あなたの"いつもの行動"が未来を変える!学生にもできる「エコキャンパス」の取り組みとは?

近年、「CO₂削減」や「カーボンハーフ」*という言葉を耳にする機会が増えています。その背景には、地球温暖化をはじめとする環境問題だけでなく、異常気象やエネルギーコストの高騰など、私たちの暮らしに関わる身近な課題があります。

(※2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減(2000年比)するという取り組み )




成蹊学園でも、緑豊かなキャンパスの維持や環境保全活動に取り組んできました。現在は2030年のカーボンハーフ達成を目指し、「エコキャンパス・DX構想」を推進しています。この構想を支えるのが、学園本館の建設以来100年以上関わりのある清水建設株式会社です。

そこで今回は、エコキャンパス構想の概要や、学生が実践できる省エネ行動、その効果について取材しました!

なぜ今この取り組みが必要なのか

池袋から吉祥寺の地に移転し、2024年で100周年を迎えた成蹊学園のキャンパス。この校地の移転から清水建設との繋がりが育まれてきました。ですが、なぜ2024年という年に「エコキャンパス・DX構想」への推進を始動したのでしょうか? 

清水建設の川西さんと大橋さん、財務部管財課の加賀美課長に直接お話を伺いました。

(左から 財務部管財課:加賀美課長、清水建設株式会社大橋さん、川西さん)

Q.なぜ、2024年に本格的に「エコキャンパス・DX構想」を推進したのでしょうか。
A.加賀美課長:コロナ禍の収束が見えたとき、窓開け換気をはじめとする換気対策が広く浸透したことは、ご存じのとおりです。それによって、空調機を付けたまま外気が入り、学園のエネルギー量がすごく上がってしまって。そのような状況を踏まえて、より良い改善策や、学校のスタイルを作る時期だったのです。

Q. 清水建設と成蹊学園が「カーボンハーフ」の目標に共同して取り組む理由は何ですか?
A.加賀美課長:成蹊学園は、環境教育やサステナビリティ教育研究センターの設置、2008年の環境ISO(ISO14001)の認証を取得など、環境への活動を常に行ってきました。その後ろ盾となってくれていたのが清水建設や三菱地所設計であったので、そのような関係が続いていたという背景はありますね。

大橋さん:私たちから見ると、色々な大学の中でも、特に成蹊学園は意識が高いと感じておりまして、そこに何らかのお力添えをできないかということでこのようなかたちになりました。

大学で多く消費されている電力

このように、成蹊学園はカーボンハーフという目標の達成に向けて実践的に取り組んでいますが、私たち学生は身近で電力の消費を実感する機会が少ないと思います。先ほど述べたように、学園内で電気使用量やCO₂排出量がモニターで確認できることを、初めて知ったという方もいるのではないでしょうか。

この記事を省エネ行動の第1歩として、大学生活の中でどこに多くの電力を消費しているのか見ていきましょう!

・電子機器の電源管理 

学生にとって必要不可欠であるスマートフォンやパソコン。充電完了後にもプラグを差したままにしていた経験が皆さんにもあるのではないでしょうか。電力を使っていないように見えて、実はプラグを抜かないと無駄な電力の消費につながります。また、パソコンの使用時におけるひと工夫として、離席時にスリープ機能を活用するだけでも省エネ行動です!

・照明の自己管理

情報図書館へ自習をしに行くと、誰もいないのにデスクライトがついているのを見たことがある方もいると思います。そのような照明の自己管理はもちろん、パソコンのモニター輝度を適切に調整することがここでのポイントです。図書館に限らず、教室や部室等の退室時には照明を消す習慣を身に付けていきましょう!

