東京タワーの視程観測

 2004年度に,成蹊高校屋上から朝9時に東京タワーが見えた回数は,243日に上り,42年間の観測で過去最高になった.7〜8月の夏季に見える回数が,近年になって激増していることが原因と考えられる.都心方向の視程の回復の原因としては,大気汚染物質の減少とともにヒートアイランド現象による湿度低下が考えられている.


1. 東京タワー,富士山,秩父連峰の視程日数.9時に見えたか見えないかを記録している.吉祥寺から西へ郊外の方向を見る富士山と秩父連峰の日数は漸増であるが,吉祥寺から東へ都心方向を見る東京タワーの見える日数は大幅に増加する. 2. 増加の一因は,従来は視程の悪かった夏季のデータが増えていることにある. 3. 9時に同時に測定している湿度の年平均は,富士山の見える日数とは相関がないが,東京タワーが見える日数とは弱い負の相関が見られる.東京タワーがよく見えるようになった一因は,都心方向の湿度低下によると考えられる.湿度の数値よりも視程のデータの方が年毎の変化を知る時には敏感である.