キャンパス内を職員の人たちに案内されて、あそこもできるかしれません、と指さされた場所をみたのがこの1号館の壁で、僕の心は踊りました。
僕は2012年にメキシコに行ったことがあるんですが、メキシコでは文字の読めない人たちに歴史を伝えようという壁画運動というのが1920年代に起こり、今も街や大学に大きな壁画があります。それと同じようなことができるんじゃないかと思ったのです。
僕の絵の場合は歴史を伝えると言うよりみんなに羽ばたいてほしいという思いが込められていますが、みんなどこに向かっているのかな?方角的に言うと三鷹の方の「東八道路」あたりかな、とも思うけど、ここ吉祥寺から世界に羽ばたきましょう。
みんなの後ろで一緒に飛んでいるのは春二先生とピーチくんです。
この広い面はグリッドがあるので図面で描いていてもわからなくなり、イメージを見るために何度もここに来ました。
街、自然、空、鳥、みんなが「自分自身」であり自由にこの世界で生きている。まさに”It’s a wonderful world”というテーマです。
この合計38メートルのイラストにはストーリーがあります。細かい想像は見る人に委ねますが、ざっくり言うと、地方から都会に出てきた人がやがて世界に羽ばたき、見聞を広めまた吉祥寺に帰ってくるというような物語です。
応援する人、追いかける人、本、出会い、コーヒー、東京、アート、世界、自然、そして吉祥寺の街を表現しました。
ちなみに書かれている文字ですが、6号館の中から見ても通じる言葉、つまり左右対称の言葉を選んで書きました。本、木、山、東京、へー、ハロー、!、並木。すべてこの絵や吉祥寺、成蹊学園に関係した言葉です。また、英語でも縦に書くと左右対称の言葉もあって、それをさがすのが大変でしたが楽しかったです。
2基のエレベーターにはそれぞれピーチくんとロケットが飛びます。この絵を描いているころ、僕は鹿児島の枕崎の海から種子島のH3ロケットの打ち上げの様子もみていました。ロケットもピーチくんもそらに飛ぶ姿は見てワクワクしますね。そして地上に帰ってくる姿にもほっこります。
ここに描かれているのは「キンシオフォント」という文字で、A~Zを人の形でかいたものでユニクロ吉祥寺店を始め今日まで色んなところで発表しました。これを階段で表現したのは初めてで、横から見たら何が書いてあるのかわからないですが、ある場所に来た時に「SEIKEI」と見えるのが面白いです。
3号館と8号館にはそれぞれ黄色い背景で挨拶している人と青い背景で飛んでいる男女を描きました。
僕はそれぞれ「挨拶の門」と「躍動の門」と呼んでいて「静」と「動」を表現しています。
元気のない時や眠い時、この絵に「おはよう」と軽く声をかけられたらちょっとはやる気でるんじゃないかなと思って描きました。まあ午後に見ても「おはよう」なんですけど。
「躍動の門」は弾ける感じ!いつかこの門の間でジャンプして写真をとりたいと思ってます。