・印刷機の利用抑制

成蹊大学に設置されている印刷機は、待機電力によりいつでもすぐ使用できる状態が保たれています。ですが、使用する際に急激に大きな電力を消費し、その消費電力は電子レンジに匹敵するほどです。 必要以上の印刷は、私たちが想像するよりも多くの電力を無駄にしています。そのため、印刷はまとめて行ったり、ペーパーレスを心掛けたりする意識が大切です。

学生が今からでも始めることのできる省エネ行動

使用時のみの電源接続で省エネ

Q.学生生活の中で今からでも始めることができる、省エネ行動はありますか。
A.加賀美課長:学生さんだと部室棟は電力の消費が多いかもしれないです。ミーティング用のモニターとか、皆で共有する用のタコ足配線の待機電力の消費というのもあります。”使う時だけコンセントを差す”ことを少しでも意識するといいと思います。

空き教室利用の見直し

Q.教室の利用時における改善の余地はあるでしょうか?
A.加賀美課長:休み時間や空きコマのときに、空き教室を使いがちだと思います。でも、1人でも部屋に入って空調機を稼働させていると相当な電力を使ってしまいます。
成蹊は、ラーニングコモンズやトランスコンガーデンなどの学生共用スペース、個人であれば情報図書館のクリスタルキャレルを含めた様々な”共有で使える設備”を準備しています。そこを利用する、または個人で申請を出していない教室等の利用を控えることで削減につながると思います。

教室予約の工夫

Q.学生にここをうまく活用してほしいといったところはありますか?
A.加賀美課長:21時の完全退構の前に課外活動の団体が使用を終えてから、空調や電気を消さないで帰ってしまうケースが非常に多いです。成蹊ポータルで教室利用の予約をしても、退構前に消してもらうだけで消費電力は違うと思います。

あと、その成蹊ポータルの教室予約をしてから使わないとなれば、予約を取り消してもらうとありがたいですね。予約したままですと、ポータルサイトとリンクしている9号館地下のエネルギーセンターにより、人がいるいないに関わらず空調はついたままです。空調機がついているからと、別の学生が利用しているのも見かけますね。

加賀美課長:21時の完全退構の前に課外活動の団体が使用を終えてから、空調や電気を消さないで帰ってしまうケースが非常に多いです。成蹊ポータルで教室利用の予約をしても、退構前に消してもらうだけで消費電力は違うと思います。

あと、その成蹊ポータルの教室予約をしてから使わないとなれば、予約を取り消してもらうとありがたいですね。予約したままですと、ポータルサイトとリンクしている9号館地下のエネルギーセンターにより、人がいるいないに関わらず空調はついたままです。空調機がついているからと、別の学生が利用しているのも見かけますね。

エレベーターより階段を

Q.エレベーターではなく階段を利用するといった工夫も、省エネにつながりますか?
A.大橋さん:なります!いいアイデアだと思います。
川西さん:11号館では、階段を使っている学生も多いですよね。
大橋さん:そうですね。社会人でも”2アップ・3ダウン*”をすすめていますので、学生の皆さんは体力もありますし、意識して階段を利用してみてもいいかもしれません。
※「2アップ・3ダウン」とは、2階まで上る場合、3階まで下りる場合はエレベーターではなく階段を利用しようという考え方です。

今の暑い季節には、特にエレベーターの利用をする学生が多いと思います。ですが、その消費電力は、一度の利用で木が約6時間かけて吸収する CO₂の量に相当します。
そこで、少しでも「階段使ってみよう!」と思えるような、以下の計算をしてみました!(体重50kg設定です。)

2階までの上り下りを平日に1か月続けると、なんと12~15分間の軽いジョギングと同様の運動量になります!
身の回りのひと工夫で、省エネにも私たちの健康にもつながることが実感できましたでしょうか。最近は運動ができていないという方、ぜひ日々の”2アップ3ダウン”という意識から始めてみましょう!

現状の取り組みと「見える化」

成蹊学園では、2030年のカーボンハーフ達成のために、設備更新や日々の省エネなど、さまざまな取り組みを進めています。学内では、建物ごとのエネルギー使用量やCO₂排出量を管理するとともに、キャンパス内の樹木によるCO₂吸収量も把握し、学園全体で環境負荷の低減に取り組んでいます。

こうした取り組みを支えているのが、清水建設の中央監視システム「BECSS」と、さまざまな設備やデータを連携・管理するプラットフォーム「DX-Core」です。2つのシステムにより、学内の電気や空調などの使用状況をリアルタイムで把握・分析し、効率的なエネルギー管理が可能になっています。

また、これらのデータは本館3階談話室に設置されたモニターで、昨年度と比較しながら建物ごとの電気使用量やCO₂排出量などをリアルタイムで確認することができます。さらに、今後は、6号館地下と11号館入口のサイネージでも同様の情報が表示される予定だそうです!これにより、エネルギー使用状況や環境負荷のデータが学生にも「見える化」されます。

(番外編)NOVAREに潜入取材!

