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<報告>成蹊大学Society 5.0 研究所第12回講演会 「AI, copyright and the challenges of transforming creative professions/AIと著作権:創作職の変革と課題」

■主催:
成蹊大学Society 5.0研究所
■開催日:
2024年4月25日(木)
■時間:
10:40~12:20
■会場:
4号館ホール
■参加者数:  
120名
■通訳:
安部 圭介(成蹊大学Society 5.0研究所所員)
■主催者代表:
羽賀 由利子(成蹊大学Society 5.0研究所所員)

2024425日、Jean-Marc Deltorn先生ストラスブール大学教授及びStéphanie Le Cam先生(レンヌ第2大学准教授)をご講演者としてお迎えし、AI, copyright and the challenges of transforming creative professionsAIと著作権:創作職の変革と課題と題する講演会を開催しAIという新たな技術の出現に伴い、創作活動に従事する人々はどのようにこの変革に対応するべきか、特に欧州の議論を中心にご講演をいただきました。

Deltorn先生のご報告では、今日の様々な技術発展によって人とテクノロジーとが創作活動について競争関係に置かれるようになった現状を踏まえ、両者の間の適切なバランスについての検討がなされました。前提として、著作権制度とは創作へのモチベーションを高め、創作物に表れた人格を保護することが目的の制度であることが確認されました。その上で、今日ではツールとしてAIを用いた創作活動が実際に行われており、そのような作品が創作物として著作権の対象となるかについて、EUやアメリカの判例を参照しながら検討されました。そして、新技術による活動を委縮させない制度の構築が必要となってくることが指摘されました。

続くLe Cam先生のご報告では、AIの出現によって創作者の仕事が奪われている実際の例が示され、職業作家がこの技術に対して危機感を覚えている現状が紹介されました。その上で、創作とはそもそも生身の人間による活動であAIの利用にあたっては、学習データの透明性や著作者が報酬を得る権利の確保など、人間に重心を置いた制度を考え出すことが必要である、と主張されました。創作者の利益の保護は決してイノベーションを阻害するものではなく、むしろ、生身の創作者が尊重されることで、文化・創作産業の発展がより促進されるのである、と指摘されました。

参加者からは英語による質問もありご講演者の先生との間で活発な意見交換行われ、本講演会を盛況に終わることができました。ご講演者の先生方、ご聴講においでくださった一般の皆さま及び学生、また開催にたって様々にお力添えをくださった事務局の皆様に厚く御礼申し上げます。

(成蹊大学Society 5.0研究所所員 羽賀 由利子



講演:Jean-Marc Deltorn先生(ストラスブール大学教授)
Stéphanie Le Cam先生(レンヌ第2大学准教授)
通訳:安部圭介法学部教授/Society 5.0研究所所員