成長する成蹊大生の図鑑

考え抜く実践的な学びと個性の交わる協働により
チームで創造する力を磨いた

理工学部 システムデザイン学科 材料力学研究室 4年生(2022年度取材時)

※2022年4月より理工学部は1学科5専攻に改組しました

2019年度入学

千葉市立千葉高等学校出身

実践的なものづくりやチームワークを通じ2つの力が身についた

成蹊大学の4年間では、理工学部の専門科目での学修や学部横断型のビジネス研修を通じて、「答えのない問いを考え抜く力」や「チームで協働する力」が磨かれたと思います。子どものころからプラモデルなどのものづくりに親しみ、サッカーチームにも所属していた私は、ものづくりとチームワークのどちらも大学で取り組みたいと考えていました。

両方を思い切り追究できた学生生活は、入学前の理想通りでした。成果として修得できた2つの力は、社会でも大いに活用できるものだと考えています。

多様な個性が交わるチームワークが協働する力に

学部横断型のビジネス研修は、「丸の内ビジネス研修(以下MBT)」という成蹊大学独自のプログラムで、7人のグループで企業から出題された課題に取り組みます。

私たちのグループに出された課題はビル管理会社の立場になって「ビルのオーナーを満足させるサービスを考える」というものでした。プログラムに参加した当時はコロナ禍によってさまざまな行動が制限されていた真っ只中。私たちは、会社に出勤する人が減り、自宅でテレワークをする人が増えた社会状況を踏まえて、どのようなサービスが有効かを検討しました。グループのメンバーは、学部も学科もバラバラ。理工学部の私にとって文系の学生との協働は新鮮でした。空室率などの現実的な数字を見て慎重に案を出していた私に対し、「まずはテーブルに上げてみよう」といった感じで、斬新なアイデアを積極的に出してくれるメンバーがいました。そうした感覚に触れられたのは本当に刺激的で、自由な発想が起点になってブレイクスルーにつながる可能性を実感させられました。それぞれ異なるタイプのメンバーと課題に取り組む中で私が意識したのは、論理や情報を整理すること。他のメンバーが出してくれた斬新なアイデアの有用性を論理的に説明できないかみんなで検証するように促したり、PCを使って資料をまとめたりなど、私なりに得意なところを活かしてグループに貢献できたと自負しています。異なるバックグラウンドをもったメンバーと一つの課題に取り組んだ経験は、協働して問題を解決する力の成長につながったと実感しています。

「つくる喜び」を味わいながら実践的な課題解決を経験

講義形式で専門知識を修得する科目も興味深かったのですが、ものづくりをしたくて大学に入学した私は、やはり正解のないものを一から考える実習に心を引かれました。特に印象的だったのは3年次に履修した「システムデザイン実験」と「プロジェクト実習」です。

「システムデザイン実験」は選択したコースごとに異なる実験に取り組むもので、私は経営工学コース、機械コースという2コースの実験に取り組みました。経営工学コースの実験は、部品をバラバラにした10本のペンを速く組み立てる方法を考えるというもので、1秒でもタイムを縮めるためにどのような方法が効率的か何度も考えました。機械コースの実験では、解析ソフトを使って、軽さと強度が両立する自転車のフレームを設計。形状をはじめ細部の太さや長さなど、何が最適かを検証し機能性を追究しました。どちらも先生からの指示は最低限で、学生たちで話し合って自由に進めるスタイルだったため、仲間との試行錯誤を存分に楽しむことができました。

「プロジェクト実習」は、既存の製品にタイヤのホイールや橋などに使われる特殊なネジを加えて、機能のアップデートを検討するという内容。私たちのグループは、ゲームのコントローラーにネジを加え、手のサイズに合わせてスティックの高さを調整できる機能を検討しました。日常生活の体験から生まれたアイデアの実現をめざし、メンバーで意見を出し合いながら設計を繰り返して使いやすさを検証するプロセスはとてもおもしろかったです。

最大限に効果を発揮するかたちをグループで追究する経験によって、問題が起こったときに、原因がどこにあるかを考えチームで柔軟に対応する力が磨かれたと感じています。

弛まぬ試行錯誤が問題を深く掘り下げる力を育んだ

「答えのない問いの探究」は、卒業研究でも経験できています。現在私が取り組んでいるのは、パスタの材料特性に関する研究。具体的には、パスタの生地をところてんのように押し出して麺状にする際、生地の弾力性などの数値を正確に測定し、押し出す強さやスピード、押し出した麺を切断する角度などを調整しながら材料の特性を解析しています。

「こうすればより良い数値が出るはず」といった仮説を立てて実験に臨んでいますが、予想外の結果が出ることも大いにあるもの。そこでは詳しい原因の解明が研究の進歩につながるのですが、「どのような実験を行えば正確なデータが取れるか」「できるだけ回り道をせずに原因に辿り着くためにはどのようなアプローチが有効か」など、試行錯誤によって得た経験則を実験の効率化に活かせるようになったと感じています。

お客さまの役に立つ「ものづくり」を妥協なく追究する

大学卒業後はシステムエンジニアとして働く予定です。プログラム自体は物体ではありませんが、さまざまなアイデアを駆使してプログラムを構築する過程はまさに「ものづくり」です。

そこに携われることを楽しみつつ、最適解を求めて考え抜く力や、考え方の異なる人と協働する力を活かし、お客さまの問題解決にベストなソリューションを提供できるよう、尽力したいと思っています。

データで見る成長した力

  • 大学IRコンソーシアム学生調査(アンケート)
    2022年度 3年生回答データより作成
  • 対象者数 成蹊大学:17名 全国:28,494名
  • 「増えた」は、「増えた」「大きく増えた」と回答した割合。「減った」は、「減った」「大きく減った」と回答した割合です。
  • ベネッセiキャリア「GPS-Academic」(アセスメントテスト)
    2022年度 3年生受検データより作成
  • 対象者数 成蹊大学:72名 全国:63,957名
  • 大学IRコンソーシアム学生調査(アンケート)
    2022年度 3年生回答データより作成
  • 対象者数 成蹊大学:17名 全国:28,489名
  • 「増えた」は、「増えた」「大きく増えた」と回答した割合。「減った」は、「減った」「大きく減った」と回答した割合です。
  • 大学IRコンソーシアム学生調査(アンケート)
    2022年度 3年生回答データより作成
  • 対象者数 成蹊大学:17名 全国:28,644名
  • 「あった」は「ひんぱんにあった」「ときどきあった」と回答した割合。「なかった」は「まったくなかった」「あまりなかった」と回答した割合です。

※内容は取材当時のものです。