三宅島放出ガスの降水への影響

 2000年6月に噴火活動を開始した三宅島では,9月以降大量の火山ガスの放出が続いている.成蹊気象観測所の降水pHの観測では,従来は南寄りの風の場合,降水の酸性が弱くなる傾向が観測されていた.しかし,2000年10月以降,南寄りの風が吹いた場合に降水の酸性が強くなる傾向が現れている.

成蹊気象観測所での
降水のpHの月平均値
の経年変化.
降水pHの捕集にはデ
ポジット・ケージを用い,
pHはパックテストにより,
測定している.

 2000年10月のpHの月平均は約4.2となり,測定開始後最も低い値となった.この時期,多摩地区では,弱い硫化水素臭がたびたび感じられるようになった.自治体の二酸化硫黄のモニタリングで,濃度が上昇していることが検出されており,三宅島起源の火山ガスが広域に拡散しているためと考えられている.
 北寄りの季節風が卓越する冬季には,降水のpHは例年並に戻っているが,6月からの降水には,再び強い酸性を示すものが混じり始め,昨年より大きく変化した.

7月以降の傾向が整理でき次第,追加します.