妥協なく理由を問い続ける学びがエンジニアとしての素養を育んだ
理工学部 理工学科 機械システム専攻 4年生(2025年度取材時)
2022年度入学
東京都立南平高等学校出身

「車づくり」に関わる分野を広く学べることに魅力を感じ入学
もともと自動車に興味があり、機械とITの両方を学べるカリキュラムに魅力を感じ、理工学部理工学科の機械システム専攻を選びました。エンジン開発の基本を担う熱力学、空気抵抗が少ないデザインを検討するための流体力学などに加え、自動運転やシステムによる制御などを広く学ぶことで、自分がどのような専門性を発揮して「車づくり」と関わりたいのかが見えてくるはずという期待がありました。後半の学年で興味関心に合わせた科目履修ができるよう、1・2年次の基礎科目では土台の修得に力を入れました。その中で特に印象に残っているのは、大学での学修に必要な基礎を学ぶ「アカデミックスキルズ」という授業科目。第三者に見せる資料をつくるうえでの基本的な考え方や効果的なプレゼンテーションの方法など、あらゆる授業科目で求められるスキルを早期に学んだおかげで、4年間の学修をスムーズに進められたと感じています。
主体的に取り組むものづくりが、研究者、エンジニアとしての素養を育む
学部の専門科目はどれも興味深く、最初から充実した学びを実現できている手応えがありました。中でも印象に残っているのは、2年次の「応用Pythonプログラミング」で経験したアクティブラーニング形式のグループワーク。筋肉の電気信号でロボットを制御するプログラムを実際に組み上げるという内容だったのですが、自分たちで情報収集し、試行錯誤しながら一つのものをつくり上げるプロセスがとても刺激的で、チームワークを学びながら粘り強く取り組む力を磨くことができました。その後の研究テーマにもつながる「人と機械をつなぐシステムの可能性」を実感できた点でも、学生時代のターニングポイントになる経験でした。またグループワークは、3年次前期の「PBLⅠ」でも経験。自由な発想の工作に主眼を置いた内容で、私たちのグループは、立ちながらマウスを使ってPCを操作することを可能にする補助器具を作成しました。材料にかけられる予算も締め切りも決まっている中、自分たちでさまざまな調整を行いながら取り組んだことで、主体性やリーダーシップが鍛えられました。学生が主体となってものづくりに取り組む機会が充実しているのと、工学に関わる多様な専門分野に触れられるのは、機械システム専攻の大きな特長だと思います。先生との距離が近く質問しやすい環境も学修をバックアップしてくれました。
脳波を使った未来の運転の可能性に挑戦
私は3年次の後期から櫻田武先生のスマートニューロリハビリテーション研究室に所属しています。脳波といった人の持つ生体情報で機械を制御できれば、より先端的な車づくりに活かせると考えたことが大きな理由です。従来は、ペダルを踏む、ハンドルを回すといった、人が脳で認識し筋肉に伝えた動きで車を制御するため、手足をうまく動かす身体の能力が、運転のうまさを左右します。しかし、もし人間の思考と車を直接つなぐようなシステムを構築できれば、運転に苦手意識がある方でも、もっと簡単かつ楽しく車を運転できるようになるかもしれません。研究室では、「ニューロフィードバック」という脳機能訓練手法を用いたさまざまな計測を行っています。たとえば何か課題を実施しているときの被験者の脳波を計測し、それをリアルタイムに解析することで、特定の対象に注意をはらえているかどうかを評価するといった実験を行っています。この技術の研究が進めば、ドライバーの集中力低下を察知してアラートを鳴らすことができるほか、正しいケアができている状態をドライバーに学習させるといった応用が可能になります。実装化に向けてまだ課題の多い技術ですが、これまでの常識を変えてしまうような可能性にワクワクしています。
「なぜ」を自ら問い続ける学びで、研究者として成長できた
私が取り組んでいる卒業研究のテーマは、「個人利用型ニューロフィードバックシステムの開発」。開発するにあたってその構成要素をなぜ選択したか、なぜその実験条件なのか、そしてなぜその脳波を対象とするのかなど、あらゆる内容に対しきちんと理由を説明できることを心がけながら少しでも高い精度の研究をまとめられるように尽力しています。こうした意識の大切さに気がついたのは、2年次に受講した櫻田先生の「設計工学」という授業科目がきっかけ。そこでは、自動でゴミ袋を縛って外に排出するロボットを設計する課題があったのですが、櫻田先生からセンサーを選んだ理由を問われた際に、検討が不十分な回答しかできませんでした。私が選んだ光学センサーは、狙った動作を行うのに適したものだったのですが、価格が高く目的に対しオーバースペックな感がありました。そこで先生から「もっと安価な超音波センサーという選択肢はなかったのかな」と指摘され、自分が知っているものの範囲だけで考え新たに調べようとしなかったこと、実際に製品化するうえで重要なコストへの意識が完全に抜けていたことにはっとさせられました。櫻田先生はよく「研究者の一端である以上、世界と渡り合える内容でなければならない」とおっしゃっています。誰もが見て説得力のあるものにするには、あらゆる角度から「なぜそうしているか」を自ら妥協なく問う必要があります。こうした追究を課されるのには厳しさも感じますが、櫻田先生自身が心から研究を楽しんでいることは日頃の様子からひしひしと伝わりますし、論理的思考力や情報への洞察力に加え、明確に根拠を示す力を身につけられたのは、心からよかったと思っています。
エンジニアとして人と機械をつなぐシステムを追究していきたい
卒業後は、システムインテグレーターでエンジニアになることが決まっています。以前は自動車メーカーをめざそうと考えていたのですが、在学中に機械とITの両方を学んだことで、IT側から自動車にアプローチするキャリアに関心をもつようになりました。内定先にはモビリティ支援を担う部門があり、自動車メーカーに対し自動運転の技術を提供しています。研究を通じて培ったシステムを構成する能力は、安心安全な制御システムの開発に活かせますし、チームの中で自分がどのような役割を果たすのが最も貢献できるのか、常にアンテナを立てて仕事に取り組んでいきたいと考えています。大学で追究してきた「人と機械を結びつけるシステム」をより人に有用なかたちで実現することが目標です。

データで見る成長した力
※内容は取材当時のものです。




