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文化人類学・フィールドワークを通じて
異文化を実践的に学ぶ

対象学年
2・3・4年次
担当教員名
細谷 広美 教授
Hiromi Hosoya
学びのキーワード
  • 文化人類学
  • ラテンアメリカ
  • フィールドワーク
情報発信
> Webサイト

研究の内容

細谷ゼミでは文化人類学を学びます。文化人類学は聞きなれないかも知れませんが、文化とは何か、人間とは何かということを実践的に学ぶ学問です。実践的というのはフィールドワークを通じて異文化を研究するからです。私たちは、文化というレンズを通して世界をみています。しかしこのレンズは生まれ育った社会で身に着けるので、通常はそのレンズの存在に気づきません。富士山のような酸素が薄い高山に上って初めて酸素を呼吸していたことに気づくことに似ています。カルチャー・ショックという言葉がありますが、それは私たちが自分のカルチャー(文化)を当たり前と思っていることにより起こります。他者の存在に気づく第1歩です。文化人類学の研究は自らが当たり前と思っていること、常識や価値観を問うことからはじまります。異文化を学ぶことを通じて知識を増やすだけでなく、世界の多様性に気づき、レジリエンスを鍛え、世界の見方を広げていきます。なかでも細谷ゼミでは、まだまだ学べる場が少ないラテンアメリカの文化についても学べることが特徴です。

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研究の進め方

ゼミでは、民族誌をはじめとする文献をテキストとして用います。テキストの各章・各論文を担当者がレジュメを作成して発表をし、それをもとにみんなで議論します。テキストを読むことを通じて新たな知識を得るだけでなく、文献の読み方、論文の書き方も学びます。議論(ディスカッション)は、ジャズのインプロビゼーションのようなもので、みんなで議論することを通じて、協働でより読みを深めアイデアを広げていくことにつなげます。教室の外での活動も重要で、研修旅行を実施しています。ここ何年かは大阪の国立民族学博物館、神戸の人と防災未来センター、海外移住と文化の交流センターを訪れています。それぞれ、語り部の方のお話をきいたり、ブラジル移民の歴史のレクチャーを受けるなど、独自のプログラムを組んでいます。また、年によってはフィールドワークの方法を学ぶためにプロジェクト型の授業を実施しています。この他、Socially Engaged Artを実践しているペルーの演劇人の講演をきいたり、アイヌ文化を広める活動をしている学生を招く等、様々なゼミ活動をおこなってきています。卒業論文では自らが立案したフィールドワークをもとに執筆する学生も少なくありません。

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社会との関わり

私が調査研究をしてきているアンデスでは、一つの家族(世帯)が高度差を利用しつつ非常に多様な種類の主食のジャガイモを栽培します。これは、短期的な経済効率や市場との関係からみると、非合理的にみえるかもしれません。しかし、農業には天災や虫害、作物の病気などがつきものです。多様な種類のジャガイモを植えることは、長期的視点、サスティナビリティという観点からみると作物被害が起こっても全滅することなく、いずれかの種類が残ることで餓死を免れるというリスクマネージメントになります。人間や文化も同様です。多様性はまた新たなものを生み出す力となります。
私自身は大規模な虐殺が行われた紛争地で、先住民の人々の経験の聞き取り調査を続け、社会の公的記憶・歴史に組み込むことに取り組んできています。アートや宗教も重要なテーマです。文化人類学を学ぶことは、これから大きく変化し、既存の枠組みが通用しなくなる世界を生きていく皆さんが対応していくための準備やアイデアを提供することにはなると考えます。

ゼミ・研究室の魅力

  • フィールドワークができる
  • ⽂献を読み解く力が身につく
  • プレゼンテーション⼒が⾝につく
  • 学外の人と交流ができる
  • 語学力が身につく
  • 論理的な思考力が鍛えられる
  • 研修旅行やゼミ合宿がある

卒業論文のテーマ

  • 国際金融危機とブラジル人労働者の就労:失業の背景とその影響
  • エウスケーラ語存続へ:現地調査からみえるバスクにおける言語の現実
  • 移住地で「弱者」となる女性たち:香港で働くインドネシア人家事労働者の調査から
  • スタディ・ツアーの可能性:貧困削減のために社会を巻き込む協同的な旅として
  • 富士山の世界文化遺産登録における矛盾:登録理念と地域振興
  • 揺れるタイ南部国境地域:タイ・マレー系イスラーム教徒の紛争をめぐる考察
  • アメリカの歴史教科書にみる広島・長崎の原爆投下:初等・中等教育の教科書分析を通じて
  • 自衛隊とジェンダー:女性自衛官の起用と利用
  • 日本人学校帰国生を取り巻く環境と意識の変化:アムステルダム日本人学校中等部の事例から
  • 父島欧米系島民における太平洋戦争と日本「返還」の記憶

教員のプロフィール

細谷 広美 教授

Hiromi Hosoya

総合研究大学院大学修了 博士 ハーバード大学ロースクール客員研究員(2012-13)
『アンデスの宗教的世界』『他者の帝国』『ペルーを知るための66章』『グローバル化する<正義>の人類学』『ラテンアメリカ文化事典』その他多数

研究分野
文化人類学、先住民、アンデスの先住民文化、人権、現代美術と文化人類学、ポピュラーカルチャー、ラテンアメリカ地域研究、記憶と博物館、紛争・平和構築、移民
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