■日時:2022630日(木)15:0017:00

■会場:オンライン

■司会:宮崎 悠(成蹊大学法学部教授、国際政治史)

■趣旨説明:中村研一(北海道大学名誉教授、国際政治)
「国際存在としての沖縄」

■報告:柴田晃芳(常葉大学法学部准教授、現代政治分析・安全保障)
「復帰運動と本土化―沖縄における『中道』運動の興亡―」

■討論:池宮城 陽子(日本学術振興会特別研究員PD、日米関係史)

(敬称略)

■主催:成蹊大学アジア太平洋研究センター

■参加者数:18名

国際政治・日本政治を専門とする3名の研究者、中村研一(北海道大学)、柴田晃芳(常葉大学)、宮崎悠(成蹊大学)が各々の視点から沖縄という重要な対象を捉えようと行ってきた共同研究「国際存在としての沖縄」の成果の一部を報告しました。

最初に中村氏から趣旨の説明がありました。そこでは沖縄を「主権国家」と対比される「国際存在」として捉える共同研究の枠組みについて解説し、沖縄という存在、米軍基地、本土との差異といった事柄を「国際存在」という視点から捉える意義が述べられました。また、 日本本土の占領期から冷戦前半期までの分析から「国際存在」という概念を提起した坂本義和と、沖縄の占領期を研究した大田昌秀の共通点についても指摘がありました。

次に柴田氏より、戦後アメリカ統治下の沖縄において展開された復帰運動を沖縄という存在のあり方を追求する運動と捉え、その中に現れた「中道」的運動の要素に着目し、「中道」運動の興亡について検討されました。復帰運動に代表される戦後沖縄の大衆運動は中道的リーダーシップに率いられることで「島ぐるみ」体制を実現し、大きな影響力をもち得ました。しかし、復帰運動の展開の中で、政党政治・運動のいずれにおいても本土と類似の保革対立構造が定着し、革新勢力が「本土化」するとともに、中道派が周辺化することで「島ぐるみ」の可能性が大きく縮減したとまとめられました。

討論者の池宮城氏からは、復帰運動の研究における保革対立という二項対立の構図の有用性や、「島ぐるみ」体制が「終焉」したことの今日的な意義などについて、論点が提示されました。研究会は17時までの予定でしたが、その後も希望者が残る形で継続され、18時まで議論は尽きませんでした。返還から50年を迎えた沖縄の現在を考え直す、格好の機会となりました。

CAPS主任研究員 小松 寛)

上段左から、中村 研一 柴田 晃芳 宮崎 悠
下段左から、池宮城 陽子 高安 健将(敬称略)