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アイヌ民族文化財団から現役大学生の講師をお招きし、対面ゼミ・慶應大学との合同ゼミを開催

2021年07月05日

教育・研究

2021年6月16日(水)・17日(木)の2日間、文学部の細谷広美教授(文化人類学)のゼミで、アイヌ民族文化財団から関根摩耶さんを講師として派遣していただきお話を伺いました。細谷教授は先住民族の権利に関する国連宣言の採択に関わったジュリアン・バージャーの書籍を翻訳する他、アンデスの先住民文化に関する書籍を数多く出版してきています。

日本では2019年にアイヌ新法(アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律)が成立し、昨年(2020年)には北海道の白老町に国立アイヌ民族博物館(通称ウポポイ)が創設されました。また、マンガ・アニメ『ゴールデンカムイ』が話題となり、同作は大英博物館で開催されたマンガ展(2019年)で大きくとりあげられています。講師の関根さんは現在慶応大学の4年生で、アイヌ民族初の国会議員となった故萱野茂氏の故郷でもある北海道平取町二風谷(にぶたに)出身です。各種講演やラジオ番組、YouTube等を通じてアイヌ文化を発信してきていらっしゃいます。

16日は基礎演習(2年生)の対面ゼミ、17日はオンラインで関根さんが所属する慶応大学のゼミと本学3、4年生の合同ゼミを開催しました。お話は「シシャモ」「ラッコ」、ファッション雑誌「non-no」(「花」の意)などの身近な単語が実はアイヌ語起源であるということからはじまり、町の活動として子供の頃からニュージーランドの先住民族マオリの人々の地を訪れ交流してきていること。樹皮を用いた繊維を草木染し織る衣服制作の第一人者のお祖母様から様々なことを学んだこと。宗教、工芸品、食べ物、歌、楽器、踊り、アイヌ語のミニ講座など盛沢山でした。近年は10代、20代の若者たちがSNSを通じてアイヌ語で会話をしているそうです。「カムイ」の話から最後に「天から役目なしに降ろされたものは一つもない(kanto oro wa yaku sak no arankep shiep ka isam)」という世界観が伝えられました。

締めくくりとして関根さんから「私たちのことを「アイヌ」と括ることによって、もうそこから私たちは他の人たちとは異なる存在に区別されている気がする。結局それがアイヌだけでなく他の多様な文化や人を区別、排除することにつながると思う」「いろいろな価値観、いろいろな人を受け入れるのが当たり前になるような社会になれば素敵なのではないかと考え、そのきっかけにアイヌが成り得るのではないかと思いながら発信を続けている」いうメッセージが伝えられ、同世代が多様な経験をしていることを知るダイバーシティの観点からも貴重な時間となりました。