成長する成蹊大生の図鑑

グループでの協働で身につけた
多様性を尊重する姿勢が夢の実現につながった

文学部 国際文化学科 4年生(2022年度取材時)

2019年度入学

山梨県立都留高等学校出身

コロナ禍のために予定していた留学が中止に

小学生の頃から英会話教室に通い、世界の文化や社会問題に興味を持っていた私は、大学では絶対に海外留学をしたいと思っていました。オープンキャンパスでは実際に留学を経験した先輩の話を聞き、海外の協定校や留学支援制度が充実した成蹊大学なら理想の学生生活を送れると思い、入学を決めました。

学内の選考を無事に通過し、あとは渡航の日を待つだけというところまで準備が進んでいたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大により状況は一転。事態の収束が見えない中、何度か渡航延期となり、その後、遂に留学が中止となってしまいました。3年次前期にオーストラリアへ行くと決意していたので、当時の喪失感は大きかったです。

実践的なビジネス研修プログラムに新たな目標を見出す

そのようなときに興味を引かれたのが、成蹊大学の産学連携人材育成プログラム「丸の内ビジネス研修(以下MBT)」でした。実践的な課題に取り組み、企業の方に向けてプレゼンテーションをするプログラムがあるということは、入学前から知っていたのですが、予定していた留学の時期と重なっていたので、以前は縁のないものだと思っていました。3年進級時は、就職活動に向けてギアを切り替えなくてはという心境がありましたし、何より喪失感を埋めるものを心から欲していました。学生時代に「何かを成し遂げた」と卒業時に納得したいと思い、MBTへの参加を決めました。

MBTでは多くの刺激的な経験ができ、積極性や最後までやり遂げる力、意見が分かれたときに調整する力など、さまざまな面で成長できたと感じています。私たちが取り組んだ課題は、「グローバル人財について考える」というものでした。この課題に対して、私たちは人物像の定義を行うだけでなく、カードを使ってグローバル人材について学習するコンテンツもつくりました。同じグループのメンバーは学部も学科もバラバラで、バックグラウンドが異なるメンバーと一緒に取り組んだことも、成長の要因になったと感じています。

グループでの協働が積極性や自信、諦めない力を育む

MBTでの成長の実感として最も強く感じているのは、積極的な姿勢です。そのきっかけになったのが、メンバーとの協働を通じた多様性への気づきでした。皆で議論を進めていると、一つの議題に対しても驚くほどいろいろな意見が出てきました。そうした状況に直面する中で、何事も一つの意見だけが正解でないことを実感。いろいろな意見によって提案内容が洗練されていくプロセスを経験し、自分の考えに自信をもてず発言をためらってしまうことがもったいないと思うようになりました。そこから積極的な発言を心がけるようになり、MBTを離れた場でもその姿勢が定着していったと感じます。

また、意見がなかなかまとまらない場合に調整役を務めたことも、成長につながる経験でした。私たちのグループは最終のプレゼンテーションに向けて、章ごとに担当を分けて資料の作成に臨んでいました。皆熱心に取り組んでいたので、ときには自分の考えだけにとらわれてしまったり、少し感情的になってしまうこともありました。そのようなときに私は、論点を整理しようと働きかける役割をよく担っていました。例えば、2つの食い違う意見が存在するときに、両者で合致している部分にも焦点を当て、落とし所を見出す方向に話を誘導したり、章と章のつながりに違和感がないか確証を得られないときに、全体を通して確認することを提案したりなど、必要に応じて働きかけるようにしていました。

発表の前日に先生からのご指摘があり、急いで大幅な修正をしなければいけないという大ピンチに直面したこともありましたが、それでも最後まで諦めず仲間と完成にこぎ着いたことで、最後までやり遂げる力も鍛えられました。

課題で定義した「グローバル人材」の姿を理想像に投影

私たちは最終のプレゼンテーションで、グローバル人材の資質として「自社の利益を追求し、会社に貢献すること」「倫理観を備え社会に貢献できること」の2つを両立できることが重要であると定義しました。自社の発展に貢献することは、企業人にとって重要なミッションですが、国際社会で問題視されている地球環境の保全などへの配慮ができなければ、真のグローバル人材とはいえません。日本や世界の問題にも目を向けて、それらの解決と自社の発展を両立させるという発想をもって行動できるのがグローバル人材のあるべき姿であると考えました。この発表に至るまでには同じグループのメンバーと多くの議論を重ね、非常に苦労したのですが、その結果、企業の方からは高評価をいただき自信にもなりました。

私自身は、まだ企業人としての経験がないので、自分にとってどのようなかたちで会社に貢献することがベストなのか、具体的な想像はできませんが、MBTを通じて磨いた多様性への想像力を大事にしながら、物事を多面的に見られる人材になりたいと思っています。

インターンシップでの職業理解が目標発見につながった

MBTのプログラムでは、インターンシップに参加する機会もあります。私が参加したのは、グローバルに事業を展開する商社のオンラインインターンシップ。そこではクアラルンプールにある現地拠点の方にライブ映像も交えて仕事の内容を説明いただいたり、企業から提示された課題に取り組み、プレゼンテーションをしたりしました。それまで私は、商社に対して漠然とした憧れを抱いていたのですが、実際に現場のお話を伺い、現地と自社の双方のメリットを考える視点や事業を通じて企業と企業を有機的に結びつける視点など、モノを扱うだけではない商社の役割の広がりを知り、具体的な志望業種として商社を考えるようになりました。

幸いにもある商社から内定をいただき、希望する業種で社会人としての一歩を踏み出すことになりました。MBTでメンバーと協働しながら課題をやり遂げ、その経験を踏まえ自信をもってアピールできたことが、選考で評価を得られた一番の要因だと考えています。会社や社会に貢献するためにはまだまだ成長が必要ですが、今後も向上心をもち続けステップアップしていければと思っています。

データで見る成長した力

  • 大学IRコンソーシアム学生調査(アンケート)
    2013~2022年度合算 3年生回答データより作成
  • 対象者数 成蹊大学:129名 全国:28,494名
  • 「増えた」は、「増えた」「大きく増えた」と回答した割合。「減った」は、「減った」「大きく減った」と回答した割合です。
  • 成蹊大学調べ
  • 2017〜2022年度の合算データ
  • ベネッセiキャリア「GPS-Academic」(アセスメントテスト)2019〜2022年度 3年生受検合算データより作成
  • 成蹊大学 学生調査(ディプロマポリシー到達度)より作成
  • 2020~2022年度入学者の合算データ
  • 対象者数 MBT受講生:20名 成蹊大学全体:947名
  • 「身についた」は、「身についた」「大きく身についた」と回答した割合。「身についていない」は「身についていない」「全く身についていない」と回答した割合です。

※内容は取材当時のものです。