オンライン授業の取り組み

オンライン授業理工学部の取り組み

オンライン授業は「ベストミックス」で最大の効果を

システムデザイン学科 小川隆申教授

専門:
流体力学
担当する専門科目授業:
「流体力学Ⅰ,Ⅱ」「熱工学Ⅰ」

私はコロナ以前の2017年度から、担当科目である「流体力学」を反転授業化するためオンデマンド型オンライン授業を導入してきました。従来は授業中に板書して説明していた内容を動画教材化し、学生が授業までに事前視聴するようにしました。それにより板書による説明時間を省略でき、授業時間中は演習と質疑応答にじっくり取り組むことができるようになりました。また、動画教材はいつでもどこでも繰り返し学習ができますし、習熟度に応じた学習ができるので学生にとっても利便性が高まります。ただし、オンデマンド型ではその場で質問に答えられないので、動画教材は通常の授業より詳細な説明を入れると同時に、飽きてしまわないよう動画1本は10分未満に収まるようにしています。また、要点を確認するためのプリントも事前に配布し、漫然と教材を視聴することのないよう配慮しています。

図1:オンデマンド型授業の教材(上段)と確認用プリント(下段)
図1:オンデマンド型授業の教材(上段)と確認用プリント(下段)

そしてコロナ禍になり、教室で行っていた演習をオンライン化する必要が生じました。そこで、授業実施のための要件を整理し、「質疑応答のため双方向性は必須であること」、「学生と対面すること以上に学生の式展開の確認が重要であること」、「図表なども交えながら説明ができること」などを考慮した結果、図表を交えることが可能な「高機能チャット」が最適であるという結論に至りました。オンライン授業というとZoomに代表される画面越しの対話型式を想像しがちですが、それぞれの授業に最適なシステムを組み合わせた「ベストミックス」であることが大切です。私の授業の場合、従来から使用していたオンデマンド型教材と高機能チャットの組合せがベストミックスだったわけです。

チャットにはMicrosoft「Teams」を利用しています。Teamsのチャットは非常に多機能で、図の貼り付け、文字装飾、過去の投稿引用、ファイル添付など、教室で板書を交えて説明するよりも遥かに多彩な表現が可能です。また、授業中にチャットで説明した内容はそのまま残るためいつでも復習できますし、複数の学生と並行して質疑応答を行ったり授業時間外でも質問を受け付けたりできますので、学生たちは質問しやすくなったようです。さらに、チャット授業なら通信量も軽いため途切れるといったこともありませんし、演習は紙と鉛筆で解答してスキャンアプリで提出しますので、自宅どころか電車内やカフェなどでも受講できます。

図2:チャット授業の様子
図2:チャット授業の様子
図3:チャットによる図を交えた質疑応答の事例
図3:チャットによる図を交えた質疑応答の事例

このように、教室で行っていた反転授業を更に発展させたかたちで完全にオンライン化することができました。その実現には、授業内容の説明自体をオンデマンド教材で事前視聴し、授業時間中の演習はリアルタイムの高機能チャットで行うというように授業に応じた『ベストミックス』でオンライン化することが重要であると考えています。

学生の声

事前の動画教材視聴で余裕をもって授業に臨める。
解説履歴が残るチャット授業は復習が非常にやりやすい。

システムデザイン学科3年 受講生

小川先生の授業ではコロナ禍の前から、授業前に動画教材を見て内容を把握した上で、授業中は主に演習や質問に時間をかけることができていました。Teamsのチャット機能を使ったオンライン授業では、先生が図や式を視覚的に示しながら丁寧に説明してくださるので、理解に問題はありません。

動画教材では、映像を都度止めてノートに途中式の計算などを書くことができます。チャットは履歴が残るので先生の説明を聞き逃すことがなく、またいつでも見返せるので復習が非常にやりやすいと感じています。Teamsの利用は今後対面授業が再開されても継続してほしいです。

オンライン授業では、メインのPC1台と、課題提出時のカメラ機能としてスマートフォンを1台併用しながら自宅の部屋から受講しています。先生や学生同士のコミュニケーションは、メールやチャットで問題なくできています。