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<報告>成蹊大学Society 5.0研究所 第2回講演会/ライブ配信

■主催
成蹊大学Society 5.0研究所
■開催日:
2021年11月24日(水)
■時間:
19:00~20:30
■会場:
オンライン
■ライブ配信参加者数(申込者数):  
202名(233名)
※録画視聴者人数も含む
■録画配信期間:
2021年11月26日(金)~ 12月2日(木)
■出演者:
西川 武志 氏(公益財団法人 計算科学振興財団 CTO/共用専門員/研究部門主任研究員)
塩澤 一洋(成蹊大学法学部教授/ Society 5.0研究所所員)


11月24日19時から90分間にわたり、「Society 5.0を支えるスーパーコンピュータ〜立法と行政が技術を支えられるか?」と題して、公益財団法人計算科学振興財団(FOCUS)CTO / 共用専門員 / 研究部門主任研究員であられる西川武志博士にご講演いただきました。2020年6月、11月、2021年6月、および11月に、TOP500を含む4部門で世界1位となり、4期連続の4冠を達成したスーパーコンピュータ「富岳」を中心としてスーパーコンピュータの技術的な仕組みや特徴を非常に丁寧に解説くださり、文系の聴衆にも大変わかりやすいお話でした。

昨今、誰もが目にしているウイルス飛沫エアロゾルの飛散シミュレーション、スパイクピンのない陸上短距離用シューズの開発、「本能寺の変」における建造物火災再現シミュレーション、そして施設内の換気シミュレーションなど、スーパーコンピュータの強力な計算資源を利用した面白い研究が目白押し。世の中の役に立つスーパーコンピュータの姿を明らかにしていただきました。前世代の「京」に対して計算能力が40倍でありながら消費電力は2倍あまりにとどまっていたり、米国や中国のスーパーコンピュータに比してCPUの故障率が1/10〜1/100しかない、といった客観的な数値に基づくご紹介から、「富岳」の優秀さを強く感じました。

ついでAI / 機械学習がどのようなものか、何ができて何が苦手かについて、クレジットカード不正利用検知や顔検出といった実例を用いて詳細に解説されたうえで、2045年に来るとレイ・カーツワイルが説くシンギュラリティ(技術的特異点)について懐疑的な見解を示されました。スーパーコンピュータは設計から製造まで5年かかるが、現時点で富岳の次世代となるスーパーコンピュータについて未決定であることに、一抹の不安を抱きます。量子コンピュータも実用化には相当時間がかかりそうとのことです。

それらの理解に基づき、スーパーコンピュータやAIに対する幻想や不安を払拭する一方で、立法と行政が技術に追いついてない現状について、AIが生成した著作物の著作権の所在、自動運転やロボットによる事故における責任の所在といった問題を例に、立法的手当ないしルール作りが遅れている危機感を明らかにされました。Society 5.0研究を深化、進展させる必要性を強く感じたご講演でした。

示唆に富むお話をいただき、また会場から寄せられた多数のご質問にも丁寧にお答えいただいた西川先生、どうもありがとうございました。ご参加くださいましたみなさまに厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。


(Society 5.0研究所所員 塩澤 一洋)