何が行われているの?理工学部研究室に潜入!

2024年秋から利用が開始された11号館には、理工学部の研究室が配置されています。基本的には該当の学生のみが入れるエリアですが、今回は3つの研究室について取材させていただきました!それぞれどのような研究がされているのか、ぜひご覧ください!

知的インタフェース研究室 中野有紀子教授

Q. この研究室ではどのような研究を行っていますか。
A.「インタフェース」とは、 人間と機械を仲介する役割をもつものを指します。この研究室では、音声や表情を理解するとともに、それらを自動生成することにより人とコンピュータをつなぐロボットやアニメーションキャラクターの開発が行われています。人工知能を活用し、円滑なコミュニケーションを支援することを目的としています。

Q.具体的な取り組みについて説明をお願いします。
A.人がコミュニケーションをしているときの内容や視線、全身の動きを数値化し、人工知能に学習させます。その学習モデルを用いて、コミュニケーション能力が長けていて会話を仕切っている人、逆にあまり会話に参加できていない人、発言の重要度などを判断します。

Q.実社会ではどのように役立つのでしょうか?
A.会話の中で発言数が少ない人に積極的に話題を振るといったサポートをする「会話介入ロボット」や、認知症の高齢者の話し相手となる「傾聴ロボット」などで、人間のコミュニケーションをよりスムーズにできるようにしたいと考えています。

Q. 今特に力を入れていることを教えて下さい。
A.「カウンセリング対話システム」の開発です。キャラクターがユーザーの音声を認識して、詳しく話を聞き、ユーザーの自発的な行動の変化を促すものです。今、Chat GPTなどの生成AIにお悩み相談をする人も多いですよね。このシステムは、それに音声や映像を追加して、より実際のカウンセリングに近い形を目指しています。

Q.この研究室の特徴や強みは何ですか?
A. 人間同士のコミュニケーションの様子や、発言内容・説得力といった参加者の特性を、直感ではなくデータに基づき、人工知能によりモデル化していきます。その学習モデルを使って、人とコンピュータのよりよい関係を実現するためのロボットやインタフェースの開発が行われています。人間のコミュニケーションを認識する人工知能と、それを使ってよりうまくコミュニケーションをするインタフェースの両方を取り扱っているのが、この研究室の大きな特徴です。

Q.他の大学や企業などとの共同研究はしているのですか?
A.共同研究は常に行っています。例えば、慶応義塾大学と一緒にロボット喫茶店を開発しました。注文を聞くロボット、料理を作るロボット、配膳をするロボットといった複数のロボットが連携して運営していました。

Q.研究は共同作業が多いのでしょうか?
A.大きなプロジェクトについては、学年の垣根を超えてを隔てて開発を進めています。その中で、個人で研究テーマを決めて卒業研究として進めているという状態です。

Q.学生や高校生にメッセージをお願いします!
A.今の社会に欠かせない人工知能の仕組みを専門的に学ぶことができる研究室です。人間の本質である人とのコミュニケーションを、人工知能という技術を使って研究できるのは、とても面白いと感じています。人に寄り添える人工知能の研究を一緒にやってみませんか?

スマートニューロリハビリテーション研究室 櫻田武教授

Q.この研究室ではどのような研究を行っていますか。
A.神経科学の視点から、人の脳の仕組みを理解して、新しい技術を生み出すための研究を行っています。成蹊大学では初めて神経科学を専門分野として取り扱う研究室です。

Q.具体的な研究の内容を教えてください。
A.脳機能障害がある人へのリハビリテーションに加え、スポーツ選手のスキルアップや子どもの発達促進を目指した研究も行っています。これらは、人の運動や認知に関する処理をより効率よく行えるように訓練することを目的として、それを実現するシステムの開発をしています。
また、武蔵野市在住の小学生や成蹊小学校の学生を対象としたロボット教室も行っていて、子どもたちが楽しみながら生体のことについて興味を持ってもらえるよう取り組んでいます。

このロボットハンドは実際にその教室で使っているもので、手に力を入れるとアームが閉じ、力を抜くと開く仕組みです。また、最近のアップデートにより、力を入れているときの電気信号波形をスマホで簡単に見られるようになっています。

Q.今、特に力を入れている研究は何ですか。
A.「ニューロフィードバック」といって、脳の活動を計測し、リアルタイムで解析したものを本人にフィードバックする「ブレインテック」と呼ばれるテーマに注力しています。特定の課題をこなすために、脳の必要な部分が適切に活動しているかが分かり、脳機能向上効果が得やすくなることが期待される技術です。

研究室内には64ch(チャンネル)の全脳計測可能なものから、1chの簡易的なものまで6~7台ほど脳波計があり、これらによって脳の活動によって生まれる電気信号を観測することができ、「ニューロフィードバック」も実現されます。

