社会発信




2024年度開催イベント
アフターレポート

成蹊大学Society 5.0研究所主催 第12回講演会(2024年4月25日開催)

AI, copyright and the challenges of transforming creative professions/AIと著作権:創作職の変革と課題


成蹊大学法学部法律学科4年 齋藤 航

人工知能を伴った著作権の問題は最近のトレンドとなる話題だと考えていたが、実はそのようなことはなく少なくとも18世紀にまで遡る点に驚かされた。コンピュータを活用して作成することをイメージすると最近の問題と感じてしまうが、手作業に使われる人工知能によって芸術作品が作成されていたという歴史を聞くと確かに昔から人工知能による作品に対して著作権が問題視されたことも納得ができる。

AIが作品を作成するには、沢山の元となるデータから情報を取り入れて、それをアウトプットする形で絵などの芸術作品が出来上がる。人が作り上げたわけではないが、著作権は発生するのか、それを守るべきなのか偶然作成されたものだとスルーされるのかという問題が起きる。一例ではAIに著作権が存在するデータをインプットし、そのデータを選択式に利用し作り上げる点から部分的に著作権が認められていた。またインプット内容を反映しすぎることなどからコピーモンスターだとAIは言われている。元のデータの取捨選択する方法や、著作権侵害をするような作品は作らせないシステムを構築するなどの解決策が考えられている。結局何を認めて、何を認めないのか判断がしにくい難しい話題だと改めて感じる一方、このように様々なパターンの問題が想定され、解決の糸口が複数考えられる点がAIに関する著作権問題の面白い点だと感じた。

利便性が高まるAIによる作成はとても需要が高まるであろう一方、芸術作品を作る専門家などには死活問題となるのでしっかりとしたルールが定められなければいけない。今回の話の中でも様々な対策案が出ていたが、結局は利用者の法意識や起こり得る問題への理解を深めさせることが必要だと感じた。今後もどんどん発展していくことにより問題の在り方や必要な対策が変化していくテーマではあるが、その分考えを巡らせ続ける面白さがあると考える。