社会発信

2022年度開催イベント
アフターレポート

成蹊大学Society 5.0研究所主催 特別講演会(2022年7月7日開催)
「これからのワークプレイス 仕事=学び」

成蹊大学大学院法学政治学研究科 法律学専攻 博士前期課程1年 山下 真由
 

  •  本講演を通じて、中学・高校の教員を将来目指している私は、未来を担う若い世代が、自身の成長のために自ら学習するスキルを持ち、社会で活躍するための教育ができる教員になりたいと思った。昨年行った就職活動を経て自己が社会に出て働くことを考えたとき、機械に取って代わることのない職業として教員の存在は欠かせないのではないかと思った。教員は、未来の人材を育成する指導者であり、子どもたちを社会へ送り出す基礎を築く役目であると私は考える。そこから本講演を受け、教育の場で行っていくべきこと、教育者を目指すにあたって必要なことはなにかをアフターレポートとして考えた。

     講演内で紹介されていた世界経済フォーラムの「あり得る未来のシナリオ」内に、教育の発展という条件のバランスが取れないと教育格差が起きてしまう恐れがあるとあった。この点について参考になる先例として、講演内では、産業革命後の農業の機械化によって従来にはない高度なスキルの仕事が必要となり、高校教育が必要となったこと、ATMが普及した時期に、銀行員がお金の出納から投資商品の販売などへと仕事を変えるために、大学教育が必要となったことが紹介された。また、近年のICT化で変化した仕事に対応するために、大学教育を超える教育が必要になり、例えば、シリコンバレーで働く人々は、オンラインエデュケーションを利用し、自ら習得したいスキルを学習し続けるようになっていることも指摘された。

     日本でも教育に関する政策を考えていく必要があるのではないかと思う。日本には9年の義務教育があり、義務教育では子どもは教育を受ける権利がある。また、現代では進学率が90%を超えた高等学校、さらにその後の進路として大学や専門学校もある。義務教育で教育格差を減らし、その後の進学で人材とテクノロジーの発展も達成されていくべきであり、さらには企業も教育への投資をしていく必要がある。コロナウイルスの影響によるテレワークの促進といったように、職場のスタイルにも従来のものと変わった面が増えていることから、高度なスキルを社会全体として確保する必要がある。

     本講演から私は、新しいスキル、高度なスキルを子どもたちが身につけるには、授業内におけるICTの導入に限らず、教育の根本を変える必要があるという示唆を得た。日本の義務教育は、知識を持つことや、目の前の授業をこなすことばかりに重きが置かれているのではないかと感じる。義務教育や高等教育で学習した後、卒業後も自身のスキルを向上させたいと思えるような教育をさせるのが、それらのあるべき姿ではないかと考える。さらには、学習した知識を応用するようなスキルを習得するための場が学校ではないかと思う。考えられる方法として、機械にはできない人間だからこそできるコミュニケーションスキルの向上、習得した知識を実践できる授業、自己の目的に合わせた授業選択があると思う。コミュニケーションスキルの向上として、ゼミやディスカッションの授業を設け、論理的な思考力を養うことが出来ると良いと考える。実践授業は、プレゼンテーションや発表などを行い、その知識を継続的に活用できるよう自分のものにしていくことを目的とする。そして授業選択は、社会で必要な知識を得る授業とは別に、早い段階から将来の仕事へ間接的でも繋がるよう、子ども自身で学びたいものを選ぶことが出来る環境を整えることで、より専門的な高度なスキルを持った人材育成へと繋がるのではないかと考える。これらの方法を、現代社会で加速するIT化を併せて対面、オンラインどちらでも可能にできるよう柔軟な対応を取ることができたら、より子どもたちの学習への意欲が増すのではないかと思う。

     時代を重ねるにつれて技術発展していく社会に対応できる人材育成のために、将来教員になったときはこれらを実践できたらよいと考える。これらの方法に子どもたちが学習へのやりがいを感じられるような指導を行いたい。個人の主体性を促せるような声掛けや授業展開をできたらよいと考える。そして、私自身も発展する社会に対応すべく、積極的な学習を今後も心がけ、興味あることへの視野を広げ、常にスキルを更新出来るような教員になりたい。