経済をデータで考察する実践的な学びが
起業する夢への道筋をつくってくれた
経済学部 経済数理学科 3年生(2022年度取材時)
2020年度入学
秋田県立秋田中央高等学校出身

文理が融合したカリキュラムが入学の決め手
高校の頃は理系を選択し、最初は理系の学部を進学先として視野に入れていました。そうした中、社会科学系の中でも、統計などの客観的なデータを用いてアプローチする経済学に興味をもち、特に数値による考察に力を入れた文理融合的な経済学部を志望先として考えるようになりました。
経済学の理論だけでなくプログラミングについても学ぶことができる成蹊大学経済学部経済数理学科のカリキュラムは、私の志向にピッタリだと思い、入学を決めました。私の入学した年が学科創設年度で、1期生になるところにも魅力を感じていました。
データ分析の実践が、物事を的確に理解する力になった
経済学にICTを活用したデータ分析を用いるおもしろさは、表面的な情報を見るだけでは認識できなかった事実を浮き彫りにできるところにあると考えています。経済数理学科では、プログラミングの基礎を学ぶ授業でも経済学に関わるデータを教材として使うことが多いので、経済学の研究にプログラミングを用いる有用性を学びの中で自然と実感できました。また、統計データ解析によって経済に関わる事象を考察することで、客観的な視点や物事の本質を見る目が磨かれました。例えば、コロナ禍に業績が悪化した会社は、多くの会社と同じタイミングで数値を落としていれば、いかにもコロナ禍自体が直接的に作用したように見えますが、そこで受けた印象を鵜呑みにするのではなく、数理モデルに基づいて解析してみると、本当は業績悪化にまったく別の要因があり、たまたまコロナ禍と時期が重なっただけといった事実が見えてくることがあります。表に見える一部のことやパッと見た際のイメージをそのまま受け取って信じるのではなく、必要な検証を数値で行ってこそ、物事の本質を理解することができる。何事も数値で検証する学びを通じて、そうした発想が体得できたと感じています。
充実したグループワークが調整力を育んだ
また少人数のグループワークを通じて学ぶ授業が多いことも、コミュニケーション能力を磨くうえで役立っています。特に成長を実感しているのは、グループの中で意見を調整する力です。高校までの私は決して授業の中で積極的に意見を発言するタイプではなく、「自分の意見をしっかり発信できるようになること」を大学での目標の一つに掲げていました。そうした意識のもと、自分の意見を出すようにするのに加え、他のメンバーに意見を求める声かけも積極的に行いました。その結果、グループ内で複数の意見が出たときの調整役を担うようになり、授業でのグループワークやゼミなどでリーダーを任される機会も多くなりました。大学入学をきっかけに自分に課したマインドセットが成長につながったことはうれしく思います。
プログラミングを経済学の分析に用いる意義を実感
学修を進めていく中で、経済学の専門的な分野にプログラミングを応用する授業もたくさんありました。「ファイナンス」では金融機関や大手企業の財務状況や経営状況、「国際経済学」では世界中に展開するIT企業の経営状況や世界経済の状況など、生きたデータを解析する実践的な学びを経験できました。吉田由寛教授のゼミでは、ゲーム理論や行動経済学について学んでいますが、そこでも人の行動を数値化するといったアプローチで、プログラミングの知識を活かせています。「経済を数値で見る重要性」「プログラミングを用いた経済学研究の有効性」を実感できることは、経済数理学科の大きな特長だと思います。
経済数理学科での学びをカフェ経営に役立てたい
私の将来の目標は、猫をテーマにしたメニューを提供する自分のカフェを開業すること。「甘えん坊」など、猫の性格をイメージしたブレンドなどを考え、コーヒーの知識がないお客さまでも楽しめるようなお店にしたいと思っています。まずはオンラインで豆の販売から始め、そのあとにリアルの店舗をオープンする構想です。経済数理学科で身につけた知識は、統計データ解析に基づく経営状況の分析、行動経済学の理論を使ってのマーケティングなど、さまざまなシーンで活かせると考えています。
また、「起業」という発想に至ったのは、カフェ巡りの趣味が高じてという面もありますが、経済数理学科の授業を通じて多くの企業を数値で分析する中で、会社経営を身近に感じられるようになったことも大きいと思っています。また仲間とビジネスを育てていきたいという思いもあるので、グループワークを通じて培った「意見を調整する力」も目標の実現のために大いに役立つと考えています。

データで見る成長した力
※内容は取材当時のものです。