成蹊大学Society 5.0研究所主催 第19回講演会(2026年4月25日開催)
「生成AIを仕事や学業に活かすコツ」
成蹊大学理工学部理工学科データ数理専攻 4年 椎野 錬
近年、生成AIは私たちの生活や学業の中で急速に身近な存在になっている。文章の作成や要約、翻訳、プログラミングの補助など、これまで時間をかけて行っていた作業を短時間で支援してくれるため、非常に便利な技術であると感じている。一方で、今回の「生成AIを仕事や学業に活かすコツ」という講演を聞き、生成AIはただ使えばよいものではなく、使う側の理解や工夫がとても重要であることを学んだ。特に、生成AIを安全に使うための注意点、AIへの指示の出し方、そして自分の考えを言葉にして伝えることの大切さが印象に残った。そこで、この三つの点について、自分の考えを述べたい。
まず一つ目に印象に残ったのは、生成AIを使う上でのリスクについてである。講演では、機密情報の入力、出力内容の妥当性、知的財産の扱いなどに注意する必要があると説明されていた。私は普段、生成AIを文章の整理やアイデア出しに使うことがあるが、便利さを優先してしまうと、入力してはいけない情報まで入れてしまう危険があると感じた。特に、個人情報や企業の内部情報などは、そのまま入力するのではなく、内容を抽象化して伝える必要がある。これは、AIを活用する上での基本的な姿勢として身につけなければならないと感じた。また、AIの出力が必ずしも正しいとは限らないという点も重要である。生成AIの文章は自然で説得力があるため、つい正しいものとして受け取ってしまいやすい。しかし、講演でも述べられていたように、知らない分野ではその内容が妥当かどうかを自分で判断することが難しい。そのため、重要な情報については一次情報や信頼できる資料で確認する必要がある。私はデータサイエンスを学んでいるが、データ分析でも、結果が出たからといってすぐに正しいと判断するのではなく、データの前提や分析方法を確認することが大切である。生成AIの活用においても、同じように「確認する姿勢」が必要だと感じた。
二つ目に印象に残ったのは、AIへの指示の出し方である。講演では、「何をAIにしてもらうか」が一番難しいという話があった。私はこの言葉を聞いて、生成AIをうまく使えるかどうかは、AIの性能だけではなく、使う人の質問の仕方にも大きく左右されるのだと感じた。たとえば、「レポートを書いて」とだけ指示するよりも、目的や条件、文字数、構成、重視してほしい点を伝えた方が、自分の意図に近い回答が得られる。これは、普段のコミュニケーションにも近いと感じた。相手に何かを依頼するときも、目的や背景を伝えなければ、期待通りの結果にはなりにくい。生成AIに対しても、人に依頼するのと同じように、分かりやすく具体的に伝えることが重要である。講演では、まず「やってほしいこと」を伝え、次にAIに実行プランを作らせ、分からないことがあれば質問させるという手順が紹介されていた。この方法は、生成AIを一方的に使うのではなく、一緒に作業を進める相手として活用する考え方だと感じた。私自身、研究テーマを考えたり、レポートの構成を整理したりするときに、いきなり完成形を求めるのではなく、まず計画や論点を整理してもらう使い方が有効だと思った。特に、卒業研究ではテーマ設定や先行研究の整理など、自分の考えをまとめる場面が多いため、生成AIを思考の補助として活用していきたい。
三つ目に印象に残ったのは、「知見の外在化」という考え方である。講演では、これが非常に重要であると説明されていた。私はこれを、自分の頭の中にある考えや経験、悩み、前提条件などを、言葉やメモとして外に出すことだと理解した。生成AIは、何も情報を与えなければ一般的な回答しかできない。しかし、自分が何を考えているのか、何に困っているのか、どのような条件で進めたいのかを伝えることで、より自分に合った回答を得ることができる。つまり、AIをうまく使うためには、自分自身の考えを整理して言語化する力が必要である。この点は、大学での学びにも深く関係していると感じた。講義を聞いたり、研究を進めたりする中で、自分が分かっていることと分かっていないことを整理することは重要である。しかし、頭の中だけで考えていると、考えが曖昧なままになってしまうことがある。メモや文章にすることで、自分の理解不足に気づくことができる。生成AIを使う場合も同じで、自分の考えを外に出すことで、AIからより具体的な助言を受けられるだけでなく、自分自身の理解も深まると感じた。さらに、講演の中で「AIの成果物を読むか読まないかで大きな差が出る」という話も印象に残った。生成AIは便利であるため、文章や資料をすぐに作成してくれる。しかし、それを確認せずにそのまま使ってしまえば、自分の学びにはつながらないと思う。AIが作成した文章を読み、違和感のある部分を直し、自分の考えを加えることで、初めて自分の成果物になる。今後は、AIに任せきりにするのではなく、AIの出力をたたき台として活用し、最終的には自分で責任を持って判断する姿勢を大切にしたい。
今回の講演を通して、生成AIは単に作業を楽にするための道具ではなく、自分の考えを整理し、学びを深めるための相手にもなり得ることを学んだ。一方で、安全に使うためには、機密情報を入力しないこと、出力内容を確認すること、知的財産に注意することなど、利用者側の責任も大きいと感じた。また、良い回答を得るためには、目的や条件を明確にし、AIと何度もやり取りしながら改善していくことが必要である。私は今後、学業や卒業研究、そして将来の仕事の中で、生成AIを積極的に活用していきたい。ただし、AIの回答をそのまま信じるのではなく、自分で確認し、自分の考えを加えながら使うことを意識したい。そして、生成AIを使いこなすだけでなく、生成AIと協働しながらより良い成果を生み出せる人材になりたい。