研究の内容
小説やエッセイを通して、アメリカの歴史とその記憶がどのように文学のなかで表現され継承され、アメリカ社会をみる見方を形づくっているかを考えるゼミです。Edgar Allan Poe, Nathaniel Hawthorne, William FaulknerからColson Whitehead, Jesmyn Ward, Ta-Nehisi Coatesなど、出身地も人種も政治的メッセージも異なる作家による作品を取り上げ、文学がどのように時代の状況を映し、ときに土地に堆積する記憶(“geomemory”)を宿し、未来へと向けた記憶(future memory)を創造していくのかを考えます。関連するドキュメンタリーやドラマ、アートも取り上げながら、記憶継承や社会変革という観点から文学が放つ役割について捉えます。
研究の進め方
アメリカの小説やエッセイを読み、アメリカを形づくる個人や家族の記憶、土地や国家の記憶とその表現について考察します。授業に先立って自分でテクストを読み、論点を整理して授業に参加してもらいます。ゼミでは担当を決めて、担当箇所について内容や重要なポイントをまとめ、関連事項を調べてパワーポイント資料を準備してプレゼンテーションをしてもらいます。その上で教員の解説やディスカッションを通じて理解を深めるようにします。

未来のゼミ生へ
文学は、出来事や人々の感情や記憶を伝えてきた、いにしえから現代に続く古くて新しいメディアです。過ぎ去った時代の空気や、そこに生きた人々の息づかいまでも言葉を通じて感じることができます。文学の言葉が宿す記憶を辿り、過去と現代、また未来がどのように繋がるのかを考察することは楽しいことです。
ゼミ・研究室の魅力
- ⽂献を読み解く力が身につく
- プレゼンテーション⼒が⾝につく
- 語学力が身につく
- 論理的な思考力が鍛えられる
卒業論文のテーマ
- Colson WhiteheadのThe Underground Railroadにみるアメリカ
- J. D. Vanceの自伝にみるアメリカ格差社会の研究
- Ta-Nehisi CoatesのThe Water Dancer研究
- Toni Morrison研究
- Ernest Hemingway研究
教員のプロフィール
庄司 宏子
Hiroko Shoji
単著『アメリカスの文学的想像力』(彩流社、2015年)共著『国民国家と文学』(作品社、2019年)共著『憑依する英語圏テクスト』(音羽書房鶴見書店、2018年)共著『絵のなかの物語』(法政大学出版局、2013年)
- 研究分野
- アメリカ文学・文化、現代アメリカ文学と社会、アメリカの歴史と歴史記憶