オープンキャンパス取材!「文学部教授に聞く!おみくじは運試しじゃない?!」

8月3日(木)から8月5日(土)にかけて行われた、オープンキャンパスの体験講義を取材班がレポート!
今回は文学部日本文学科編をお届けします。オープンキャンパスの様子をもっと知りたい方は以下の記事もご覧ください!

授業の様子

「おみくじのヒミツ―漢詩や和歌が書いてあるのは、なぜ?」という講義を取材しました。
皆さんがおみくじを引くとき、小吉や中吉などの運勢を最も重視するかと思いますが、昔の人々は自分の選択が正しいか確かめるために引いていたそうです。おみくじを引く目的が現代と異なっていて興味深く感じました。
おみくじのルーツを学びつつ、時には笑い声が上がるほど和やかな雰囲気で授業が進みました!


インタビュー

文学部日本文学科 平野多恵教授

―― 平野先生の研究している分野を教えてください。
私の研究している分野は日本の古典文学ですが、近年はおみくじの研究にも力を入れています。鎌倉時代〜室町時代の古典文学を研究しており、テーマは神さま・仏さま・お坊さんに関わる古典文学・おみくじの文化史・古典です。また、アクティブラーニング型の授業を積極的におこなっています。


―― 古典文学を研究をなさることになったきっかけを教えてください。
学生時代は日本語に関心があったので、日本語を分析する日本語学を学ぼうと思い国文科に在籍していました。実際に入ってみたら、人が生きることや死ぬことに興味を持つようになり、それが描かれている中世の古典文学、また、人生の真理を追い求めているお坊さんなどにも関心を持つようになりました。


――学生時代はよくインドに行かれたとお聞きしました。
大学時代、カレーを作ってインドについて語り合おうというサークルのチラシをキャンパス内で見つけて、インドにも興味があったためそれに参加するようになりました。実は後でそのサークルがあるカルト宗教のダミーサークルだと判明して活動から離れたのですが、このことをきっかけにインドにハマり、卒論は宗教に関することをやりたいと思うようになりました。インドは占いも盛んで、占いにも興味を持っているうちに、今行っているおみくじ研究にも出会いました。前任校の女子大学で初めておみくじの授業を行うようになってから、その奥深さに気が付きました。おみくじを引くことが自分を知ることにつながるというところにも魅力を感じています。


―― おみくじの魅力を教えてください。
おみくじの魅力は、神さまとコミュニケーションを取れるところです。ふつう、神さまとコミュニケーションを取ると言ったら危ないと思われますよね。占い師に占ってもらう場合、人間から出てくる言葉だと思うと、言葉そのものを素直に受け取れない部分もありますが、自分が無心で引いたおみくじには他の人の作為が入らないので、謙虚な気持ちで受け止めることができると思います。そして、それが自分の中でどういう意味があるのかを考えることは自分に向き合うきっかけにもなります。そのためにはたくさんの人の祈りが集積した神聖な神社や仏閣でおみくじを引くことが大事だと思っています。
つまり、何百年、何千年とみんなが祈ってきた聖なる場所で神さまの言葉をいただいて、まっさらな気持ちでその言葉が自分にとってどのような意味があるのかを考える、そこにおみくじの魅力があります!


―― 今と昔でおみくじへの関わり方が全く違うのですね。
おみくじのルーツを踏まえた上で、おみくじと付き合ってほしいですね。運試しのように吉凶のみを占って終わる人は多いですが、「今の自分に必要な言葉をください」と祈って神さまからの言葉を受け止めると、自分にとってのおみくじの意味が変わってきます。単なる運試しではないんです。それを皆さんに知っていただきたいと思っています。


―― 現在担当している講義や授業はありますか?
今年度は日本探求特別講義という授業と、1〜4年生までのゼミ、大学院の授業を持っています。日本探求特別講義はグループで課題に取り組むプロジェクト型授業で、成蹊学園史料館で11月28日まで開催中の「桃李のひと 中村春二展」の展示を制作しました。


―― 最後に、高校生に一言お願いします!
日本のことを研究するのはすごく面白いです。たとえば、日本文化の深いところを知っていると海外に行っても役に立ちますし、日本語で書かれた原典や古い資料を読む力がつけば、日本研究を究めることもできます。また、日本文学科は2年次に古典文学、近現代文学、日本語学の3分野のゼミをひと通り経験し、3年次で自分の興味や関心に一番合ったゼミを選ぶことができます。
日本の文化や文学に興味がある人、国語が好きな方は、日本文学科に来たら好きなことが見つかると思います!


取材した感想

この講義を受講する前、おみくじに対する印象は初詣に行った時の運試しという漠然としたものでしたが、何気なく引いていたおみくじにこんなにも奥深い世界が広がっていたことに驚きました。今度おみくじを引くときは、より真剣におみくじと向き合おうと思います!授業内では吉凶がないおみくじや、シカのマスコットがついてくるおみくじなど、全国に存在する面白いおみくじも取り上げられていました。興味を持った方はぜひ検索してみてください!

担当/福島・松尾