イベント・講演会報告

イベント・講演会報告

2016.12.26

「東北復興スタディツアー2017 in いしのまき」プレイベント第2弾
「3.11に学ぶ私たちの防災~私たちに“いま”できること~」を、
「成蹊ボランティアまつり2016」関連イベントBとして開催しました(11月4日)

 ボランティア支援センターでは、「東北復興スタディツアー2017 in いしのまき」ツアー実施に先駆け、スタディツアーでの学びを広く学内外で共有するプレイベントの第2弾として、「成蹊ボランティアまつり2016」関連イベントとして、標記のイベントを実施しました。石巻市より、東日本大震災当時に防災対策課長として現場の指揮経験のある木村伸氏(現危機対策課 事業推進官)をお招きし、石巻市における東日本大震災当時の状況と、その経験からの防災対策についてご講演いただきました。また、スタディツアー学生スタッフが企画した、想定されている首都直下地震に備えるための啓発を目的とした、防災ワークショップを実施しました。

以下、スタディツアー学生スタッフによる報告です。

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▶プレイベント内容
1.石巻市危機対策課事業推進官 木村伸氏からの講演
2.アイスブレーキング
3.ワークショップ
4.木村氏による講評

▶木村伸氏による講話
 18時35分に木村さんのご講演が始まった。木村さんはご自分の話を始めるとすぐに「東日本大震災で被災した石巻に、全世界からのご支援に対し感謝をしたい」と述べた。その後、石巻市についての説明。1つの市と6つの町が合併し現在の石巻市になった。東日本大震災に関する、ある市民調査によると、津波がきた後に避難したと答えた人は全体の46%(答えた人はすべて生存者)であり、亡くなった人を割合を考えると、その多くが避難をしなかったのではないか、つまり残りの50%以上の人が津波がきても避難しなかったと考えられている。木村さんはその理由について、家のほうが安全だと思った、家族のことを待っていた、東日本大震災以前に石巻市に到達した津波が家の2階にはこなかった等、多くの理由を述べた。また、2010年チリ地震津波のときにも、東日本大震災の2日前に発生した、マグニチュード7.3の地震時にも、津波注意報が発令されたが石巻市に津波は来ず、当たらない津波注意報を住民が信用しなくなっていたという理由もあった。

 避難所での生活について、木村さんご自身が震災当日の全体指揮にあたられており、約8万人分の食事を3食分用意することはかなり大変であったと語った。自衛隊は緊急性・非代替性の原則があり、3か月で撤退、そのあとは各地からのボランティアによる支援が主体となったという。1年間で約28万人のボランティアが支援に駆け付けた。地元・石巻専修大学の学生や諸NPO等からのサポートも受け、ボランティア活動のスケジュールやニーズのとりまとめに関して、通常は社会福祉協議会が中心となって行うが、28万人という数のボランティアを対応することは困難であり、地域が協力しあっていたことがわかる。

 また、仮設住宅見守り隊という団体ができ、孤独死や自殺から入居者を守る活動が行われ、阪神・淡路大震災のときの経験が伝授されている。津波伝承アプリのシステム開発を行うことで津波を後世に伝えることも行っていた。木村さんはこの甚大な被害をもたらした東日本大震災の中から、何か一つでもよいことを見出そうとしていた。私たちの中でも記憶に新しい、2014年熊本地震のときには、震災発生後、中高生が誰に何を言われることもなく、募金活動に立ち上がっていたという。そういった被災地ならではの心の発達から悪いことからよいことに、少しでも変えていけたら、と述べていた。

 講演の最後に質疑応答を行った。
Q1:私たちに今できることは?
A1:常に自分の周りを見て生活してほしい。例えば地震が起きたら家族でどこへ逃げるのかを確認したり、トンネルにいるときにどちらの出口が自分にとって近いのかを考えたり、普段なかなか考えないことだが、常日頃何かのときに考えてほしい。
Q2:東日本大震災は14時46分に発生したが、夜間に発生していたらどうなるのか?
A2:今回は平日の昼間であったことから、災害の想定としてはよいときに来たといえる。明るいときに起きていれば火も止められる。最悪のケースは夜中に発生したとき(3~4時)と朝食の時間帯。この時間帯に起きれば、火災がより多く発生するであろう。

▶ワークショップ「大切な人を守るために~私たちが今できること~」
(1)0次持ち出し品について考える
 予め設定されたリュックの容量に合わせ、防災アイテムリストの中から0次持ち出し品を選択してもらうワークショップ。アイテムリストには乾パン・キャンディ・水(500)・水(1000)・食品用ラップ・ポリ袋・ポケットティッシュ・モバイルバッテリー・携帯ラジオ・懐中電灯・ホイッスル・簡易トイレ・使い捨てカイロ・使い捨てマスクの計14項目があげられ、この中から選択してもらった。参加者を4つのグループに分け、話し合ってもらい、各グループ内で回答を決めてもらった。
 回答 キャンディ・ポケットティッシュ・水(500)・ポリ袋・モバイルバッテリー・ホイッスル・使い捨てマスク
 回答について本ツアーリーダーの石井が全体に向け、アイテム一つ一つの用途や重要性を説明した。


(2)大切な人を守るために 避難ルートを考える。
 提示した4つのルートの中から、想定される被害を考えつつ一番安全にたどり着けるルートを決断するという設定のワークショップ。大規模地震発生時に新宿にいたという想定で、地震発生時にいた場所から避難所までの距離をメートルで示し、混雑度やガソリンスタンド、コンビニエンスストア、高層ビルなどの周辺施設の立地などを考慮しながら、4通り設定された避難経路の中から、最もふさわしいと考えられる経路を、グループ内で議論し1つの結論を導き出すことを試みた。今回のルート選びのポイントとしては、ガラス破片が降ってくる可能性がある高いビルの多い道は避ける・火災を避ける・人の多さを考慮する・ガソリンスタンドは爆発の可能性がある・コンビニがあるかどうか・道の狭さ等があげられた。

▶講評
 最後に木村さんから講評をいただいた。
情報のツールをたくさん持つことが大切。この震災ではソフトバンクは3日目で中継車がきて電波がつながったが、ドコモは1週間つながらなかった。ラジオやスマートフォンを使った情報発信を行ってほしい。テレビは役に立つようで立たない。どこでも立ち上がる携帯ラジオをすすめる。逃げる方向によっては死ぬ可能性があるため、情報を正しく入手することが肝要である。皆さんは災害伝言ダイヤルを使えますか?自分の安否を発信し、家族や恋人など、自分の大切な人の安否情報を確認することが大事で、何かあったらここに集まろうと決めておくかおかないかでかなり違ってくる。ラジオなどから情報を受信するだけではなく、自ら発信してほしいと語った。