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社会哲学とグローバル正義

対象学年
3年次
担当教員名
岩城 志紀 大学講師
Yukinori Iwaki
学びのキーワード
  • 世界経済
  • 地球環境
  • 倫理哲学

研究の内容

日本は今や単独の存在ではありません。日本は、世界経済の一員として、様々な国々と繋がっています。そこに暮らす私たちもしかり。様々な国々の人々と知らず知らずのうちに繋がって生活しているのです。一方、世界経済は、科学技術の発展や富の集積といった恩恵ばかりではなく、様々な問題も人類にもたらしてきました。例えば深刻な経済的不平等、大規模な環境汚染、移民問題など。こうした問題について、世界経済の中で暮らす私たちは、何をすればよいのでしょうか(解決案)。また、そもそもなぜ、私たちはこれらの問題に立ち向かわねばならないのでしょうか(責任の根拠)。前期では、こうした疑問について、「先哲」(哲学の大先輩方)の意見に耳を傾けながら、一緒に考えていきます。後期では、そういったグローバルな問題に限らず、学生自身にとって身近な社会問題(例えばハラスメント問題や男女差別問題等)、日本の地域社会に関するローカルな問題、あるいは日本全域に及ぶナショナルな問題の中から、自身が関心を寄せる問題をひとつ選び、深く考えていきます。

研究の進め方

前期・後期ともに、「知る→考える→議論する→さらに深く考える」という建設的プロセスを重視します。前期では、講師の専門分野である「グローバル正義論」(地球規模の諸問題に関する富裕層の道徳的責任について考える倫理哲学)に焦点を当て、様々な哲学者の意見に耳を傾けながら(読書+講師解説)、地球規模の貧困・環境問題に関する責任や解決策について考え(ブレインストーミング)、議論し(グループ・ディスカッション)、意見発表(プレゼンテーション)をします。後期では、各自の興味に沿ってテーマを選び、プロジェクト発表・論文作成を行います。このために、後期前半では、論文やプレゼンの構成方法について、基礎から学びます。毎回、各自、宿題として、こちらが設定する課題をこなし、事前準備をしてもらいます。授業当日は、課題についてフィードバックを行い、発表と論文執筆に向けて技術を磨いていきます。後期後半では、実際に発表(15分程度)を行っていきます。また、その発表に関する議題でグループ・ディスカッションを行い、最終的には論文という形で提出してもらいます。

未来のゼミ生へ

よく「科学技術が人類に利益をもたらすか、殺戮の兵器として利用されるかは、それを使う人間の倫理観にかかっている」と言ったりしますが、経済学という知識も同じです。経済学という学問が地球規模の問題の解決に向けられ人類に利益をもたらすか、問題の助長に向けられ貧困や環境悪化といった犠牲をもたらすかは、それを使う人間の倫理観にかかっていると言えるでしょう。つまり、「科学倫理」と同じように、「経済倫理」も重要なのです。ぜひ、経済学を学ぶみなさんにこそ、グローバル正義論のような倫理哲学も勉強してもらいたい。そう思っています。本ゼミでもっとも大切なのは、皆さんひとりひとりの問題意識です。「自分の生きているこの社会・世界について何とかしたい」あるいは「すぐに何とかできなくても、それでも現実の問題ときちんと向き合ってみたい」という思いを大切にしながら、一緒にたくさん考えて、たくさん議論して、活発なゼミを作り上げましょう!

ゼミ・研究室の魅力

  • ⽂献を読み解く力が身につく
  • プレゼンテーション⼒が⾝につく
  • 語学力が身につく
  • 論理的な思考力が鍛えられる
  • 協働する力が鍛えられる
  • 批判的思考力や社会問題に対する課題意識が鍛えられる

卒業論文のテーマ

  • 世界的貧困と先進国の責任
  • 気候変動と富裕層の責任
  • 貧困・地球環境問題の原因と解決案
  • 環境教育の重要性
  • フェミニズムと寛容
  • スポーツ界におけるハラスメント問題
  • スポーツ教育と倫理観の育成
  • 移民の参政権

教員のプロフィール

岩城 志紀 大学講師

Yukinori Iwaki

上智大学文学部英文学科卒。エディンバラ大学大学院修士課程・博士課程修了。オクスフォード大学社会正義研究センター客員研究生、エディンバラ大学芸術人文社会科学部社会政治科学科チューターを経て現職。

研究分野
社会哲学、グローバル正義論、批判的社会科学
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