文学部紹介

学部長挨拶

文学部で学ぶということ

文学部で学ぶということ

文学部長 見城 武秀

この文章を読んでくださっている方には、成蹊大学文学部への進学を検討している人も少なくないでしょう。その中には、文学部で学ぶことが自分の将来にとってどのように役に立つのかが気になる方もいると思います。この問いに答えることはなかなか難しいのですが、その難しさは、文学部での学びの特徴を示すものでもあります。
この問いに答えることが難しい1つの理由は、文学部で学ぶことが実に様々だからです。4つの学科は独立しつつも、その研究対象や研究手法は緩やかに重なり合っており、他学科の専門科目を履修する学生も少なくありません。また、日本語教員養成コースと芸術文化行政コースでは学科の垣根を超えた学びがおこなわれています。このような環境の中で、学生は学科のカリキュラムをベースに、自分に合せた学びを選択することになります。
もう1つの理由は、文学部で学ぶことが将来の「役に立つ」、そのあり方も多様だという点にあります。文学部での学びの基礎にある人文学は、いわゆる教養教育と深く結びついています。専門性が地面の上に出た幹や枝、花だとすれば、教養はそれを支える土や根にたとえられるでしょう。花は人の目を楽しませるという点で「役に立つ」かもしれませんが、土壌が肥沃で根がしっかり張っていなければ、木は大きく育たず、大輪の花も咲きません。土を耕すという目立たない営みを「役に立つ」と見なすかどうか、それは皆さんにかかっています。
幸いなことに、成蹊大学の位置する吉祥寺は豊かな文化的環境に恵まれ、皆さんがよい友人や教師だけでなく、よい書物・音楽・演劇・絵画などと出会う機会にあふれています。こうした環境の中で、土に根を張った自分なりの物の見方や価値観を育んでみませんか?