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電子材料プロセス研究室

対象学年
3・4年次
担当教員名
中野 武雄 教授
Takeo Nakano
学びのキーワード
  • 薄膜
  • プラズマ
  • 電子材料
情報発信
> Webサイト 

研究の内容

現代のほとんどすべての電子デバイス作製に、薄膜(はくまく)技術が貢献しています。光・電気など様々な信号の制御には異種材料の界面が必要ですから、ある材料の上に別の材料を積み重ねる技術が必要です。私たちは、減圧環境下でプラズマを発生させ、プラズマ中のイオンを固体にぶつけて原子分子を叩き出す「スパッタリング」という製膜手法について研究しています。叩き出された原子が、デバイスとなる物質の表面に降り積って膜となるわけです。
スパッタリングは工業的に非常に広く利用されている、成熟した成膜技術です。しかし、デバイスがより高度化するにつれて、より硬い膜を、酸素が微妙に欠損した酸化物膜を、温度や電流注入によって色が変わる膜を、超高真空中で気体を吸着して放出しない膜を、生体親和性の高い膜を…など、様々な性質を持つ薄膜が要求され続けています。それらをより良く作る技術を確立することが、私たちの目標です。
成膜プロセスを原理から深く理解し、装置に新たな工夫を加え、より良い薄膜を作製する研究を行っています。私たちの成果は、様々な分野の研究者との学際的な共同研究によって、広い範囲の産業分野に貢献しています。

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研究の進め方

3年生の後期から研究室に配属されると、輪講で分野の基礎的なテキストを読み、薄膜工学の基礎について学びます。また卒業研究に関連したテーマでいくつか実験を行い、輪講で学んだ現象を実際に計測・評価して、内容についての理解を深めます。
4年生になったら研究テーマを決めて、文献調査、実験手順のマニュアル、整理した結果やそれに対する考察などを、二週間に一度程度の頻度で発表してもらいます。またその内容は数ページのレポートとして整理してももらいます。これが集積すれば、自動的に卒業論文ができあがる…というイメージです。
大学院生はもちろん、4年生でも、積極的に他大学との交流会や、学会における発表をしています。自分の結果を整理したり、研究の意義を明確化するために、これらの活動は大変良いきっかけとなります。もちろん発表にかかる費用はすべて研究室がサポートします。
卒業時に完成する卒業論文、修士論文は、研究室に配属されたばかりの3年生から見ると、「これは凄い、自分には絶対無理だ」というレベルになります。1年半のトレーニングによって、そこまで成長してもらうことが、研究室での大きな目標です。

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社会との関わり

まず、薄膜技術者は現在でも様々なものづくり企業で必要とされる人材です。本研究室で修士過程まで学んでもらったOB/OGたちには、このような企業で研究開発に携わるポジションについている方々も多くおられます。
学部で卒業する場合でも、研究活動を通して文献・先行研究の調査と整理、実験プロトコルの作成と文書化、結果の整理と考察などを行い、卒業論文を執筆しますから、調査能力や文書作成能力が高いレベルにまで向上します。また卒業研究発表・学会発表によって、自分の意見を伝えるためのプレゼンテーション技術も鍛えられます。これら広い意味での「コミュニケーション能力」は、どんな分野に進んでも、非常に役立つと考えています。

ゼミ・研究室の魅力

  • ⽂献を読み解く力が身につく
  • プレゼンテーション⼒が⾝につく
  • 学外の人と交流ができる
  • 他のゼミ・研究室⽣との交流がある
  • 論理的な思考力が鍛えられる

卒業論文のテーマ

  • 大電力パルススパッタを用いたスピント型エミッタ作製における膜の応力制御と形状最適化
  • 三極型大電力パルススパッタを用いた Mo, Hf, HfN 製スピント型エミッタの作製と構造制御
  • 超高真空スパッタ法で作製した Zr および Ti 非蒸発ゲッタ薄膜の評価
  • 反応性スパッタ法で作製した酸化タングステン薄膜のエレクトロクロミック着消色特性
  • デュアルカソードバイポーラ大電力パルススパッタ装置によるプラズマ電位制御
  • 非侵襲技術で観察可能な生態由来材料用薄膜マーカーの作製と評価
  • マグネトロンスパッタのエロージョン形成過程における圧力・磁場の効果
  • スパッタ成膜速度分布のガス圧力およびターゲット-基板配置への依存性
  • 反応性スパッタのモード遷移機構における酸素流量・投入電力の関係

教員のプロフィール

中野 武雄 教授

Takeo Nakano

東京大学工学部修士課程を修了直後に成蹊大学工学部に助手として着任し、博士(工学)を取得ののち、昇任して現職。著書・編書として「薄膜ハンドブック(第2版)」(オーム社)「ドライプロセスによる表面処理・薄膜形成の基礎」(コロナ社)「真空科学ハンドブック」(コロナ社)など(いずれも分担)。

研究分野
薄膜工学、応用物理学、真空科学技術、プラズマ応用技術
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