三浦正志教授の筆頭論文が英国科学誌Nature系の専門誌『NPG Asia Materials』に掲載されました。
理工学部/大学院理工学研究科 三浦正志教授(専門分野:電子・電気材料工学、電磁現象学、超伝導工学、結晶成長学)の筆頭論文「熱力学的アプローチによる超伝導臨界電流密度の向上(Thermodynamic approach for enhancing superconducting critical current performance )」と題された研究は、英国科学誌Nature系の専門誌「NPG Asia Materials」に掲載されました。
NPG Asia Materialsは、材料研究者、技術者、化学者、物理学者、ナノテクノロジー研究者を対象とする材料科学分野におけるオープンアクセスジャーナルです。論文の影響度を測る指標であるインパクトファクターは、10.990であり、材料科学分野の世界最高レベルの論文です。
三浦正志教授は、科学技術振興機構(JST)の2020年度創発的研究支援事業に採択され、「新材料設計指針により対破壊電流密度に挑む」の研究題目で研究を推進しています。特に、独自の超伝導臨界電流密度(Jc, 電気抵抗ゼロで流せる電流密度の限界値)理論モデル(Nature Commun.、Nature Materials、NPG Asia Mat.など)や独自の薄膜作製手法(特許第5757587号, 第5270176号(21世紀発明賞))をもとに、Jcを理論限界である限界である対破壊電流密度に近づけることを目的としています。
今回、三浦正志教授らは、新材料設計指針である磁束ピン止め点制御とキャリア密度制御の融合によりYBa2Cu3Oy超伝導薄膜線材を創製し、液体ヘリウム沸点温度(−269℃)下ですべての超伝導材料の中でも最も高い世界最高のJc =150 MA/cm2(1億 5000万アンペア/平方センチメートル)を達成しました。また、18テスラの高磁場下においてもすべての超伝導材料の中でも最も高いJcを達成することに成功しました。本研究成果により、大型ハドロン衝突型加速器、核融合発電、核磁気共鳴装置、磁気共鳴断層撮影装置やリニアモーターカーなどの高性能化・低コスト化・コンパクト化に貢献することが期待されます。また、これまで応用が難しいとされてきた液体窒素(−196℃)を冷媒とする超伝導送電、超伝導電力貯蔵装置、航空機用超伝導モータ、発電機などへの応用が期待されます。
●三浦正志教授の英国科学誌Nature系の専門誌"NPG Asia Materials"掲載ウェブサイトはこちら
●成蹊大学プレスリリースとの共同プレスリリース資料はこちら
●科学技術振興機構(JST)プレスリリースとの共同プレスリリース資料はこちら