ついに本格始動!国際共創学部 国際日本学専攻編
前回は、国際共創学部環境サステナビリティ学専攻の小室譲准教授にお話を伺いました。今回はその第2弾として、国際日本学専攻の先生へのインタビューを通して、学びの魅力をお伝えします!
国際日本学専攻では、国際的な視点から日本の文化や地域を多角的に学びます。生活文化やポップ・カルチャー、日本美術、異文化交流など、幅広い視点から人の営みを研究し、グローバル化する地域の課題に取り組みながら、国際社会で活躍できる柔軟な思考と対話力を育みます。今回は「ファッション文化論」を研究されているトゥーレン サスキア専任講師にお話を伺いました。
国際日本学専攻 トゥーレン サスキア専任講師
Q.成蹊大学に着任されたきっかけを教えてください。
A.知り合いから「成蹊大学の新しい学部で日本文化を教える先生の募集がありますよ」と教えていただいたのがきっかけです。当時は別の大学に勤めていたのですが、新しくできる学部が面白そうだなと思って応募しました。
Q.日本文化に興味を持ったきっかけは何ですか?
A.小さい頃から和食店によく行っていて、料理だけでなく内装や雰囲気にも魅力を感じていました。そこから神社やお寺、映画にも興味を持つようになりました。大学進学ではいろいろと悩みましたが、姉が留学先で「日本学」という分野を知り、それを教えてくれたことが大きかったです。最初は「やってみようかな」という程度の気持ちでしたが、学ぶうちにどんどん面白くなり、日本史やファッション研究につながっていきました。
Q.日本文化の中で一番魅力的だと感じている点は何ですか?
A.今、研究している「着物」です。洋服とは全く違うファッションのシステムがあるところに魅力を感じています。洋服ではモノクロのほうがかっこよく、柄を多く組み合わせるとまとまりにくいと感じられがちです。しかし、着物ではあえて複数の柄を重ねることでより美しく見えることがあります。このように、 着物には洋服とは違う見せ方や楽しみ方があります。また、その日の気分で自由に楽しめるところが素敵だと思います。
Q.想像していた学生像と、実際に授業が始まってからの学生の様子に違いはありましたか?
A.以前は修士課程の学生を中心に教えていたので、学部がどういう場所なのか正直あまり想像できていませんでした。しかし、実際に授業をしてみると、感想レポートで批判的な考えを含めてしっかりと書いてくれる学生が多く、授業後に質問しに来てくれて、「すごくいいな」と思っています。このまま積極的でいてほしいなと思います。
Q.グローバル化が進む中で、日本文化をどう継承していくべきだと思いますか?
A.教育と発信が大事だと考えています。着物や伝統工芸など、日本の中でもまだ充分に知られていないものが多いので、それがどういったものなのか広く伝えていくことが必要だと思います。海外の人が日本文化に興味を感じてくれることで、日本の中でも「これっていいものなんだ」と再評価につながると思っています。
Q.国内外ではどのようなフィールドスタディをされていますか?
A.国内では、着物メーカーや呉服屋さんがどうやって着物のイメージを新しくしようとしているのかを研究しています。国外では、ヨーロッパやアメリカで着物を着ている人たちが、なぜ着物を着るのか、着物をどう解釈しているのか調べます。
Q.今後、挑戦していきたい取り組みはありますか?
A.着物研究だけでなく、自分でも着物を作っています。実際に作ることで、作り手の考え方や技術が分かるようになります。将来的には、研究と実践の両方に取り組む人をもっと増やしていきたいです。それから、この学校には「和装の日」がないので、来年から担当するプロジェクトで作っていきたいと考えています。着付けだけでなく、和装に関わるさまざまな活動にも取り組みたいです。実際に、服のリサイクルをテーマにした学生のプロジェクトでは草木染めの話が出ていて、成蹊大学には欅が多いことから、その欅を使った染色を提案しました。こうした活動を続けながら、着物の研究ともつなげられたらいいなと考えています。
Q.学生と関わっていく中で嬉しかったなと思うような体験は何かありましたか?
A.まだ授業が始まったばかりですが、授業前や授業後などに積極的にファッションや私の研究について質問や話を聞きに来てくれたり、着物に興味があって「先生、今度是非着物着て来てください!」などと言ってくれたり気軽に来てくれる学生さんがたくさんいてものすごく良いなと思っています。
でも、私達のオフィスアワーに誰も来てくれなくて少し寂しいという気持ちも少しあります(笑)ぜひ気軽に来てもらえたらなと思います。あと、西1号館のラウンジに学生がよくご飯を食べたり集まったりしていて、私達教員が出入りする時などに明るく挨拶をしてくれてすごく雰囲気が良いなと思っています。こういう堅苦しくなく気軽に接してくれるっていう環境がとてもいいなとひしひしと感じています。
Q. 今までの研究の中で、先生自身が心震わされた経験など何かありましたか?
A. 今までインタビューしてきた人達のなかで面白いなと感じたのは、家族経営を行っている4つのメーカーでした。家族経営なのですが、もうやりたくないというような感じでほぼ全員が離れてしまってそれぞれ別のことをしていた時期があったそうです。しかし、別のことをやっていた中で改めて家業の素晴らしさや、全く関係ないものと着物を合わせたら良いのではないかと考え、この業界に戻る決意をしたという話を聞いてものすごく感動しました。一度離れた業界にまた戻るという勇気のいる決断をしたことや、そう思わせる着物の文化の素晴らしさ、自分の経験を着物づくりに活かしていくことが素敵だなと感じましたね。
Q.先生は、着物を通じてコミュニティや人々のあいだにどのような繋がりが生まれると感じていますか。また、研究や活動の中で先生の実際の体験談などがあれば教えてください!
