News & Topics

News & Topics

経済学部 庄司俊章助教の論文が学術雑誌Japanese Economic Reviewに採択

2020年09月23日

教育・研究

経済学部 庄司俊章助教の論文「Formation of Chinese Venture Capital Syndication Network」(東京大学 楡井誠教授、CICC Fei Yu氏との共著)が、学術雑誌Japanese Economic Reviewに採択されました。

Japanese Economic Reviewは日本経済学会が発行する国際的な学術誌で、今回の論文は「経済学と複雑ネットワーク」と題された特集号に掲載予定です。

論文要旨
ベンチャーキャピタルは、新興企業への投資を行うことで新産業の育成に寄与する金融仲介機関です。新興企業への投資は通常大きなリスクを伴うことから、複数のベンチャーキャピタルが共同して投資を行うことが慣例となっています。この論文では、ベンチャーキャピタルがどのようにして共同出資する仲間を見つけているのか、またそのネットワークにどのような統計的性質があるのかを、中国のデータを用いて検証しました。

この論文の最大の発見は、ベンチャーキャピタルが持つコネクションの数(一緒に投資をする仲間の数)が、「ベキ分布」に従っているということです。これは、ベンチャーキャピタル業界の格差が極めて大きいことを示しています。つまり、多くの仲間を持つ一握りの巨大企業と、わずかな仲間しか持たない零細企業に二極化しているということです。また、巨大企業は新しい仲間とも積極的に手を組む傾向があることも示されています。

ネットワークにおけるコネクションの数がベキ分布に従うという傾向は、ウェブページのリンク数や科学論文の引用など、他の応用例でも報告されています。このような状況下では、巨大企業に降りかかったショックが十分に減衰せず、ネットワーク全体に伝播してしまうことが知られています。今後、マクロ経済学をはじめとする分野で、ネットワークの手法はますます活用されていきそうです。


論文(英文)はこちらよりご覧いただけます