とされています。学生のみなさんは、あまり身近に男女格差というのを感じないかもしれません。でも、毎年世界経済フォーラムが発表するジェンダー・ギャップ指数で135カ国中101位、先進諸国の中では最下位です。このジェンダー・ギャップ指数というのは、政治・経済・教育・保健などの面での男女格差を表す指数で、日本は政治・経済分野での男女の格差が大きいために、このような順位となってしまっています。この点について、国連女性差別撤廃委員会からも、ポジティブ・アクションの実施の勧告が出ています。
日本国憲法では、「法の下の平等」が規定されています。この「平等」の中身が問われているのです。格差とは何か、差別とは何か、平等とは何か、というのは、とても複雑で難しい問題ですけれど、大事な問題です。自分の中に他者への差別意識がないかどうか、見直してみてください。ポジティブ・アクションについてもう少し勉強してみたい人は辻村みよこ『ポジティブ・アクション―「法による平等」の技法』(岩波新書)を是非読んでみてください。

 


ポジティブ・アクションについて    2年生の演習でディベートをしました

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