A.着物を通じたコミュニティは、本当に自然な形で生まれていると思います。例えば職人さんとの関わりでは、「これはどうやって作るのですか」「何に使うんですか」と純粋な興味から質問をすると、とても喜んでくださることが多く、そこから自然と良い関係が出来ていったように思います。
また、着物業界には展示会や販売会、着物で参加できるイベントなどが多くあり、そうした場が人と人を繋ぐきっかけになっていますね。着物を着てみたいと思っていても、1人では不安だったり、どこで買えばいいのかわからなかったりする人も多いのですが、それを解決するためにイベントが数多くあります。実際に参加することで同じ興味を持つ人たちと出会うこともできます。着物が好きという共通点があるので、年齢や職業が違っていても自然と会話が生まれますし、SNSなどを通じて交流が広がることもあります。私自身も、着物をきっかけに親しくなった友人がたくさんいますし、海外で研究をしていた時も、10代から60代までの幅広い年代の人たちが着物を通して繋がっている様子を見てきました。普段なら出会わないような人同士が、着物をきっかけにコミュニティを作っていくところに、着物の大きな魅力と力を感じています。
Q. 着物を通じて人と人がつながる魅力についてお話していただきましたが、今後、日本と海外が文化的により深くつながっていくために、先生はどのようなことが大切だと考えていますか。また、着物文化がこれからどのように広がっていけばよいと思いますか。
A.私は、これから日本と海外の間で、もっと情報や研究成果の共有が進んでほしいと思っています。特に着物研究では、日本語の研究と英語の研究の間に大きな情報のギャップがあり、お互いの研究成果が十分に共有されていない現状があります。そのため、古い解釈や誤解が繰り返されてしまうことも少なくありません。日本で発信されているものを海外へ、そして海外で行われている研究を日本へといった、より積極的な交流が大切だと考えています。
また、着物を特別な日の衣装ではなく、一つのファッションとしてもっと認識してほしいとも思っています。着物には独自の文化やルールがあり、洋服と並ぶファッションシステムの1つです。さらに、着物はサステナブルな側面を持っており、現代のファッションが抱える課題へのヒントも含まれていると思っています。
実際に着物には日常生活の中でもさまざまな利点があります。例えば、冬はとても暖かく、帯によって体が支えられるため、疲れている時でも自然と姿勢が良くなる感覚があります。また、レセプションや式典などフォーマルな場面では、何を着ればよいか悩むことがありますが、着物であれば場にふさわしい装いとして安心して着ることが出来てとても便利だなと思っています!
こうした実用的な魅力も含めて、洋服だけでなく着物も日常の選択肢の1つとして取り入れられるようになれば、ファッションの可能性がさらに広がるのではないかと思います。
Q.フィールドワークや授業などを通して、学生達にどのような視点を持っていって欲しいと先生はお考えですか?
A.学生の皆さんには、まず自分が本当にやりたいことを見つけてほしいと思います。一方で柔軟性を持つこともとても大事にしてほしいです。私自身、もともとはアール・ヌーヴォーの美術史を研究していました。そこで日本から見たアール・ヌーヴォーについて研究したいと考え、先生に相談し、博士課程に進む際にファッションを専門とする大学に進学する機会を得ました。当初はファッションに強い関心があったわけではありませんでしたが、「アール・ヌーヴォーを研究したい」という考えを持ちながら新しい分野に挑戦した結果、着物研究へ、そして今の研究活動や仕事に繋がっています。
そのため、学生の皆さんにも、自分の目標や興味を大切にしながらも、さまざまな分野や新しい機会に対してオープンな姿勢でいてほしいと思います。最初は興味がないと感じるテーマや、先生から提案された研究内容であっても、実際に取り組んでみることで思いがけない発見や新たな可能性が生まれることがあります。
また、大学生活では視野を広げ、自分にしかない経験や強みをつくることも重要です。これからの社会では、多くの人の中から自分の価値を示していく必要があります。そのためにも、「なぜ自分はそれを学びたいのか」を考えながら挑戦を続け、自分だけの魅力や専門性を見つけていってほしいと思います。
Q. 最後に、これから、国際共創学部の国際日本学専攻の受験を考えている高校生に向けて、メッセージをお願いします。
A.この専攻だけではなく、大学に入ろうと考えている高校生全員向けの話になってしまうのですが、大学は4年間の「休み」なのではなく、自分の興味のあることを自由に学び、研究できるとても貴重な時間だと思っています。大学は義務教育ではなく、自分で選んで進学する場所なので、ぜひその時間を大切にしてほしいです。好きな分野を深く学べるだけでなく、興味がないと感じる科目が将来思わぬ形で役立つことがあります。実際に、私が通っていたベルギーの大学ではすべての科目の履修が必須なのですが、当時は必要性を感じられなかった授業科目が後になって役立った経験があります。だからこそ、大学生活ではさまざまなことに挑戦し、たくさん学び、調べ、研究してほしいと思います。自分の知りたいことにじっくり時間をかけられる機会は人生の中でも限られています。その贅沢な時間をぜひ有意義に過ごしてください!
2本立てでお届けしてきた国際共創学部の特集、いかがでしたか?
今回お話を伺ったサスキア先生は、とても明るく、授業後に学生が自然と集まってくるような温かい雰囲気を持った方でした!
国際日本学専攻では、日本文化を国内外の視点から総合的に学ぶことができ、実践的なフィールドワークや文化をつなぐという姿勢を重視した学びが特徴的だと思いました。今回の特集を通して、その魅力を少しでも感じ取っていただけたらうれしく思います!
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担当/石井・澤田・笹本