成蹊学園インフォメーション

日本経済新聞シリーズ企画 教育鼎談 第2回 産学協働による人材育成と大学教育の質の保証

亀嶋 庸一 : 成蹊⼤学学⻑/廣田 康人 : 三菱商事執⾏役員、コーポレート担当役員補佐(⼈事担当)/中西 寛子 : 成蹊学園アドバイザリーボード

ファシリテーター 小川 隆申 : 成蹊学園常務理事(産学連携担当)

Part1 教育鼎談の内容

社会の人材育成ニーズに応える新カリキュラムと生涯教育の提供

  • 2014年度から始まる「新カリキュラム」

    「グローバル化する国際社会への対応」「自ら考え発信する人材の育成」を基本理念として、次の6つの施策を柱とした新しいカリキュラムがスタートします。
    1.プレ・ターム(始動学期)/ 2.サマースクール/ 3.アセットプログラム(成蹊独自の英語教育)/ 4.成蹊国際コース(全学部共通の選抜コース)/ 5.少人数教育・ゼミ必修制/ 6.キャリア教育(丸の内ビジネス研修)

  • ゼミ必修制をはじめとするアクティブラーニングを重視

    成蹊大学では、ゼミ(演習)を通じて知識の定着を図り、獲得した知識を活用して課題の発見・探求・解決に取り組むとともに、双方向型のアクティブラーニングをより積極的に提供していきます。

  • キャリア教育 「丸の内ビジネス研修(MBT)」の推進

    キャリア教育の一環として、2013年度(本年度)から始まる「丸の内ビジネス研修(MBT)」は、産学連携で職業人を育てる長期的な展望に立ったインターンシップ・プログラムです。学生に対して、事前研修を徹底して行い、ビジネスの現場を肌で感じ、その後の学習意欲の向上につながる仕組みになっています。

  • 生涯学習支援

    社会人の「学び直し」の場として、また、地域貢献の一環として、生涯学習への取り組みを積極的に行っていきます。行政や地域住民の協力を得て、学園のある吉祥寺の課題解決に取り組むプロジェクト型授業(PBL:Project-Based Learning)なども実施しています。

問われる大学の存在意義《日本経済新聞  鼎談広告から》

小川
21世紀社会において、産業界が大学教育に期待していることは何ですか。
廣田
まず、米スタンフォード大がシリコンバレーを育んだように、日本でも大学が社会や世の中の仕組みを変えるイノベーションのプラットフォームになることです。次に、学生に徹底的な学びの場を提供し、課題解決力や専門性を身に付けさせること。特に正解のない問題に自ら答えを出していくために、幅広いリベラルアーツの修得が重要です。さらに、グローバルに対応できる語学力や発信力、多様な価値観を理解する能力の養成や、社会人に「学び直し」の機会を提供することなども求められるでしょう。
亀嶋
これからの大学の社会的な使命の一つは、生涯教育の提供です。その意味で、社会人の学び直しは大切なテーマ。地域貢献の取り組みとしても重要です。本学が立地する吉祥寺エリアには、学習意欲の高い人が多く、公開講座や聴講生として正規授業に参加する社会人やシニア世代も少なくありません。幅広い世代の“知”の交流拠点として大学が機能することも重要だと思います。本学では自治体や地域社会の協力を得て、吉祥寺の街の課題解決に取り組むプロジェクト型授業(PBL)なども実施しています。

廣田 康人

小川
世界の潮流を踏まえて、中西さんは今後の大学教育のあり方をどのように展望しますか。
中西
世界の潮流は「オープンエデュケーション」です。インターネットを使うことで世界中の大学の講義を受けられるようになり、単位の取得を認める例も出てきました。誰もがどこでも学べる環境が整うにつれ、大学の存在意義が問われています。重要な視点は、ネットで講義を聞くだけでは学びが完結しないということです。自分が通う大学の教員に質問したり、学生と討論したりするなど、学んだことの発信力や相互理解を高める仕組みが不可欠です。そこに大学の存在意義もあります。これまでの一方的な講義主体の教育から、双方向型のアクティブラーニングを提供する場への変革が求められます。
亀嶋
来年度から始める新カリキュラムでは、ゼミやアクティブラーニングによる授業に加え、企業との連携による人材育成プログラムや、海外の大学のサマースクールへの派遣など、外の世界とのつながりを多く経験できる機会を充実させています。教室の中では得ることの難しい体験を通じて、自分が今後取り組むべき課題を学生に自覚させ、主体的な学びへの動機付けを促していくのです。このように大学が進化をし続ける努力を惜しまなければ、社会から評価される教育の質を実現できると思います。

