成長する成蹊大生の図鑑

ゼミでの豊富な実践経験が議論を掘り下げ
わかりやすく伝える力を育んだ

文学部 日本文学科 4年生(2022年度取材時)

2019年度入学

私立日本大学櫻丘高等学校出身

興味を追究しながら2つの力が磨かれた

文学部日本文学科の4年間では、「質問力」と「プレゼンテーション能力」が特に磨かれたと実感しています。入学直後から少人数のゼミがあり、先生との距離が近い環境で発表やディベートの機会が充実していて経験値を着実に積み上げられたことが、その大きな要因です。

私が成蹊大学を選んだのは、元々古典と日本史が好きでそれらを思う存分追究できる環境があると思ったから。入学前から師事したいと思っていた平野多恵先生のゼミで学ぶこともでき、興味のある分野を探究しながら社会でも活かせる力を着実に積み上げられていると感じます。

「やってみる」姿勢で経験することが質問力を高めるカギ

質問力については、講義やゼミでの先生への質問、ディベート中の質問など、数多く経験したことで磨かれた部分が大きいです。具体的に伸びたこととしては、核心を突くようなクリティカルな質問ができるようになったことがまず挙げられます。相手の考えを引き出すオープンな質問と結論を明確にするクローズな質問の使い分け、5W1Hのうちで欠けている部分の顕在化など、意図を持って状況に合わせた質問をすることでより深い学びにつなげることができます。質問力を鍛えるには、「まずは聞いてみる」積極性が大事だと思います。特に知識に自信がない低学年のうちは、「的外れな質問ではないか?」「こんな浅い質問はするべきではないのでは?」と躊躇してしまうことがあります。ゼミで他の学生の意見を聞いていると、論点に何の欠落もなく完璧に見えてしまうことがあります。ただ不安を感じつつも質問を言葉にした結果、議論に新しい視点が加わることも多々あります。たとえ自信がなくても、自分が疑問を抱いた以上は、「これも考え方の一つ」と捉える気持ちが大事だと考えています。発言に対する肯定や否定を気にするのではなく、自分が考えを示したことで学びの展開がどのようになっていくのか、未知を想像するのは楽しいものです。

日本文学科にはディベートの基本精神が根づいている

今でこそ躊躇なく質問できるようになりましたが、入学当初は決してそうではありませんでした。1年次はまず「質問する」という行為自体に慣れ、2年3年と学年が上がると徐々に意図のある質問ができるようになり、4年生になってからは、質問への回答に対し、「そこにはどのような意図がありますか?」などとさらに質問し、学びを深化させる展開をつくれるようになってきたと感じています。日本文学科には、相手の意見を決して否定せず、尊重したうえで自分の意見を述べるディベートの基本的な精神が風土として備わっています。安心して自分の考えを発信できる環境があったからこそ、質問の経験値を着実に積み上げられたと思っています。現在は自分がゼミ長となり、後輩が積極的に自己表現できる雰囲気づくりにも留意しています。

工夫しながら経験を重ね、わかりやすく伝える力を修得

プレゼンテーションについても、学修の中で行う機会は多かったと思います。現在所属している平野ゼミでも時期によっては毎週発表を実施していて、持ち回りで発表者と聞き手の役が回ってくる形でした。伝わりやすい話し方や話すスピード、印象の良い表情などを磨けたことも有益でしたが、プレゼンテーションソフトでつくる資料の表現や、聴き手を意識したアプローチを学べたことも大きかったと思います。これらでは失敗した経験もあります。黒背景に白文字の資料をつくり「見にくい」という評価を受けてしまったり、前段の趣味の話に時間をかけ過ぎ本筋の説明がわずかになってしまったりしたこともありました。しかし、9月に行ったゼミの発表では、そうした失敗の反省も踏まえてプレゼンテーションを行い、「わかりやすい」という評価をいただくことができました。

『欅賞』へのチャレンジがさらなる成長につながる

専門科目の学び以外にも、日本文学科が主催する論文コンクール『欅賞』に応募したことも成長につながったと思っています。鉄道に関わる文学作品を研究対象に論文を執筆したのですが、ゼミで中世日本文学を専門にしているのに対し、1872年に開業した鉄道が登場する作品は当然、近代文学になります。文学研究というところでは共通しているのですが、扱う時代が変わるとその調査方法も変わる部分があり、さまざまな論文を読み、そもそも近代文学の論文とはどのようなものかを知るところからスタートしました。もちろん専門の研究でも調査は行うのですが、未知の領域について一から手探りで調べたことで、学術研究の調査スキルの底上げにつながったと感じています。また趣味の鉄道については、それまではあくまで好きなことに関する知識欲を満たして楽しむもので、学術的にまとめてアウトプットする対象ではありませんでした。論文として発表する以上は、主張を裏付ける証拠の確かさや情報量など、趣味で楽しむ以上のものが求められます。締め切りを守り質にもこだわりながら、探究心にブレーキをかけることなくやり遂げたという点でもこの挑戦には意義があったと思っています。

卒業後も4年間で身につけた「質問力」と「プレゼンテーション能力」を様々な場面でのコミュニケーションに活かしつつ、何事にも果敢に挑戦する姿勢を持ち続けていきたいと思っています。

データで見る成長した力

  • 大学IRコンソーシアム学生調査(アンケート)
    2022年度 3年生回答データより作成
  • 対象者数 成蹊大学:20名 全国:28,494名
  • 「増えた」は、「増えた」「大きく増えた」と回答した割合。「減った」は、「減った」「大きく減った」と回答した割合です。
  • 成蹊大学調べ
  • 対象者数 成蹊大学(日本文学科):87名
    全国(人文系学部):71,817名
  • この項目の就職者とは、正規雇用者及び雇用期間が1年以上かつフルタイム勤務相当の学生です。
  • 大学コンソーシアム学生調査(アンケート)
    2022年度 3年生回答データより作成
  • 対象者数 成蹊大学:20名 全国:28,491名
  • 「増えた」は、「増えた」「大きく増えた」と回答した割合。「減った」は、「減った」「大きく減った」と回答した割合です。
  • 大学IRコンソーシアム学生調査(アンケート)
    2022年度 3年生回答データより作成
  • 対象者数 成蹊大学:20名 全国:28,136名
  • 「満足」は、「満足」「とても満足」と回答した割合。「不満」は「不満」「とても不満」と回答した割合です。

※内容は取材当時のものです。