また、エコキャンパスに導入予定のエコシステムや、その先にある最先端のシステムを実際に見て体験するため、今回はDX-Coreの試験運用を積極的に行っているNOVAREへ取材に伺いました!

NOVAREとは?

清水建設が東京都江東区潮見に整備したイノベーション創出拠点である“温故創新の森 NOVARE” は、「INNOVARE(革新する)」というラテン語を由来とした、イノベーションの発信拠点です。建設事業の枠を超えた発展を目指し、研究開発、環境や人材教育をはじめとするさまざまな分野で新しい価値を創造しています。施設内では、挑戦の歴史を未来へ継承しながら、開発から販売、事業開発までを見据えた取り組み、また新しい技術の実証・共創が行われています。過去の知見を生かし、新たな挑戦が生まれる創造の起点として、未来へ向けたイノベーションを育む施設です。実際にNOVARE Labの巨大3DプリンターやDX-Coreによる詳細な位置情報管理を見学して、近未来として描いてきた技術は現在の私たちの生活に取り入れられるあと一歩まで来ていることを実感しました。

NOVAREの取り組みとエコキャンパスの繋がり

NOVAREで現在行われている取り組みの内の1つに、現在成蹊学園での発展を期待されている、DX-Coreの更なる事業化に向けての、実証実験が含まれています。

DX-Coreとは、様々なデバイスから得られるデータを集約・総合的に分析し、各デバイスの自動制御を可能にする統制官のようなシステムです。このシステムを活用することで、室温管理やセキュリティ対策、エネルギー消費の最小化など、従来は困難であった高度な管理・制御をスムーズに実現できるようになります。

具体的にNOVAREでは、人感センサーやGPS、各社員の行動履歴から予測された好みのデータをDX-Coreに集約し、これらを空調機能と連動させています。それによって、人がいる場所だけに、かつ各社員の好みに合わせた最適な空調を提供するなどといった、革新的なシステムが複数導入されているのです。

一見、個人の動きに合わせて様々な設備を調整することは、電力使用量の増加につながると思われるかもしれません。しかし、実際の実験段階において、むしろ省エネにつながることが証明されています。 したがって、ここまでの規模とはいかなくとも、本学の「DX-Core」が発展すれば、インタビューの際に加賀美課長がおっしゃっていた「苦しまない省エネ」という目標の達成に近づいていくのだろうと強く実感することができました。

各システムから集約したデータをBECSSクラウドによって見える化した制御室

NOVAREオフィス部分「NOVARE Hub」の様子の開放的な様子

DX-Coreによって制御されたオフィス空間。人がいる場所だけを照らす照明や、社員一人ひとりの好みに合わせる床エアコンが搭載されている。

実際にNOVAREを見学させていただいて、個人規模の空調や、余剰エネルギーの有効活用など、私たちの暮らしを更に快適にしながらにも環境に配慮した技術が実現されていることを知り大変驚きました。また、こうした技術だけでなく私たち一人ひとりが日常生活の中で省エネルギーを意識して行動することが、持続可能な社会の実現に繋がると感じました。

ここまでの紹介やインタビューを通して、「エコキャンパス」の目的や、私たちにできる取り組みについて知っていただけたのではないでしょうか。学生一人ひとりが少しずつ省エネを意識して行動することが、成蹊学園全体の大きな省エネになります。

「自分ひとりがやっても変わらない」と思わず、今日から階段を使ってみる、使っていない照明や空調をこまめに消すなど、身近なことから始めてみませんか。そうした小さな意識改革行動の積み重ねが、より持続可能なエコキャンパスの実現につながります。

未来のキャンパスをつくるのは、私たち一人ひとりの「いつもの行動」です。この記事を読んで、日常を少しずつ見直すきっかけとなれば嬉しいです!
また、学生広報委員会の活動について知りたいと考えている方はこちらのリンクからどうぞ!

X:@officialzelkova
Instagram:official_zelkova

担当/桜田・米澤・新名・若菜
撮影/新名・伊藤