「19世紀末の絵葉書ブームが現代に語るもの」~平山美樹子教授講演会~

みなさんは何かコレクションしているものはありますか?
20世紀初頭には絵葉書が一大ブームとなり、多くの人がコレクションをして楽しんでいたとされています。
今回は、11月1日(土)に紀伊国屋書店新宿本店3階のアカデミックラウンジで行われた平山美樹子先生による講演の様子をお届けします。
是非、最後までご覧ください!

講師紹介

平山美樹子先生

成蹊大学学長 直属教授(2026年4月より国際共創学部教授に就任予定)、専門は日本近代美術史です。
共著に Waves of Renewal: Modern Japanese Prints, 1900–1960 および New Essays in Japanese Aesthetics: Philosophy, Politics, Culture, Literature, and the Arts などがあります。ゼミでは、海外での教育経験を活かし、英語文献を用いた研究にも取り組んでいます。

講義内容

この講演では、絵葉書の歴史的背景と実際の当時の絵葉書を紹介しながらその魅力について語っていただきました。
絵葉書がブームとなったのは日露戦争後であり、その影響が色濃く出た絵柄のものが多く、中には兵隊さん宛に送られたものがありました。他にも浮世絵のような絵柄のものや皇室から出された上質な素材のものがあり、絵葉書から当時の時代背景を読み取ることが出来ます。
絵葉書は手に取りやすいものでありながら他の芸術品に劣らない繊細で素晴らしい技術が施されており、とても美しいものばかりでした!そして、そんな多くの人達の手に渡った絵葉書には、送る人・受け取る人、また絵葉書を作った人などさまざまな人の思いが込められており、一枚一枚に特有の唯一性「アウラ」があるのだと説明されました。
今回の講演で、絵葉書に込められている「アウラ」はインターネットが発達してきた現代において唯一無二の美しさ、そしてそれに込められている人々の想いの大切さを教えてくれているのだと知ることが出来ました。

平山先生のコレクション紹介

講演後には先生所有の当時の絵葉書を直接見せていただきました。
実際に宛名や手紙が書かれた使用後のものもあり、その生き生きとした筆跡からリアリティが感じられました。

当時の人がコレクションした絵葉書のスクラップもあり、その時代から集める人が出てくるほどに絵葉書が人気だったことが分かります。明治の作品ですが令和に生きる私にも「刺さる」デザインがいくつもあり、日本人の感性は時代を超えて通ずるものがあるのかもしれないと思いました。

感想

SNSが発達してきた現在、なかなか絵葉書を使う機会は減ってきていますが、講演を聴いて、アナログ絵葉書の魅力を再発見できました。美術を歴史と結びつけて考えたことがなかったため、新たな視点で日本史を楽しむことができ、美術史について興味がわきました。(斉藤)

この講演を通じて、絵葉書にはさまざまな絵柄があり、その多様な美しさにとても引き込まれました。また、絵葉書に込められた、人から人の想いを感じ、その絵葉書にしかない魅力を感じました。現代ではデジタル化が進み年賀状じまいをする家庭も多く、絵葉書のような実際にかたちに残すことが出来る伝統的な芸術に素晴らしさを感じました!(石井)

今回の講演では、絵葉書の歴史的背景と共に絵葉書の魅力を知ることが出来ました。
この記事で、絵葉書をはじめとする日本の伝統的芸術の素晴らしさを知ってもらいたいと思います!

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担当/石井・斉藤
撮影/石井・斉藤