■主催
成蹊大学Society 5.0研究所
■開催日
2025年8月9日(土)
■時間
14:00~15:45
■会場
成蹊学園本館大講堂
■参加者数
162名
■主催者代表
小森 理(成蹊大学Society 5.0研究所所長)
2025年8月9日(土)に、東北芸術⼯科⼤学教授∕株式会社みかんぐみ共同代表の竹内昌義先生をお迎えし、Society5.0研究所主催の第17回講演会を実施しました。竹内先生はNHK長野放送会館の設計等、多くの建築物の設計に携わる日本の第一人者の先生で、当日は「地球沸騰化時代に私たちにできること」と題し、脱炭素社会実現に向けて日本の現状と課題、それに私たち一人一人が実際にできることについて御講演して頂きました。
2020年に菅元首相により2050年カーボンニュートラル宣言が出されました。二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの排出量を削減するとともに、森林が取り込む吸収量を増やすことにより差し引き0にしようとする取り組みです。但し御講演中に言及された国際エネルギー機関の2021年の報告によると、日本の発電電力に占める再生可能エネルギーの割合はおよそ20%程度にとどまり、大半は天然ガス、石炭、石油などの化石燃料に頼っているが現状とのことでした。一方北欧では脱炭素社会の取り組みが進んでおり、デンマークの首都コペンハーゲンでは、再生可能エネルギーの活用が70%を超え、2030年には脱炭素社会の実現ができるところまで進んでいるとのことでした。
また御講演の中ほどで日本のエネルギー消費量の内訳のご説明があり、建物(住宅と建築)がおよそ3分の1を占めており、また住宅で消費されるエネルギーの3分の2が暖房と給湯によるものであるとのことでした。鉄鋼や化学なでの産業によるエネルギー消費、または物資の運輸による消費は一個人の取り組みではなかなか削減は難しいですが、住宅で消費されるエネルギーを抑えることは、私たち一人一人が意識を変え実際に行動を起こすことで実現可能とのことでした。
後半では住宅の断熱と気密性に焦点を当て、断熱と気密性の向上が住宅のエネルギー消費を抑えるだけなく、住宅内での運動量の増加や血圧の低下などをもたらし健康の維持増進にも寄与することを実際のデータをもとに示されていました。最後に教育現場での断熱改修推進プロジェクトの御紹介があり、「学校から脱炭素社会をつくる」重要性を指摘されておりました。
御講演後にも活発な質疑応答がり、非常に盛況のうちに講演会を終えることができました。竹内先生をはじめ、ご参加してくださった地域住民の皆様、学生、教職員の皆様に改ためて厚く御礼を申し上げます。
(成蹊大学Society 5.0研究所所長 小森 理)


