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中小企業のグローバル戦略を考える

日本の伝統産業である日本酒は、いまグローバル化という大きな問題に直面しています。
経営資源の限られた企業がとるべき戦略とは?
海外へと移りつつある日本酒市場

日本には従業員300人以下、資本金3億円以下の中小企業やベンチャー企業が数多くありますが、経営資源が豊富でないそれらの企業のグローバル経営戦略が、私の研究テーマです。最近はその中でも、日本の伝統的な産業で、ほぼすべての企業が中小企業である日本酒産業について調査をしています。近年、日本酒は全体の生産量や蔵数が減少し、国内市場規模は縮小している一方で、海外では日本酒の消費が伸びています。世界的な和食ブームによって増えつつある日本食レストランで人気が高まっているのです。減りつつある日本の需要に対して、海外で消費が伸びているという状況の中で、どのように戦略的な対応をするか。これは限られた資源しかない中小企業のグローバル化という問題であり、まさに私が問題意識を持つ研究に適した産業なのです。

日本で造らなければ「日本酒」ではない?

アメリカ、韓国、中国で生産された日本酒

取られる戦略は企業によってさまざまです。海外に進出しないという企業もある一方、積極的に海外に打って出る企業もあります。たとえばある企業は、従来あまり食べ合わせることのなかった、肉に合う日本酒など、現地消費者にアピールする商品を作っています。また、海外に輸出すると日本の3倍の価格になってしまうので、現地の工場を設立して日本より安い価格で生産し、販売している企業もあります。特にアメリカでは日本酒生産が盛んに行われています。実は、日本を除く世界の日本酒消費量の約7割は海外産日本酒であると推計されています。「日本の原材料を使って日本国内で造らなければ日本酒ではない」という前提を変えれば、日本の技術を海外の生産拠点に伝え、その土地の水や米を使うことで、輸出コストを抑えつつ、その土地特有の日本酒を造ることが可能となるでしょう。中小企業はヒト・モノ・カネの有形資源が限られていることから、その分、知恵を絞らなければならない。そうした発想から新しいビジネスの可能性が生まれてくることが、中小企業研究の面白いところです。

浜松 翔平 准教授

東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。元は理系だったがビジネス・プロジェクトを学ぶ授業に参加したことで経営理論に興味を持ち、現在の研究へ。中小企業のグローバル経営戦略が専門。

研究分野

経営戦略論