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経済学部 鈴木史馬教授の論文が学術雑誌PLOS ONEに採択

2020年04月22日

教育・研究

経済学部 鈴木史馬教授の論文「Information feedback in relative grading: Evidence from a field experiment」(京都産業大学 梶谷真也准教授、明治大学 盛本圭一准教授との共著)が、科学雑誌PLOS ONEに採択されました。PLOS ONEは、オープンアクセス型の学術誌で、その論文掲載量の豊富さから、世界的に有名な学術誌の一つとなっています。

論文要旨
 経済学では人々が何かの行動をする背後には「動機」があると考えます。そのため、人々のやる気をいかに引き出すか?は経済学における重要な「問い」です。本研究は、相対的な成果(具体的には順位)に関する情報を提供することが人々のやる気にどのような影響を与えるのかを、ある大学の実際の授業科目でランダム化比較試験を行って検証しました。 
 この授業科目では、中間試験と期末試験の2回の試験成績の加重平均のみで成績をつけます。ただし、合格率が一定以下にならないように、合格か不合格かのボーダーラインが学生の成績分布に依存して決まります。この相対評価のしくみは学生に告知されています。我々は、中間試験終了後に、学生(254人)を中間試験の得点のみを通知する制御群(130人)と、中間試験の得点に加え順位も通知する処置群(124人)に分けました。そして、制御群と処置群の学生の間で期末試験の得点に違いが生じるのかを調べました。その結果、順位を知らされた学生は、順位を知らされなかった学生と比べ、平均的に約3.5点期末試験の点数が高くなることが明らかになりました。この理由を詳細に検討したところ、順位を知った学生は、順位を知らされなかった学生と比べ、期末試験の未受験率が低下することが分かりました。すなわち、順位を知らされた学生が、知らされなかった学生と比べ期末試験の成績が高くなったのは、順位を知ることにより試験を諦める学生が減ったことに由来すると解釈できます。
 以上のように、本研究は相対的な成果情報の通知が実際の教育現場において学生の学習意欲を引き出す上で効果的な役割を果たしうることを明らかにしました。

※本研究は、研究実施大学における研究倫理審査委員会の倫理審査を経た上で実施されました。

論文(英文)はこちら(外部リンク)よりご覧いただけます。