オープンキャンパス取材!「法学部教授に聞く!民法を学ぶ意味とは?」

8月3日(木)から8月5日(土)まで行われた、オープンキャンパスの体験ゼミを取材班がレポート!
今回は、法学部法律学科の体験ゼミです。オープンキャンパスの様子についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をチェックしてみてください!

体験ゼミでの様子

今年度は、法学部法律学科の塩澤教授による体験ゼミが全日程で行われました。
『経済も経営もみんな民法で動いている‼』というテーマのもと、初対面の高校生たちが3名ずつの班に分かれて議論が白熱!! 
学年も出身も異なる生徒が、難しい法律についてはじめは戸惑いつつも、次第に自ら積極的に意見を述べあうようになり、一所懸命取り組んでいました。体験ゼミを受けた生徒からは、「この時間を通して大学の授業へのハードルが下がり、進学してからの授業が楽しみになった」という声も聞こえました!

法学部法律学科 塩澤 一洋教授

インタビュー

塩澤教授に、お話を伺いました!

Q1 塩澤教授の考える、民法の魅力を教えてください。

A 美しさ…です。民法の体系が美しいからです。自転車の薄いペダルを踏みこんだら前に進むシステムを考えてみてください。ペダルを下に踏み込むとチェーンが回り、後輪が回転して、自転車が前に進む動きへと連鎖するように、民法も一つ一つの条文が有機的にほかの条文とつながって一つの事象を表現する。このつながりや影響を与え合う仕組みが面白い。そしてこの仕組みがとても美しくできている。これが民法の魅力です。


Q2 塩澤教授が民法を学ぶきっかけとなったことを教えてください。

A 私はもともと大学では経済学部でしたが、3年生の時に社会問題となっていたアメリカ独占禁止法スーパー301条とスペシャル301条の域外適用について法学部の教授に質問をしに行き、「経済法」と「国際私法」を紹介していただいたので翌年両方履修したら、これがとても面白くて。そこでもっと法律を研究したいと思い、経済学部卒業後に法学部に学士入学しました。3年生として入学したので、本来それまでに単位を取得すべき1、2年生向けの授業もまとめて受けていた中、素晴らしい民法の教授に出会いました。私はどうしてもその教授のゼミに参加したいと思い、教授に直談判し、在籍していた大学では制度上途中からでは履修できないゼミに参加させていただきました。これが私が民法を学ぶことになったきっかけです。


Q3 民法を学ぶことが社会でどのように役立つのかを教えてください。

A 体験ゼミでもお話ししましたが、民法はすべてのビジネスのルールです。交通ルールを知らないで車の運転をするのはあり得ないのと同じように、ビジネスのルールを理解して上手く使えればビジネスを有利に展開できます。どんな分野に就職したとしても絶対に役に立ちますからね。


Q4 塩澤教授が担当されている授業を教えてください。

A 民法Ⅰ、民法Ⅱ、知的財産法Ⅰ(著作権法)、ゼミは判例研究と司法試験論述の二つのクラスを、全学年それぞれで実施しています。1年生の後期にはLE1という司法試験問題の基本的な論述スキルを磨く授業もあります。知的財産法Ⅰは本来3年生で履修できる授業ですが、中には1、2年生で聴講しに来ている学生さんもいますよ。4年生まで毎年連続して聴きに来ている学生もいます。


Q5 高校生に向けて一言お願いします!

A 「あなたの人生はあなたのものです。自由に生きましょう」
この世の中、こうする”べき”だ、こうでないと”いけない”といったことが多すぎる。法律で強制されていないのにもかかわらず。コロナ禍であっても、マスクもワクチンも、手指消毒だって法的に強制されてはいない。高校生が進路を決めるとき、こうでないといけないといった外からの圧力はすべて払拭して、やりたいことをするのがいいと思います。どういう将来になるかは誰もわからないのだから、自分のやりたいことに挑戦する。それができる社会こそ真に自由で民主的な社会だと思いますし、日本はそういう国であると考えています。そこに法律を学ぶ価値があるのです。法律の最大の目的は、人の行動を縛るのではなく一人一人の自由を最大限に広げ、個性と多様性を尊重することです。日本は今のところ自由な社会です。日本国憲法第13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しています。自分がやりたいことを自由に楽しんで、ご自身の幸福を追求していただきたいと思います。

取材した感想

今回取材させていただく前までは、どうしても法律という言葉を難しくとらえてしまいがちでした。しかし、体験ゼミや塩澤教授へのインタビューのなかで、法律は私たちの個性を最大限に広げ、自由を認めてくれる存在であり、一番身近にいる社会の基盤である。だからこそ私たちは法律を深く理解することによって、社会で自由に生きていけるのだと実感することができました。高校生だけにとどまらず法律を学んでいる成蹊大学の学生の皆さんも、法律を学ぶことで自由に生きる道に近づいてもらえればいいなと思います。


担当 雨下・長嶌