Q.この研究室の特徴や強みは何ですか。
A.新しい技術を生み出していくということに関して、機械や電気など“モノ”だけではなく“ヒト”もその技術やシステムの一部として扱い、工学的なスキルに加えて生体を適切に評価・理解する視点を持っているのが特徴です。世の中の製品やサービスの提供先の多くは、「人」であるため、新しく生み出したものがユーザーにとって本当に価値のあるものかどうかを判断することは非常に重要です。そのような社会的なニーズに対して、学生のうちから“ヒト”のことを扱える知識や経験を積み重ねていくことは将来においてきっと役立ちます。さらに言えば、神経科学を研究しているところは学生が自身の強みをアピールする材料にもしやすい思います。

Q.外部との共同研究はありますか。
A.共同研究は、主に医療分野の先生と取り組んでいるものが多いです。最近では、神経の損傷によって生じる痛みを、簡単な手法で和らげる装置の開発なども行っています。また、経営学部の先生と連携し、マーケティングに関する神経科学的アプローチを行うことで客観的な消費者の評価を行う試みなども準備しています。

Q.今後やりたいことや目標などはありますか?
A.現状提案しているシステムでは、大学の実験室など特殊な環境でしか脳機能訓練ができていないので、将来的には誰でも・どこでも活用できるようにしていきたいと考えています。

Q.成蹊大学の研究室はどんなところが魅力的ですか?
A.研究に必要な十分な場所がちゃんと提供されていることはとても恵まれていると感じています。学生は大学に入学して様々なことを学んでから研究室に入ることになるので、成蹊大学のような整備された環境があるのは素晴らしいことだと思います。

Q.学生や高校生に向けたメッセージをお願いします!
A.各研究室の研究テーマをある程度把握したうえで、自分がどんなテーマや分野に興味を持っているかを自己分析してから研究室を決めることをおすすめします。自分にとって面白いテーマだと頑張れますし、その頑張った成果が就職にも活きてくると思います。未知の分野であっても、興味をもったらチャレンジしてみてください!そしてぜひ、神経科学など生体を扱う分野にも興味を持ってください!

学習型知覚データ処理研究室 村松大吾教授

Q. この研究室ではどのような研究を行っていますか。
A. 映像解析・コンピュータビジョン・パターン認識といった分野を扱っています。分かりやすく言うと「画像や映像を対象にした人工知能」の研究です。

Q. 具体的に教えてください。
A. 歩き方や自転車の漕ぎ方から個人を認証する研究、スポーツではランニングフォームの癖や特徴を評価したり、バレーボールではデータ化し、より効果的な戦略分析に活用したりする研究などを行っています。

Q.今、特に力を入れている研究は何ですか。
A.「認証」、特に自転車に乗っている人や走っている人などの個人識別に力を入れています。また、早稲田大学のバレーボール部との共同研究も行っており、競技力向上への貢献を目指しています。

Q. これらの研究は社会のどの分野で役立ちますか。
A. 個人認証技術は、犯罪捜査における犯人特定などに活用できますし、スポーツ分野の研究は、エンターテインメント性の向上や競技力向上に貢献できると思います。

Q. この研究室の特徴や強みは何ですか。
A. データを「分析」する研究室は多いのですが、この研究室ではデータを「取得」するところから行う点が特徴です。そのため、自転車やキックボードなど、他の研究室にはない設備があります。多数のカメラやランニングシューズ、カメラやランニングマシンなども備えています。

Q. 研究で面白さを感じる点や苦労する点はどこですか。
A. プログラムは仮説をすぐに試せるという点が大きな面白さであり、研究の魅力でもあります。一方で、人工知能は大量のデータによって性能が向上しますが、十分なデータが揃わないことも多くあります。そのため、アイデアや知識を活かした工夫が必要です。

Q. 学生は普段どのように研究していますか。
A. 学生は一人ひとりがテーマを持ちながら研究を進め、共通部分では協力し合います。また、ミーティングも積極的に行い、相談しながら研究を進めています。

Q.今後やりたいことや目標はありますか。
A.なりすましなどが多い世の中であるため、個人を認証・特定し、誰もが自分であることを証明できるような仕組みを作りたいと考えています。また、近年はスポーツにおいてもデータ解析の導入が進んでいるため、戦略面で役立てる研究にも取り組んでいきたいです。

Q. 学生や高校生に向けたメッセージをお願いします!
A. 成蹊大学は教員と学生の距離が近く、少人数教育で学びやすい環境です。ワンキャンパスで家庭的な雰囲気があり、素直な学生が多いのも特徴です。レガッタや学内運動競技大会など独自の行事もあるので、ぜひ興味を持ってもらえたら嬉しいです。

いかがでしたか?それぞれオリジナリティのある研究がされていて、魅力的でしたね!理工学分野に限らず、研究は私たちの身近な生活や社会とも深く関わっています。 他にもたくさんの研究室がありますので、専攻に関わらず、興味のある方はぜひチェックしてみてください!

また、学生広報委員会の活動について知りたいと考えている方はこちらのリンクからどうぞ!
X(旧Twitter):@officialzelkova 
Instagram:official_zelkova

担当/桜田・澤田

撮影/澤田