研究の内容
ゼミナールのテーマは「ヨーロッパ史」です。ヨーロッパは地理的には日本から遠いところにありますが、日本が近代化して以降私たちの社会にさまざまな影響を及ぼしてきました。このゼミナールでは、ヨーロッパの歴史を学んでいくことでヨーロッパの社会を深く理解し、そうすることで私たちの社会もまたより深く理解できるようになることを目指します。
ゼミ生各自がそれぞれの関心で選んだテーマで学びを深めていくことが基本的な活動になります。1つのテーマを突き詰める喜びを、ゼミナールを通じて体験してほしいと思います。
研究の進め方
このゼミナールではまずゼミ生が、教員からのアドバイスを受けながらそれぞれの関心にしたがって学びの導入になるような1冊を決めます。ゼミ生はその1冊をていねいに読んでいき、本の内容や本を読んで考えたことについて他のゼミ生の前で発表します。書かれたものを通じて誰かの考えていることをしっかり理解すること、そして自分で考えること、考えたことを自分の言葉で誰かに伝えること、この3つを学んでいきます。さらに発表した内容をレポートにすることで、書いて伝える方法も学びます。これらの作業を、導入の1冊からつぎの1冊、さらに発展的な1冊へ、と続けていきます。
こうして「理解し、考え、伝える」ことに慣れていき、その成果を卒業論文という形でまとめます。卒業論文はさまざまな考えを「理解し」、そして「考え」、得た結論を多くの人に向けて「伝える」文章です。「理解し、考え、伝える」技術は、卒業後もいろいろなところで活かされるでしょう。
未来のゼミ生へ
経済学部に入学されたみなさんは、これから経済のしくみについてさまざまな観点から学んでいくと思います。その経済のしくみとは、基本的には今日の経済つまり「資本主義経済」とよばれるものになります。
資本主義のしくみはすでに100年以上も世界中で力をもってきましたので、今後もそう簡単には崩れることはないでしょう。ただわれわれ人類の長い歴史をみると、これまでに資本主義以外のさまざまな経済のしくみができては壊れ、新たなしくみができる、ということが繰り返されてきました。その歴史を理解することは、今日の資本主義を理解し、そしてつぎにどのような経済のしくみができていくのかを考えるための一つのカギになると思っています。経済学部で、あえて歴史を学んでみませんか?
ゼミ・研究室の魅力
- ⽂献を読み解く力が身につく
- プレゼンテーション⼒が⾝につく
- 論理的な思考力が鍛えられる
卒業論文のテーマ
- スペイン建築とイスラムの共生
- 第二次産業革命が現代に与えた影響
- 活版印刷術が日本にもたらしたもの
- 西洋音楽が日本に与えた影響
- 感染症と人類
- 第一次世界大戦と社会主義運動
- 19世紀におけるヨーロッパと日本の文化的交流
- 世界商品としての砂糖
- 中国最初の皇帝となった政
教員のプロフィール
鴨野 洋一郎
Yoichiro Kamono
2002年、一橋大学社会学部卒業。2011年、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。専門はイタリア中近世史。著書に『オスマン帝国史の諸相』(共著)、『商業と異文化の接触』(共著)、『岩波講座 世界歴史13』(共著)など。
- 研究分野
- ルネサンス期(14-16世紀)フィレンツェ経済史および経営史、前近代繊維工業史(とくに毛織物工業および絹織物工業)、地中海商業史(とくに織物の流通)、中近世ヨーロッパ経済(とくにイタリア)