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経済学部現代経済学科の「実践ゼミナールA」の授業紹介

2022年03月02日

教育・研究

経済学部現代経済学科の「実践ゼミナール」は学科の特徴あるプロジェクト型授業で各クラスそれぞれユニークな取り組みが進んでいます。

今回は、20-30代の若年層に必要な最低生活費について、ある手法で学生自身が調査することで、この世代に必要な社会保障について考察するプロジェクトを紹介します。
その手法とはMIS(Minimum Income Standard)法。これはイギリスの最低生活基準の考えから生み出された手法で、日本でも厚生労働省などが行う「最低生活費調査」で実際に使われている手法です。
特徴的なのは、専門家ではなく一般市民が何度も話し合い、生活を送るのに何が必要か、生活の中身をリストアップしなから計算し決めること。従来の"人が生存するために必要不可欠の最低支出を割り出す"という基準を考え直し、"人々が心身ともに健康に生活するために、なぜそれが最低必要か?を一般市民である私たちが実際に考えたうえで、算出する"ことが重要になります。

授業を担当する内藤 朋枝 専任講師のもと、今回のプロジェクトでは「20代前半の武蔵野市に住む単身者(男女それぞれ)が"心身ともに健康に"生活するために必要な最低生活費」についてグループに分かれ調査・検討を行いました。
授業の前半は、MIS法を用いてグループごとに必要な生活費(「食費」「住居」「衣類・持ち物」など)を品目ごとに緻密に算出していきます。学生間でインタビューや議論を幾度も繰り返しながら、家族構成や趣味、行動スケジュールなどを20代前半の男女の平均に可能な限り近づけていきました。
授業の後半では、アトレ吉祥寺、キラリナ京王吉祥寺の店舗での価格調査を実施。衣類やし好品について、実際に店舗で商品の値段調査を行いながら20代前半の男女に必要な費用を調べ出しました。

迎えた調査報告会では、調査結果の品目・費用の報告に留まらず、厚生労働省の最低生活費調査と自分たちの結果を比較しながら"心身ともに健康に"生活することと "最低限必要な生活費"のズレを問うなど、社会保障を議論するうえで重要なテーマに辿り着いたグループや、算出した生活費と20代前半の平均的な月収とを比較し、どのようにすれば理想の生活を行えるのか考察を深めたグループもいました。

調査にご協力いただいたアトレ吉祥寺、キラリナ吉祥寺の担当者からは「最低限必要な生活費の中には、医療保険料・年金保険料・雇用保険料といった重要なものがある」等の貴重な意見をいただきました。また「もし新入社員として行政や企業に支援を求めることが出来るとしたら、率直に何をもとめるか」という質問には「新入社員にとっては、給料に占める社会保険料の自己負担分が高く感じる。この自己負担分の支援があれば...。」といった若い世代ならではの学生の鋭い意見も出るなど、報告会は終始白熱していました。

2022年1月11日(火)の調査報告会では、キラリナ京王吉祥寺から副支配人を含む2名、アトレ吉祥寺からはチーフエリアマネージャーを含む3名の方々を前に、各グループの発表・質疑応答が行われました。