研究の内容
3年生向けのゼミでは、リアルタイムで問題になっている事象に関する議論や、学界における最先端の議論を、法学教室や法律セミナーといった法律の専門雑誌に掲載された論文を通して学んでいきます。刑法Ⅰ・Ⅱで修得した刑法(解釈)学の知識を、より深いものにすることができます。
4年生向けのゼミでは、「判例評釈を書く」を目標に、勉強をしていきます。判例評釈とは、1つ(又は複数)の判例を選択し、その判例において、裁判所がいかなる判断をしたのか、そのような判断が今後の裁判にいかなる影響を与え得るのか、またそもそも正当であったのかを、過去の判例や学説等を参考にしつつ、検討していくスタイルの論文です。
研究の進め方
ゼミは週に一回です。
3年ゼミ、4年ゼミに共通して、①報告担当者(又は担当班)がテーマにした論文や判例についての報告を行い、②報告した内容につき質疑等を行う(まずは2~3人の少人数で意見を出し合い、その後全体で討論する)という形式で進みます。報告準備は、テーマとなっている論文や判例はもちろんのこと、それらを読み解くうえで重要な論文や判例をあわせて読み、参加者にその内容を紹介し、当該論文や判例に関する自分の意見を述べる必要があります。また、報告者以外の参加者は、事前にテーマとなっている論文や判例を読んでいる必要があります。なお、4年ゼミは後期の最後に、自ら書いた判例評釈を提出することになります。
社会との関わり
刑法解釈学は、刑法の条文を用い、どのような場合に犯罪が成立するのかを検討する、社会においてほとんど使うことのない知識を修得する学問です。しかし、そこで用いる問題探求能力や、多方面から物事をとらえた上での論理的な思考方法は、社会の様々な場面で活かすことができます。多様な価値観・たくさんの「正しさ」がある複雑な環境の中で、相手を「論破」するのではなく、「説得」する、又は「調整」するための重要なスキルとなるでしょう。
ゼミ・研究室の魅力
- ⽂献を読み解く力が身につく
- プレゼンテーション⼒が⾝につく
- 論理的な思考力が鍛えられる
教員のプロフィール
佐藤 陽子
Yoko Sato
刑法解釈学の中でも、被害者の承諾(たとえば、被害者がナイフで足を刺して欲しいと言った場合、実際にそれを実行した者は傷害罪になるのか)を研究しています。近年は、未成年者の承諾(たとえば、12歳の者がタトゥーや美容整形に承諾できるのか)に興味があります。
- 研究分野
- 刑法、被害者の承諾、性犯罪