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近世ゼミ
江戸時代の文学を読む

与謝蕪村筆「奥の細道図扇面」(メトロポリタン美術館蔵)

対象学年
3・4年次
担当教員名
牧 藍子
Aiko Maki
学びのキーワード
  • 文学
  • 江戸時代

研究の内容

近世文学とは、江戸時代の文学のことです。このゼミでは、江戸時代に生み出された多様な作品の中から、毎年一つか二つの作品を選び、注釈をつけながら丁寧に読んでいます。近世文学にはいろいろなジャンルがありますが、仮名草子・浮世草子・読本・草双紙・俳諧・浄瑠璃・歌舞伎など、いずれも当時の人々に広く親しまれた文芸です。まずは古典という先入観を持たずに多くの作品にふれ、そこから興味をもった作品について調べ、それぞれのテーマを見つけてほしいと思います。また、商業出版が始まった江戸時代は、本が商品として流通するようになった時代です。面白い本がたくさん出版され、それらが現在も「モノ」として残っています。ですので「モノ」としての本が好きな方にも、近世文学はおすすめです。写真の出版物は歳旦帖と呼ばれるもので、俳諧の師匠が門人たちの句を集めて毎年お正月に刊行しました。白黒二面に描き分けられた富士山のデザインからは、意外と現代的な印象を受けるのではないでしょうか。この挿絵とともに記される句はどんな内容なのでしょう。中身を読んでみたくなりませんか。

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研究の進め方

まず3年生の間に、近世文学の各ジャンルの特徴と展開についてひと通り学修し、卒業論文執筆のための資料の収集方法や、データベースの使い方、集めた情報の分析の仕方を学びます。4年生になってからは、本格的に自分のテーマを探究しつつ、卒業論文の執筆をすすめます。これと並行して、クラスみんなで同じ作品を輪読していきます。教員が講義することもありますが、基本的には発表担当者によるプレゼンテーションをもとに、受講者全員がディスカッションを行う演習形式の授業になります。発表者は事前にレジュメを準備し、受講者はそれに目を通し、質問事項などを用意して授業にのぞみます。また夏休みには一日か二日、集中して卒業論文の中間発表会を行っています。

未来のゼミ生へ

日本文学科では、4年生の12月に卒業論文を提出してもらいますが、これは単に指定の字数を満たした原稿を提出すればよいわけではありません。卒業論文を完成させるには、学びの中から自分のテーマを見つけ、資料を集め、それを論理的に組み立てて、自分の言葉で説得的に主張することが重要になります。このゼミでは。二年間かけて近世文学とじっくり向き合いながら、これらの力に磨きをかけていきます。江戸時代の文学を読むことを通じて知ることができるのは、当時の人々の価値観や生き方だけではありません。本のなかで、自分と同じようなことで悩んだり、憤ったり、笑ったりする人々と出会うことで、自分を再発見することもあるかもしれません。文学に表現された人の心に触れ、それを仲間と共有することの楽しさを、ぜひ一緒に味わえたらと思います。

ゼミ・研究室の魅力

  • ⽂献を読み解く力が身につく
  • プレゼンテーション⼒が⾝につく
  • 論理的な思考力が鍛えられる

卒業論文のテーマ

  • 「浅茅が宿」論
  • 『稲生物怪録』にみる近世怪異譚の文芸性
  • 近世文学と茶道
  • 〈源太騒動〉の文芸化―上田秋成の創作意識の変化―
  • 山東京伝の創作手法―『復讐奇談安積沼』を中心に―
  • 鶴屋南北作の清玄桜姫物の特徴
  • 『野ざらし紀行』論―〈秋風〉を中心に―

教員のプロフィール

牧 藍子

Aiko Maki

2015年から近世文学のゼミを担当しています。芭蕉とその弟子たちの活躍した元禄・宝永期の俳諧を中心に研究しています。『元禄江戸俳壇の研究―蕉風と元禄諸派の俳諧』(ぺりかん社、2015年)

研究分野
日本近世文学
俳諧
元禄文学
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