中西 寛子

産学協働による人材育成《日本経済新聞  鼎談広告から》

小川
本学が今年度から始めた「丸の内ビジネス研修(MBT)」は三菱グループをはじめ多くの企業にご協力ならびにご意見いただき実現したもので、まさに産学協働で人材を育成していく長期的な展望に立ったインターンシップ・プログラムです。参加企業としてこの取り組みをどう捉えていますか。
廣田
当社は今夏、経済学部と文学部の3年生2人を受け入れます。実習では学生に具体的な課題を提示しながら一緒に仕事をしていただき、最終日に研修の成果を社員の前で発表していただきます。ビジネスの現場にどんな課題があり、どんな力が求められるのかを肌で感じることで大学に戻ってからの「学び」に関するモチベーションをぜひ高めてほしいと思います。また、PBLなどを通じて、産学連携で特定のテーマに取り組む機会も有意義です。アカデミズムの立場から、社会や企業の課題解決を図るための提言を大いにしてほしいと思います。
亀嶋
成蹊学園は、創立時から産業界と密接な関係を持ってきました。学園の起源は、「大正自由教育の旗手」と称された中村春二が1906年(明治39年)に開いた私塾なのですが、その設立に賛助の手を差し伸べたのは、中村の親友でよき理解者だった今村銀行頭取・今村繁三と三菱4代目当主・岩崎小弥太でした。
小川
中村の教育理念に共鳴した2人は物心両面で彼を支え続け、中村は1912年に実務学校を設立。その後に開校した実業専門学校は、産業界に有為な人材の育成を目的とした学校でした。中村は当時の画一的な詰め込み教育を排し、教師と生徒の心の触れ合いを重視する少人数による個性尊重の人格教育を志しました。岩崎と今村も英ケンブリッジ大学での留学経験を踏まえて、日本にも個性を尊重する自由な教育が必要だと考えていました。彼ら3人の熱意が生んだ、生きた学問を教え、生徒の能力や自発的な精神を最大限に引き出す成蹊学園の特色は、現在の成蹊大学の教育に脈々と受け継がれています。

亀嶋 庸一

若者の意欲引き出す《日本経済新聞  鼎談広告から》

中西
100年を超える「時間」をかけて培われた伝統や実績、吉祥寺という土地にワンキャンパスの恵まれた教育「空間」、そこに集う幅広い世代の多様な「人間」――これら「3つの間(あいだ)」こそ、成蹊学園の魅力の源泉だと思います。学生は大学にもっと多くのことを要求していいし、大学を積極的に活用してどのような環境にも対応できる強さを身に付けてほしい。成蹊大学は学生や社会の要望に応えるべく、これからも様々な学びの機会を提供してくれると確信しています。
亀嶋
最近の若者は内向きだとの声もありますが、主体性や積極性に欠けているとは思えません。例えば、数年前に十数人で始まったボランティア・サークルは現在では400人を超える学内最大規模の学生団体に成長し、国内外の幅広い分野で活動を展開しています。今夏試行する「サマースクール留学派遣」は募集初日に定員をはるかに超える応募者が殺到し、MBTも約30人の枠に100人以上の応募がありました。大学が魅力的な機会を提供すれば、それに応えるだけの意欲も資質もある学生は多くいます。だからこそ、今回の新カリキュラムのような改革が必要なのです。今後も伝統と実績を踏まえ、産業界や地域との密接なつながりを生かして、本学独自の教育・人材育成に取り組んでいきます。
廣田
世界はグローバルな大競争時代に突入しています。産学協働でグローバルに活躍できるタフな若者を育て、世界を変えるようなイノベーション創出の可能性を高めていきたい。そのためにも、日本の大学には大胆な変革が求められます。成蹊大学の新カリキュラムは意欲的な改革であり、成果を上げることを期待しています。大学の教職員と企業の実務担当者が日常的に意見交換できる機会を設けるなど、産学連携を強化する体制づくりも必要でしょう。日本的な責任感や思いやり、感謝の心などは堅持しつつ、やりたいことをやり遂げるタフネスを持ち、世界に打って出るための基礎力を備えた人材の育成を大いに期待します。
小川
歴史的にも産業界と結びつきの深い成蹊の伝統を生かし、本学の中期重点目標の一つに産学連携・地域連携の強化を掲げ、組織体制の整備とともに具体的な取り組みを開始しました。実社会と学生をつなぐゲートウエーとしての役割を担うべく、産業界そしてキャンパスのある武蔵野市からご支援いただきながら、学生が実社会と接する様々な学びの機会を提供していきます。本日はありがとうございました。

小川 隆申

ことばの解説

[ 幅広いリベラルアーツの修得 ]

成蹊大学では確かな基礎学力と豊かな教養、すなわちリベラルアーツ教育の充実・強化を目指して、2010年度から、全学部共通の「成蹊教養カリキュラム」を導入しています。

成蹊教養カリキュラム

[ 生涯学習 ]

社会・経済の急激な変化や成熟化に伴い、幅広い年齢の人々が学ぶことに意欲的になっています。生涯学習は、大学での学修だけでなく、地域・社会で行われる学修を含んだ包括的な概念です。

[ プロジェクト型授業(PBL:Project-Based Learning) ]

プロジェクト型授業は従来の教育と異なり、実習・演習を通して、実践力を養うことに重きを置いています。課題解決を目的として、チームで取り組み、受講者の自主性・自律性や協調性を重んじる内容で、「課題解決型授業」とも呼ばれます。

[ オープンエデュケーション ]

インターネットで学ぶことができる環境をオープンエデュケーションと呼びます。米国マサチューセッツ工科大(MIT)が最初に取り組み、現在では世界各国の非常に多くの大学が、教材を公開(オープンコースウエア)するなどの取り組みを進めています。

[ アクティブラーニング ]

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学習者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習などが含まれるが、教室内でのグループディスカッション、ディベート、グループワークなどを行うことでも取り入れられています。

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Next Part2 基調講演の内容(板東久美子氏、亀嶋庸一学長)

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