02

2025.12

成蹊小学校のESD(サステナブル)教育01

落ち葉は資源 
けやき循環プロジェクト

成蹊学園のESD教育

成蹊学園では、気象観測や小学校の栽培活動、小学校・中学校の夏の学校など、創立当初からESD(持続可能な開発のための教育)の精神に基づいた「ホンモノに触れる教育」を実践しています。2019年11月には、ユネスコスクールのESD推進拠点にも認定されました。

コラム「こみち日記」では、成蹊小学校で行っているサステナブルな取り組みについてご紹介していきます。

プロジェクト紹介

「落ち葉は資源!」を合言葉として、2018年4月から、学園サステナビリティ教育研究センターを中心に、学園のケヤキ並木の落ち葉を活用して「循環する仕組み」をつくる活動が本格的に始動しました。成蹊学園の在校生や卒業生にとってのシンボルであり、また武蔵野市の指定文化財にもなっている学園のケヤキ並木。学園の自然環境活動を通して、小中高大、さらには地域を含めた人々のつながりが広がることを目指しています。

みんなで落ち葉集め

(11月~1月)

焼き芋大会に向けて、落ち葉集めを実施します。2024年度は、小中高大生、教職員のほか、地域の方々も参加して、竹ぼうきや軍手、塵取りを使い、ケヤキ並木をエリアごとに分けて30分ほど落ち葉を回収。広範囲にわたる落ち葉集めは大変な作業でしたが、世代を超えて地域の人々とのつながりも生まれ、作業後の子どもたちは達成感でいっぱいでした。集めた落ち葉は、小学校での焼き芋大会で活用されます。

落ち葉から堆肥をつくる

(随時)

小学5年生を中心に大学生・教職員の希望者も参加して、鴨志田農園(三鷹市)のご指導のもと、堆肥作りを行っています。仕込みの作業では、集めた落ち葉のほかに、大学の馬場から採取した馬糞や学内で調達した米ぬか、籾殻、鶏糞などの材料を、決められた比率で配合し攪拌(かくはん)します。その後、堆肥の熟成を活発にするために、切り返し(材料の混合)の作業と水分調整を行います。こうして仕込みと切り返しの作業を数日間、間隔をあけて4~5回繰り返し堆肥を発酵させます。完成した成蹊産の堆肥はとても良質で、小学校の畑やプランター植栽などの肥料となります。

彩り豊かなプランターの
花植えと
エディブルプランターづくり

(6月、11月)

造園業者の方のご指導のもと、毎年プランターの花植えを行っています。まず、古い花を抜き取り、土を耕し、小学校で作った堆肥を混ぜ込みます。大学生と教職員が数名ずつのグループに分かれ、植替えの時期に合わせて草花を選定し、プランターごとにテーマを考えながら植込みます。おかげで、同じ花でもプランターごとに多彩な表情を見せてくれます。

小学生は2024年度にエディブルプランターづくりを行い、こみち科の授業で、そこで植えたハーブや野菜を使った料理を楽しみました。

たき火でつくるホクホクの焼き芋大会

(12月)

12月には、ケヤキ並木をはじめ、キャンパス内の各所で集めた落ち葉を使って焼き芋大会が開催されます。近年、都心部ではなかなかできなくなった「たき火」を児童たちが体験できる、貴重な機会にもなっています。

まずは、焼き床を丹念に作っていきます。焼き床の形は馬蹄形、円形、直線形など、当日の風向きなども考慮しながら、担当する先生や職員の長年の経験や知恵をもとに決められます。集めた落ち葉に火をつけ、うちわなどで扇いで焼き床が完成したら、いよいよアルミホイルに包んださつま芋を投入。しっとりと美味しくなるように、一度新聞紙でくるんでさらにアルミホイルに包むなど、クラスごとの工夫も見られます。約2時間、ついに焼き芋の完成!出来立てホクホクの焼き芋をみんなでいただきます。もちろん、残った灰もその後肥料として畑にまかれ、作物の栄養となります。

ケヤキの枝で、ものづくり

(随時)

学園のケヤキ並木の剪定作業で切り落とした枝を回収、学園サステナビリティ教育研究センターが中心となって枝を活用したワークショップを開催したり、地域のイベントに参加したりしています。学園の木工所のご協力で回収した枝を使える状態にし、工作やワークショップなどで、クロスウェービング、キーホルダー、コースター、マグネット、ハタキなどケヤキの枝を新たなグッズに生まれ変わらせています。

先生の視点

TEACHER’S PERSPECTIVE

創立時からの精神が息づくESD教育

けやき循環プロジェクトでは、季節の移り変わりを感じながら、落ち葉や枝を資源として循環させる活動を通じて、子どもたちの持続可能な未来を考える力を育てます。単なる清掃や作業にとどまらず、自然の豊かさを味わい、環境・地域・世代を結び、資源循環や協働の価値を学ぶこのような活動は、成蹊小学校ならではの多角的なESD教育の実践にほかなりません。

道の落ち葉を拾い集め、焼き芋大会や堆肥づくりに活用することで、自らの行いが自然の恵みへと循環していく体験は、単に作業するだけでなく体験を通じて学んだ価値観を基に、他者に貢献するという成蹊学園の建学の精神の一つ「勤労の実践」にもつながっています。

GALLERY

ギャラリー